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米イ合意、中央銀行ウィーク、英選挙

2026/06/15 12:04

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【今週のポイント】
・米国とイランが合意に達し、市場はリスクオンに大きく傾くか
・中銀会合を受けて市場の金融政策見通しに変化はあるか
・RBAの声明や総裁会見で先行きの金融政策についてどのようなヒントが提供されるか

日本時間15日早朝、米国とイランが合意に達したと両国が発表しました。合意のニュースを受けて、WTI原油先物価格が一時1バレル=80ドル近辺に下落。米ドルがほぼ全面安となっています。日経平均は一時3,600円超上昇して高値を更新、7万円に接近しました。

今週の主な経済指標・イベント

米国とイランがホルムズ海峡の封鎖を解除することや、60日とされる停戦中にイランの核開発などについて協議すること以外の詳細な内容は不明です。イラン側の報道によれば、19日に予定されている覚書の署名後に合意文書が発表されるとのことです(その前にもう少し内容が明らかになると思われますが・・)。

もっとも、ホルムズ海峡の封鎖解除後の運営方式、イランの核開発、イスラエルとレバノンの和平などの課題が協議期間中に解決する保証はありません。もちろん、最終合意に至れば、中東情勢がイラン戦争前の状況に戻り、原油の価格やサプライ・チェーンも正常化するでしょうが、それには時間がかかりそうです。また、いずれかの側の武力行使など、何らかのキッカケによって合意が反故にされる可能性も排除できません。引き続き状況を注意深く見守る必要はありそうです。

15‐17日にG7首脳会議(エビアン、フランス)。中東情勢やエネルギー安全保障、ウクライナ支援、中国を念頭においたレアアースの問題などが討議されそうです。ベネズエラやイランなどで単独行動に突き進んだ米国と他の参加国、とりわけ欧州諸国との関係を修復・強化できるのか、ウクライナ支援の温度差をどう埋めるかなどが注目されるところでしょう。

中央銀行の金融政策会合が相次ぎます。日銀は利上げがほぼ確実視され、米FOMC、英BOE、豪RBA、リクスバンク(スウェーデン中銀)、ノルゲバンク(ノルウェー中銀)は据え置かれる可能性が高そうです。違う結果となればかなりのサプライズ。市場の予想通りであれば、金融政策の先行きについてどんなヒントが出されるか。各総裁・議長の記者会見/発言に要注目です。FOMCは、5月に就任したウォーシュFRB議長が仕切ります。ウォーシュ議長は、金融政策の運営スタイルを変えようとしています。今回の初陣で、それに関する意思表明はあるでしょうか。

18日に英庶民院(下院)の補欠選が実施されます。仮に、バーナム・マンチェスター市長が当選すれば、議員として与党労働党の党首選に出馬する資格を得ます。そして、党首選が行われれば、バーナム氏が党首(=首相)になる可能性が高いようです。バーナム氏は穏健なリベラル派です。財政規律を順守すると公言していますが、果たしてリベラルな政策を推進しつつ、それが可能か。また、将来的なEU再加盟の可能性はあるか。英国政治・経済の先行きに重要な意味を持つ補欠選であり、その結果に市場が反応するかもしれません。<西田>

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米国とイランが戦闘終結に向けた覚書で合意しました。イランの核開発問題やホルムズ海峡の扱いなど不透明な部分はあるものの、目先は米ドルが軟調に推移して、原油価格に対して下押し圧力が加わりやすくなる可能性があります。原油価格が下落を続ける場合、ノルウェークローネやカナダドル、メキシコペソなど産油国の通貨にとってマイナスになりそうです。

今週は、15-16日にRBA(豪中銀)の政策会合が開かれます(会合の結果が判明するのは16日)。市場では、RBAは政策金利を据え置くとの見方が大勢です。RBAの声明や会合後に行われるブロック総裁の会見で、同中銀の先行きの金融政策についてどのようなヒントが提供されるのか注目されます。

本邦当局の対米ドルでの円安への対応にも引き続き注目です。片山財務相は9日の閣議後の会見で、「常に断固たる措置をとる用意があることは変わらない」と述べ、為替介入(米ドル売り・円買い介入)も辞さない姿勢を改めて示しました。本邦当局による為替介入が再度実施される、あるいはその準備ともされるレートチェックがあれば、米ドル/円が大きく下落して、NZドル/円などはそれに引きずられると考えられます。<八代>

今週の注目通貨ペア①:<米ドル/円 予想レンジ:155.000円~161.000円>
米ドル/円は6月に入って160円近辺で揉み合っています(米国とイランが合意した15日もあまり大きな変動はないようです)。

日銀の金融政策決定会合や米FOMCが相場材料になりそうです。日銀の0.25%利上げとFRBの据え置きがいずれも確実視されています。仮に、日銀が追加利上げに慎重な姿勢をみせ、一方でFRBが予想外にタカ派的メッセージを発信すれば、米ドル/円に上昇圧力が加わりそうです。その場合、米ドル/円の上昇に弾みがつくようなら、本邦当局による口先介入や実弾介入の可能性に注意する必要がありそうです。

