マネースクエア マーケット情報

市場の注目は米CPIへ

2024/01/11 08:33

【ポイント】
・米CPIで市場のFRBの金融政策見通しが変化するか

(欧米市場レビュー)

10日の欧米時間の外為市場では、が軟調に推移。一時、米ドル/円は145.781円、ユーロ/円は159.894円、豪ドル/円は97.617円、NZドル/円は90.692円へと上昇。ユーロ/円は23年12月1日以来、豪ドル/円は12月4日以来の高値をつけました。日本の23年11月の毎月勤労統計(速報)を受けて、日銀の金融緩和策の修正(マイナス金利の解除など)観測が市場で後退し、円安圧力が加わりました。

毎月勤労統計は、労働者1人当たりの現金給与総額が前年比0.2%と、伸び率は10月の1.5%から鈍化しました。また、物価変動の影響を考慮した実質賃金は前年比マイナス3.0%と、マイナス幅は10月の2.3%から拡大し、20カ月連続でマイナスとなりました。

※ユーロ/円のテクニカル分析は、本日11日の『テクニカル・ポイント』[ユーロ/円、遅行スパンの“好転”となるか]をご覧ください(マイページへのログインが必要です)。

ユーロは堅調。一時、ユーロ/米ドルは1.09679ドル、ユーロ/英ポンドは0.86156ポンドへと上昇しました。シュナーベルECB(欧州中銀)専務理事がX(旧ツイッター)で「利下げを議論するのは時期尚早」との認識を示し、市場のECBの利下げ観測をけん制したことが、ユーロの支援材料となりました。市場では、ECBは3月か4月に利下げを行うとの観測があります。

(本日の相場見通し)

米国の23年12月CPI(消費者物価指数)が本日発表されます(日本時間22:30)。この結果に市場が反応しそうです。

CPIの市場予想は、総合指数が前年比3.2%、変動の大きい食品やエネルギーを除いたコア指数が同3.8%。総合指数の上昇率は11月の3.1%から高まる一方で、コア指数は11月の4.0%から上昇率が鈍化するとみられています。

市場では、FRB(米連邦準備制度理事会)が3月に利下げするとの観測があります。CMEのFedWatchツールによれば、市場が織り込む利下げの確率は、次回1月30-31日のFOMC(米連邦公開市場委員会)で4%程度、3月のFOMCで約6割です。

CPIが市場予想を下回る結果になれば、利下げ観測が強まるとともに、米ドルが軟調に推移しそう。米ドル/円や米ドル/カナダドルは下落し、一方でユーロ/米ドルや豪ドル/米ドル、NZドル/米ドルは上昇すると考えられます。

八代和也

執筆者プロフィール

八代和也(ヤシロカズヤ)

シニアアナリスト

  • 当レポートは、情報提供を目的としたものであり、特定の商品の推奨あるいは特定の取引の勧誘を目的としたものではありません。
  • 当レポートに記載する相場見通しや売買戦略は、ファンダメンタルズ分析やテクニカル分析などを用いた執筆者個人の判断に基づくものであり、予告なく変更になる場合があります。また、相場の行方を保証するものではありません。お取引はご自身で判断いただきますようお願いいたします。
  • 当レポートのデータ情報等は信頼できると思われる各種情報源から入手したものですが、当社はその正確性・安全性等を保証するものではありません。
  • 相場の状況により、当社のレートとレポート内のレートが異なる場合があります。
topへ