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トルコリラ:トルコ中銀政策会合、利上げへ

2023/12/21 08:50

【ポイント】
・米国の長期金利が一段と低下すれば、米ドル安材料になりそう
・トルコ中銀の利上げ幅は? 利上げサイクル終了が示唆されるか

(欧米市場レビュー)

20日の欧米時間の外為市場では、英ポンドが軟調に推移。一時、英ポンド/米ドルは1.26234ドル、英ポンド/円は181.260円へと下落し、ユーロ/英ポンドは0.86634ポンドへと上昇しました。英国の11月CPI(消費者物価指数)は総合指数が前年比3.9%、食品・エネルギー・アルコール・たばこを除いたコア指数が同5.1%と、いずれも市場予想の4.4%と5.6%を下回りました。これを受けてBOE(英中銀)の利下げ観測が市場で強まり、英ポンドへの下押し圧力となりました。

(本日の相場見通し)

本日は、米国の12月フィラデルフィア連銀製造業景気指数や先週分の新規失業保険申請件数が発表されます(いずれも日本時間22:30)。

市場予想は以下の通り。( )は前回の結果です。
・フィラデルフィア連銀製造業景気指数:マイナス3.0(マイナス5.9)
・新規失業保険申請件数:21.5万件(20.2万件)

フィラデルフィア連銀製造業景気指数は前回から改善するものの、引き続きマイナスになるとみられています。新規失業保険申請件数は前回から増加すると予想されています。

これらが市場予想よりも弱い結果になれば、米ドルが軟調に推移しそうです。米ドル/円や米ドル/カナダドルは下落し、一方でユーロ/米ドルや豪ドル/米ドル、NZドル/米ドルは上昇する可能性があります。ユーロ/米ドルは、1.10139ドル(11/29高値)が目先の上値メドです。

※米ドル/円のテクニカル分析は、本日の『テクニカル・ポイント』[米ドル/円、200日MAが“分水嶺”となりそう!“猫の目相場”が継続するか]をご覧ください(マイページへのログインが必要です)。

米国の長期金利(10年物国債利回り)の動向にも注目です。米長期金利は20日に一時3.84%へと低下し、7月下旬以来、およそ5カ月ぶりの低い水準をつけました。英国の11月CPIが市場予想を下回ったことや米国株の下落が、米長期金利への低下圧力となったようです。

米長期金利の低下は、米ドルにとってマイナスになると考えられます。米長期金利が一段と低下する場合、米ドル安材料になるかもしれません。

***

TCMB(トルコ中銀)の政策会合が本日開かれます。会合の結果は、日本時間20時に発表されます。

TCMBは6月にエルカン氏が総裁に就任してから金融政策を転換。インフレの抑制に向けて積極的に利上げを実施しており、エルカン総裁が就任した時に8.50%だった政策金利は40.00%になりました。

本日の会合でも利上げが行われそうです。ただし、利上げ幅は前回11月の会合の5.00%から縮小されそうです。11月の会合時の声明で、「金融引き締めのペースは減速して、短期間で引き締めサイクルは完了する」と表明されたからです。市場では、TCMBは本日の会合で2.50%の利上げを行うとの見方が大勢です。

TCMBの声明にも注目です。声明で利上げサイクルの終了が示唆されれば、トルコリラが軟調に推移する可能性があります。

TCMBの政策金利とトルコのCPI

八代和也

執筆者プロフィール

八代和也(ヤシロカズヤ)

シニアアナリスト

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