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【アップデート3】中国恒大、UAWストライキ、米シャットダウン

2023/09/27 07:26

【ポイント】
・中国恒大は清算の危機
・UAWはフォードにも攻撃?
・米予算は下院が上院案を受け入れるか

中国恒大は清算の危機
中国の不動産開発大手、恒大集団(以下、中国恒大)が清算の危機に瀕しています。中国恒大の本土部門の地産集団がオンショア債(人民元建て社債)の元本40億元と利子の支払いができませんでした。また、元CEO(最高経営責任者)や元CFO(最高財務責任者)が不正に関連して中国当局に拘束されたとの報道もあります。

中国恒大は、25—26日に予定していた債権者会議をキャンセルし、債務の再編計画を新たに練り直すとのこと。これに先立ち、中国恒大は新規に債券を発行するための規制当局の資格を満たすことができませんでした。そのため、300億ドルを超えるオフショア債務(米ドル建て社債など)の再編計画が宙に浮いてしまった模様です。債務再編が進まなければ、中国恒大は清算されるかもしれません。

中国恒大は10月30日に香港の裁判所で会社清算の申し立てにかんする審問を受けることになっています。

バイデン大統領がUAWを激励
UAW(全米自動車労組)は22日、GMとステランティスの20州38工場へストライキを拡大しました。当初の1.3万人にくわえて、新たに5,600人がストライキに参加しました。フォードに対しては労使交渉に進展があったとして、当初の1工場へのストライキの継続にとどめました。もっとも、フォードが25日に、中国企業の協力で建設中だったバッテリー工場の建設を中国当局の関与が疑われるとして停止したため、雇用創出に期待していたUAWから強い批判を受ける結果となっています。

バイデン大統領は26日にデトロイトにあるGMの工場を訪問し、ストライキ中の組合員に対して「要求を貫徹せよ」と呼びかけて激励しました。27日にはトランプ前大統領がデトロイトを訪問する予定です。同じ日に共和党の大統領候補は2回目のディベート(討論会)を行います。

短期のシャットダウンは不可避?
米上院では、共和党と民主党が継続予算に関して合意に達しました。11月17日までをカバーするもので、バイデン大統領が要求するウクライナ支援240億ドルのうち60億ドル、同じく災害地救済160億ドルのうち60億ドルを含みます。

上院は24年度が始まる10月1日午前0時までに継続予算を含む法案を採決する予定です。ただし、下院も同一の法案を可決しなければ、継続予算は成立せずシャットダウン(政府機能の一部停止)が発生することになります。現時点では、大幅な歳出削減を求める共和党の保守強硬派が強く反対しているため、下院での採決の見通しも立っていません。保守強硬派は民主党と妥協した法案を下院で採決に持ち込もうとすれば、マッカーシー下院議長(共和党)を解任すると警告しているようです。

シャットダウンが短期間であれば、一般市民が不便を感じる以外に大きな影響はないかもしれません。ただし、労働省の一部業務停止により9月雇用統計の発表が当初予定の10月6日から遅延するなど(※)、市場で混乱が起きる可能性はあります。

※2日のISM製造業・4日のISM非製造業景況指数、同ADP雇用統計は発表元が民間のため、影響なし。3日のJOLTS(労働動態調査)は労働省管轄で影響あり
西田明弘

執筆者プロフィール

西田明弘(ニシダアキヒロ)

チーフエコノミスト

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