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IFO企業景況感指数やECBメンバーの発言が材料か

2023/12/18 08:41

【ポイント】
・ドイツやユーロ圏のPMIは総じて市場予想を下回る
IFO企業景況感指数でドイツ景気をめぐる懸念が強まる可能性も
ECB理事会メンバーは金融政策についての手がかりを提供するか

(欧米市場レビュー)

15日の欧米時間の外為市場では、ユーロが軟調に推移。一時、ユーロ/米ドルは1.08871ドル、ユーロ/円は154.367円、ユーロ/英ポンドは0.85702ポンドへと下落しました。ユーロ圏やドイツの12月のPMI(購買担当者景気指数)速報値が市場予想を下回ったことが、ユーロに対する下押し圧力となりました。ウィリアムズNY連銀総裁がインタビューで米FRBが24年3月に利下げする可能性に関する質問に「(FRBの)利下げについて推測するのは時期尚早だ」と述べたことも、ユーロ/米ドルの重石となりました。

PMIの結果は以下の通り。( )は市場予想です。
<ユーロ圏>
・総合:47.0(48.0)
・製造業:44.2(44.6)
・サービス部門:48.1(49.0)

<ドイツ>
・総合:46.7(48.2)
・製造業:43.1(43.2)
・サービス部門:48.4(49.8)

カナダドルは堅調。一時、米ドル/カナダドルは1.33495カナダドルへと下落し、カナダドル/円は106.343円へと上昇しました。マックレムBOC(カナダ中銀)総裁が「利下げを議論するのは時期尚早」「我々が議論しているのは、十分に利上げを行ったかどうか、あるいは現在の政策金利の水準をどれくらいの期間維持するかだ」などと発言。市場のBOCの利下げ観測をけん制し、そのことがカナダドルの支援材料となりました。

※米ドル/カナダドルのテクニカル分析は、本日18日の『テクニカル・ポイント』[ドルカナダ、週足チャートでは往って来いとなるレンジ相場を示唆!]をご覧ください(マイページへのログインが必要です)。

(本日の相場見通し)

本日は、ドイツの12月IFO企業景況感指数が発表されます(日本時間18:00)。IFO企業景況感指数の市場予想は87.7と、11月の87.3から上昇するとみられています。

上述の通り、15日に発表されたドイツのPMIは軒並み市場予想を下回りました。IFO企業景況感指数が市場予想を下回る結果になれば、ドイツの景気をめぐる懸念からユーロが軟調に推移する可能性があります。ユーロ/英ポンドは、0.85494ポンド(12/11安値)が目先の下値メドです。

本日はまた、シュナーベルECB(欧州中銀)専務理事やレーンECB専務理事、ウンシュ・ベルギー中銀総裁、ブイチッチ・クロアチア中銀総裁が講演します。市場では、ECBは早ければ24年3月に利下げを行うとの観測があります。シュナーベル専務理事らECB理事会メンバーが金融政策の先行きについて新たな手掛かりを提供すれば、ユーロが反応しそうです。

米国の長期金利(10年物国債利回り)の動向にも注目です。FRB(米連邦準備制度理事会)の早期の利下げ観測から米長期金利には低下圧力が加わっており、米長期金利は14日に一時3.88%へと低下し、7月下旬以来、約4カ月半ぶりの低い水準をつけました。

米長期金利がさらに低下すれば、米ドルが軟調に推移して、米ドル/円や米ドル/カナダドルは下落し、一方で豪ドル/米ドルやNZドル/米ドルは上昇しそうです。米ドル/の目先の下値メドとして、140.949(12/14安値)が挙げられます。

八代和也

執筆者プロフィール

八代和也(ヤシロカズヤ)

シニアアナリスト

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