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日銀審議委員の発言や豪CPIが材料に!? SARBは政策金利据え置きへ

2024/03/27 08:57

【ポイント】
・田村審議委員は金融政策の先行きについて新たな手がかりを提供するか
・豪CPIでRBA(豪中銀)の利下げ観測が後退するか
・市場のSARB(南アフリカ中銀)の金融政策見通しが変化するか

(欧米市場レビュー)

26日の欧米時間の外為市場では、米ドルが強含み。一時、米ドル/円は151.557円へと上昇し、ユーロ/米ドルは1.08212ドル、英ポンド/米ドルは1.26182ドル、豪ドル/米ドルは0.65249米ドルへと下落しました。米国の2月耐久財受注が前月比1.4%と、市場予想の1.1%を上回ったことが、米ドルの支援材料となりました。

(本日の相場見通し)

本日、田村日銀審議委員が青森県金融経済懇談会に出席します。田村審議委員は午前10時から講演し、午後2時から記者会見を行う予定です。植田日銀総裁は3月18-19日の金融政策決定会合後の会見で、「当面は、緩和的な金融環境を維持する」との姿勢を示しました。田村審議委員の講演や会見で日銀の金融政策の先行きについて新たな手掛かりが提供されれば、材料になりそうです。

本日はまた、チポローネECB(欧州中銀)専務理事やカザークス・ラトビア中銀総裁が講演します。市場では、ECBは6月に利下げが行われるとの見方が有力です(次回4月11日の理事会については、政策金利の据え置きを予想)。チポローネ専務理事やカザークス総裁がその観測を強めるような発言をすれば、ユーロが軟調に推移する可能性があります。

豪州の2月CPI(消費者物価指数)が発表されます(日本時間09:30)。CPIの市場予想は前年比3.5%と、上昇率は1月の3.4%から高まるとみられています。

市場では、RBA(豪中銀)は8月に利下げを行うとの観測があります。月次のCPIがカバーする品目は四半期のCPIの3分の2程度であり、そのことに留意する必要はあるものの、それでもCPIが市場予想を上回る結果になれば、利下げ観測は後退する可能性があります。その場合、豪ドルが堅調に推移しそうです。なお、豪州の1-3月期(四半期)のCPIは4月24日に発表されます。

※豪ドル/円のテクニカル分析は、本日の『テクニカル・ポイント』[豪ドル/円、再度100円超えトライとなるか]をご覧ください(マイページへのログインが必要です)。

NZ財務省が24/25年度(24年7月~25年6月)の予算編成の方針を発表する予定です。ウィリス財務相は15日に「今後数年間の(NZのGDP)成長率は、従来の想定よりも大幅に鈍化する可能性がある」と述べ、それが足もとの豪ドル/NZドル上昇の一因となっています。NZ財務省は23年12月時点で、成長率は23/24年度と24/25年度のいずれも1.5%になるとの見通しを示しました。

豪ドル/NZドルについては、豪州のCPIとともに予算編成方針で示されるNZの成長率見通しも材料になる可能性があります。

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鈴木財務相と神田財務官が今週、足もとの円安(米ドル/円の上昇)をけん制しました。

神田財務官は25日、足もとの外為市場の動向について「経済のファンダメンタルズに沿っていない」、「投機による円安は国民経済に悪影響、容認できない」、「行き過ぎた円安にはあらゆる手段を排除せず、適切な行動をとる」と述べました。

また、鈴木財務相は26日、「為替相場は(経済の)ファンダメンタルズを反映して安定推移が望ましい」、「高い緊張感をもって(外為市場を)注視する」、「過度な変動にはあらゆる手段を排除せず、適切に対応する」と語りました。

本邦当局による為替介入(米ドル売り・円買い介入)への警戒感から、米ドル/は伸び悩むかもしれません。

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SARB(南アフリカ中銀)は本日、政策会合を開きます。会合の結果は、日本時間午後10時過ぎに発表され、クガニャゴSARB総裁が会見します。

SARBは23年5月の利上げ以降、前回1月の会合まで4回連続で8.25%に据え置きました。南アフリカの2月CPI(消費者物価指数)は前年比5.6%と、上昇率は1月の5.3%から高まったものの、SARBのインフレ目標レンジ(3~6%)に引き続き収まりました。政策金利は今回も据え置かれそうです。

市場ではSARBは7-9月期中に利下げを行うとの観測があります。会合後に行われるクガニャゴ総裁の会見が、利下げ観測を変化させる内容になれば、材料になりそうです。利下げ観測が後退する場合、南アフリカランドが堅調に推移する可能性があります。

八代和也

執筆者プロフィール

八代和也(ヤシロカズヤ)

シニアアナリスト

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