みんな使ってるの?決済トレール

2021/10/15 09:02

トラリピ運用のコツ


トラリピの決済注文として設定できる「決済トレール」。
うまく相場の変動に合わせることができればトラリピでさらなる利益獲得を期待できますが、使いこなすにはちょっとしたコツをつかむ必要があります。今回は、実際の利用状況も含めて「どんな相場・どんな通貨ペアで設定するか」を考えてみたいと思います。

もう使っている方もまだ使ったことのない方も、この機会に決済トレールのことを学んでみませんか?


■決済トレールとは

はじめに「決済トレール」とはどのようなものなのか、簡単に確認しておきましょう。

ご存じのとおり、トラリピは仕掛けたレンジの範囲内で価格が上下動をする限り、自動で売買を繰り返し、利益を積み重ねてくれるもの。
たとえば買いのトラリピなら次の図のように「下がってきたところで買い、上がったら売る」を繰り返していきます。


では、もしも価格が上下動せずに次のように動いてしまったらどうなるでしょう?


この状態では、価格が仕掛けたレンジの外に出てしまったのでポジションを持つこともできません。振り返って考えてみると、「トラリピではなく、そのままポジションを持っておいた方がよかった……」と後悔してしまうことがあるかもしれませんね。

そんなときに活躍するのが「決済トレール」です。
決済トレールを設定しておくと、値動きを追いかけるように決済価格が移動していきます。




やがて反転して下落に転じ、追いかけてきた決済価格を下回ったらそこで成立。利益を確定させます。
今回は「買い」の場合で説明しましたが、「売り」の場合も同様です。価格が下落していくと決済価格が移動し、反転すると成立します。

決済トレールが成立しても、もちろんリピートは有効です。また新たな指値が発注されます。ただし、そもそも仕掛けているレンジを大きく外れてしまっている場合などはトラリピを新たに仕掛け直す・あるいは追加で仕掛ける、といった対応を検討してもよいかもしれません。

★決済トレールの仕組みや注文一覧画面での確認方法について、詳しくはこちらのページで解説しています。ご参考にどうぞ。
https://www.m2j.co.jp/fx-toraripi/order-type/settlement-trail

また、決済トレールの設定はトラリピを仕掛けた後でも変更可能です。状況に応じてON/OFFができる、という点をぜひ覚えておいてください。



■実際に使っている人はどのくらい?

2021年10月8日時点の状況を調べてみました。結果は次のとおりです。

※2021年10月8日時点で有効なトラリピを仕掛けている口座を母数とし、1件でも決済トレールの設定があれば「仕掛けている」にカウント。

注釈のとおり、1件でも決済トレールを設定していれば「仕掛けている」と判断しています。すると、26.2%の方が決済トレールを使っているということが分かりました。トラリピを仕掛けている人のうち、およそ4人に1人ですね。
決済トレール設定の際には、少しばかり注意しなければならないポイントがあります(この注意点については、このレポートの最後でお伝えします)。

次の項では通貨ペアごとの設定率も確認してみます。



■通貨ペアごとの設定率

前項は「口座数」でしたが、今度は2021年10月8日時点で有効なトラリピのうち、決済トレールが設定されているトラリピの割合を通貨ペアごとに集計してみました。

※2021年10月8日時点で有効なトラリピで計測

口座数として数えると全体の約4分の1でしたが、通貨ペアごとに見るとばらつきがありますね
もっとも設定率が高かったのはGBP/JPY(英ポンド/円)です。次いでGBP/USD(英ポンド/米ドル)、EUR/USD(ユーロ/米ドル)。やはり大きく動きやすい通貨ペアほど決済トレールの設定率も高いようです。一方、EUR/GBP(ユーロ/英ポンド)やAUD/NZD(豪ドル/NZドル)といった比較的狭いレンジ相場を形成していることが多い通貨ペアでは決済トレールの設定率は低めでした。

運用する通貨ペアの特徴に合わせて活用する。これが、決済トレールを使いこなすポイントかもしれません。



■使うときは、こんな点に注意

利益を取りこぼさないようにサポートしてくれる「決済トレール」ですが、場合によっては逆に利益を取りこぼす原因になってしまうこともあります。

●あれ?なかなか決済成立しないぞ……
決済トレールを設定している場合に利益確定するには、「トレール値幅の分だけ大きく動く必要がある」ということを忘れないようにしてください。

どういうことか、米ドル/円の買いトラリピを例に挙げて考えてみましょう。
米ドル/円の場合は+0.200円(+20pips)動くごとに決済価格が移動します。もともと設定している利益値幅に加えて0.200円(20pips)上昇しないと決済注文が有効にならないのです。
例えば「0.500円(50pips)」の利益値幅でトラリピを仕掛けるとします。100.000円でポジションを持った場合、決済トレールを設定していなければ100.500円で決済注文が成立しますが……


決済トレールを設定すると、前述のとおり「0.200円(20pips)」が上乗せされ、決済成立するには最低でも0.700円(70pips)上昇する必要があるのです。例でいえば、100.700円まで上昇する、ということです。100.700円まで上昇してはじめて、「100.500円で売る」ことができるようになる、つまり「上がってから下がる」ことで決済されるのです。
もっと上昇した場合も同様。0.200円ごとに決済価格が移動するので、もしも100.900円まで上がったら決済注文は100.700円になります。ただし、100.800円までしか上がらなかったら有効な決済注文は100.500円のままということになります。

決済トレールを利用する際は「トレンドを追いかけてくれる」という利点だけでなく、トレール幅のことも忘れないように気を付けましょう。


●利益確定したらマイナスになった⁉
「決済トレール」では、決済が売りの場合にはレートが決済価格よりも下回ったときに、決済が買いの場合にはレートが決済価格よりも上回ったときに、成行(なりゆき)注文が発注されます。そのため、想定している決済価格で成立しないことがあります。
場合によっては決済による損益が「マイナス」となってしまうおそれもあるのです。

イメージ図を使って確認してみましょう。
下の図のように、相場の上昇に合わせて決済注文が移動してきました。あと少し下がれば決済注文が成立しそう、という状況です。


ところが、週明けの大きな値飛びなどにより大きく下落してしまったとします。下落した水準から取引が始まり、決済注文が成立。結果として、利益ではなく損失が確定してしまいました。


というわけで、決済トレールを利用するときは

・決済注文が有効になるには、相場がトレール値幅の分だけ大きく動く必要がある
・決済による損益がマイナスになることもあり得る

以上2点を意識するようにしましょう。

***

本来、トラリピが真価を発揮しにくいとされるトレンド相場。ある程度相場を見て運用することが必要になりますが「利益をもう少し伸ばしてみたい」と思ったら利用を検討してみてもよいかもしれません。


topへ