逆に、日銀が追加利上げに積極的な姿勢をみせ、FRBがウォーシュ議長の主導で利下げに含みをみせるならば、米ドル/円に下落圧力が加わりそうです。また、中東情勢に関わるリスクオフが後退して(リスクオンが強まって)、リスクへの感応度が高い豪ドルやNZドル、新興国通貨が対米ドルで上昇するならば、円もつれ高する可能性はありそうです(ただし、その程度は限定的か)。<西田>

今週の注目通貨ペア②:<英ポンド/米ドル 予想レンジ:1.30000ドル~1.34000ドル>
英ポンド/米ドルは過去1年間、1.30000ドル~1.34000ドルの比較的狭いレンジで推移しており、足もとでレンジのほぼ中央にあります。米FRBと英BOEの政策金利はほぼ同じ水準であり、OIS(翌日物金利スワップ)でみる、市場が予想する利上げ幅はFRB<BOE。ただし、その差はわずか。中東情勢や原油価格次第で英ポンド/米ドルはどちらにも動きそうです。

注目は18日の英庶民院補欠選でしょう。バーナム氏が当選すれば、与党労働党の党首選を経てバーナム氏が党首(=首相)になる可能性が高まります。現スターマー政権は国民の支持が低迷しているため、バーナム首相誕生が現実味を帯びれば、新政権への期待から英ポンドの支援材料になるかもしれません。ただし、バーナム氏が財政規律順守の公約を反故にするなら、「トラス・ショック」の再来が懸念されるところでしょう。

今週の注目通貨ペア③:<ノルウェークローネ/スウェーデンクローナ 予想レンジ:0.97500Sクローナ~1.25000Sクローナ>
ノルウェークローネ/スウェーデンクローナ(NOK/SEK)は5月に約2年ぶりとなるパリティ(1.00000Sクローナ)超えを示現しましたが、足もとで原油価格の下落によって再びパリティを割り込んでいます。米国とイランの協議が進展して、原油価格が一段と下落すれば、NOK/SEKにさらなる下押し圧力が加わりそうです。

12日時点のOIS(翌日物金利スワップ)に基づけば、リクスバンク(スウェーデン中銀)とノルゲバンク(ノルウェー中銀)の政策会合では、いずれも高い確率で据え置きが予想されています。リクスについては8月会合で約6割の確率で利上げが、5月に利上げしたばかりのノルゲについても9月会合で7割強の確率で利上げが予想されています。

政策金利はノルゲが4.25%、リクスが1.75%と、両者の差はNOKに有利です。もっとも、中東情勢や原油価格の動向次第では、市場の金融政策見通しは大きく変わり得るでしょう。仮に、状況が大きく変わって利下げが必要な展開となれば、金利水準の高いノルゲの方が利下げ余地は大きいとみられ、その場合はNOK/SEKに下押し圧力が加わりそうです。<西田>

今週の注目通貨ペア④:<豪ドル/NZドル 予想レンジ:1.19000NZドル~1.22000NZドル>
今週の豪ドル/NZドルは、15-16日に開かれるRBA(豪中銀)の政策会合のほか、18日のNZの1-3月期GDP(国内総生産)の結果が相場材料になりそうです。

RBAは前回5月まで3会合連続でそれぞれ0.25%の利上げを行いました。ただし、RBAは前回会合の声明で「金融政策は今後の展開に対応できる良い位置にある」とし、ブロック総裁は会見で「政策金利はやや(景気)抑制的な水準にある」と指摘。利上げはいったん停止される可能性が示されました。

市場は、今回の会合で政策金利は据え置かれると予想しています。そのとおりの結果になれば、RBAの声明やブロック総裁の会見に市場が反応しそうです。

市場では、RBAの政策金利は次回8月会合以降も当面据え置かれるとの観測があります。声明や総裁会見がその観測を強める内容になるのかどうか注目です。

RBNZ(NZ中銀)は12月末までに0.25%の利上げを3回行うとの観測が市場にはあります。NZのGDPの結果を受けてその観測がどのように変化するのか注目されます。

RBAの追加利上げ観測が後退する一方で、RBNZの利上げ観測が強まる場合、豪ドル/NZドルには下押し圧力が加わりそうです。<八代>

今週の注目通貨ペア⑤:<米ドル/カナダドル 予想レンジ:1.38000カナダドル~1.41500カナダドル>
米ドル/カナダドルは11日に一時1.40193カナダドルへと上昇し、25年11月下旬以来およそ6カ月ぶりの高値をつけました。FRBの利上げ観測が米ドル/カナダドルが堅調な主な要因と考えられます。

今週は16-17日にFOMCが開かれます。その結果が米ドル/カナダドルの動向に影響を与えそうです。FOMCの結果を受けてFRBの利上げ観測が強まる場合、米ドル/カナダドルには上昇圧力が加わるとみられます。

米国とイランが戦闘終結に向けた覚書で合意したことで、目先はリスクオン(リスク選好)が強まるとともに、原油価格には下押し圧力が加わる可能性があります。リスクオンは米ドルにとってマイナス、原油価格の下落はカナダドルにとってマイナスになると考えられます。そのため、米国とイランの合意が米ドル/カナダドルの動向に与える影響は限定的になる可能性があります。<八代>

西田明弘

執筆者プロフィール

西田明弘(ニシダアキヒロ)

チーフエコノミスト

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