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日銀金融政策決定会合の注目ポイント:総裁会見と展望レポート

2024/01/22 08:04

【ポイント】
・日銀は現状維持を決定する公算大
・植田総裁は先行きの政策変更についてヒントを出すか
・展望レポートの物価見通しは下方修正?

日銀の金融政策決定会合が22-23日に開催されます。23日の正午前後に結果が判明、同午後3時30分から植田総裁の記者会見が行われます。

金融政策の現状維持が決定される可能性が高いとみられます。

19日時点のOIS(翌日物金利スワップ)に基づけば、市場が織り込む今回の利上げ(マイナス金利解除)の確率はゼロ%。利上げ確率は3月までで17%、4月までで44%、6月までで83%です。これによれば、4月はギリギリ利上げなし、6月の利上げがメインシナリオ(確率50%超)です。

また、Bloombergの調査(1/10-15実施)によれば、51人のエコノミストのうち1月利上げ予想はゼロ、3月予想は4人4月予想が30人です(6月予想4人、7月予想5人)。

今回の注目ポイントは以下の通りです。

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マイナス金利の解除やYCCの修正はなし!?
インフレ率の伸び鈍化が目立ってきており、能登半島地震の影響も懸念されるなか、日銀は現行の金融緩和を維持しそうです。

日本のCPI

YCC(イールドカーブ・コントロール)についても、長期金利(10年物国債利回り)が上限の目途(めど)とする1.0%を大きく下回っています(19日時点で0.67%)。日銀による国債購入は、22年春(主要中銀が利上げ開始)や22年末~23年初(YCC修正観測)には、YCC維持のために大きく増加しましたが、あしもとでは落ち着いています。そのため、YCCを修正すべき切迫性は見当たりません

日本の長期金利

日銀の国債購入額

総裁会見でのメッセージ
12月7日の植田総裁の「チャレンジング」発言を市場は利上げの地ならしと受け止めました。同19日の会合後の会見で植田総裁は市場の観測を打ち消し、「粘り強く金融緩和を続ける」旨の発言をしました。今回はどのようなメッセージが発せられるでしょうか。「持続的・安定的に物価目標を達成していない」との日銀の判断に変化はないでしょうか。

展望レポートの物価見通し
今回は3カ月(=2会合)に1回の「経済・物価情勢の展望(展望レポート)」が公表されます。前回(昨年10月、下表)に比べて、24年度の物価見通しが下方修正されるとの報道もあるようです。仮に報道通りであり、かつ25年度の見通しが2%割れのままだとすれば、「持続的・安定的に物価目標を達成していない」との判断を補強することになりそうです。

展望レポート(23年10月)
西田明弘

執筆者プロフィール

西田明弘(ニシダアキヒロ)

チーフエコノミスト

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