ベッセント vs ウォーシュ
2026/08/28 07:20
※本日28日、日本時間午後11時からジャクソンホール会議でウォーシュFRB議長が講演します。同じタイミングで米雇用統計の年次ベンチマーク改定(暫定値)が公表されます。これは今年3月時点の失業保険申請件数を全数カウントすることで、当時の雇用者数の水準を改定するもの(例月はサンプル調査)。昨年の改定は91.1万人の下方修正でした。今年の市場予想は18.3万人の上方修正。正式な年次改定は27年2月(1月分)に発表されます。
【ポイント】
・ベッセント財務長官は市場に介入して長期金利の抑制を図る
・ウォーシュ議長は市場に対して先行きの意向を伝達しない
・両者の“メンター”、ドラッケンミラー氏はベッセント長官を批判
ベッセント米財務長官(65)、ウォーシュFRB議長(56)。2人はともにトランプ政権で指名されました。前者は財政政策(主として債務管理)、後者は金融政策の運営を担っているという違いはありますが、ここにきて市場との付き合い方の違いが鮮明になっています。
ベッセント長官は、長期金利の上昇に対して相次いで金利抑制策を打ち出しました。7月31日の日米協調介入に際しても、例の「円買い、50~100億ドル」のメモをメディアに晒すことで、投資家のマインドに影響を与えようとしたとも考えられます。要するに、市場をコントロールしようとする介入主義と言えそうです。
■8月25日付け「ベッセント長官の金利抑制作戦は成功するか」をご覧ください。
一方、ウォーシュ議長はフォワードガイダンスを廃止するなど、市場とのコミュニケーションを減らそうとしています。市場がFRBからのメッセージに反応するのではなく、経済データなどに強く反応することを奨励しているようです。市場と距離を取る、ある意味で放任主義と言えるかもしれません。
2人には共通のメンターがいます。ソロス・ファンドでらつ腕を振るったドラッケンミラー氏(73)です。ベッセント財務長官は、若くしてソロス・ファンドに参画し、直属の上司にあたるのがドラッケンミラー氏だったようです。ウォーシュ議長は議長就任直前までドラッケンミラー氏のデュケイン(デュケーヌ)・ファミリーオフィス(※)に所属していました。
※富裕層の資産管理・運用などを総合的に行う非公開企業。主に1家族を対象とします。
ドラッケンミラー氏は8月24日のメディアへの寄稿で、財務省が打ち出した国債買い戻し計画を批判しました。「政府がファンダメンタルズに反して価格を支えようとしても、必ず失敗する」と。これはある意味当然かもしれません。なにしろ、92年英ポンド危機では、英ポンドと独マルク(当時)など欧州通貨との為替レートを一定のバンド内に収めるERM(欧州為替相場メカニズム)に留めるようBOE(英中銀)が英ポンドを買い支えようとしました。これに対して、英ポンドを売り浴びせてERMから離脱させたのがソロス・ファンドであり、指揮を執ったのがドラッケンミラー氏で、(おそらく)手足として動いたのがベッセント長官でした。ベッセント長官は当時の信条(狙い)とは真逆のことをしていると言えそうです。
さて、本日28日午後11時(日本時間)からジャクソンホール会議でウォーシュ議長が講演を行います。議長は、7月29日のFOMC後の記者会見では政策金利を据え置いた理由をほとんど説明しなかったと批判を浴びました。今回は何らかのメッセージを伝えるでしょうか。
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