トラリピの落とし穴「非効率なゾーン」って?

2021/04/12 09:30

トラリピ運用のコツ


今回はトラリピ運用をするうえで注意が必要な点である「非効率なゾーン」に焦点をあてて解説します。
トラリピは本来、「効率的」にコツコツ利益を積み上げてくれるもの。でも、そんなトラリピが十分に力を発揮できない仕掛け方があるのです。知らず知らずのうちに「非効率なゾーン」を作っていないか、確認してみませんか?




■「非効率なゾーン」とは何か
非効率なゾーンって?

まずは「非効率なゾーン」が何を指すのかを説明します。
下の図は、ある買いトラリピの仕掛けのイメージです。

トラリピ仕掛けイメージ①

買いトラリピなので買い新規→売り決済を繰り返していく設定。5本のトラップを仕掛けています。

何の問題もないトラリピのように見えますが、よく見てみると決済の「売り」とその上の水準にある新規の「買い」指値の間にすき間ができていることが分かります。このすき間が「非効率なゾーン」。

「非効率なゾーン」をグレーで示したものが次の図です。

トラリピ仕掛けイメージ②

何が非効率なのかというと、「トラリピのレンジ内なのに何も起きない」という点です。価格水準がこのゾーンの中にあるとき、仕掛けているトラリピは新規にポジションを持つこともなければ、決済もしません。予想して仕掛けたレンジの範囲内で動いているのに、この動きを利益に変えられないのはもったいないと思いませんか?

もしもこのすき間が埋まっていれば……
トラリピ仕掛けイメージ③

レンジ内で動いた分だけ、トラリピが利益を獲得してくれます。

では実際のところ、現在有効なトラリピ注文における「トラップ値幅」と「利益値幅」の関係はどうなっているのでしょうか。次のグラフを見てみましょう。

トラップ値幅と利益値幅の関係

2021年3月末時点で有効なトラリピのうち、9割以上が「トラップ値幅<利益値幅」あるいは「トラップ値幅=利益値幅」となっています。が、約1割は「トラップ値幅>利益値幅」になってしまっていますね。
もしかするとあなたのトラリピにも「非効率なゾーン」が存在してしまっているかも……?




■トラップ値幅と利益値幅の確認方法

次に「非効率なゾーン」が存在しているかどうか確認する方法を紹介します。

1.「トラリピ管理表」から確認したいトラリピを選択する
2.トラリピの「利益値幅(利益金額)」の「変更」ボタンを押す
3.「トラップ値幅」が表示されるので、現在の利益値幅と比較して確認する

トラリピ例

例えば上の例(米ドル/円、買いトラリピ)では、「トラップ値幅」は0.400、「利益値幅」は0.200。「トラップ値幅>利益値幅」となっており、この状態ではトラップの間に0.200円分のすき間ができてしまいます。
これがまさに「非効率なゾーン」が存在している状態なのです。




■脱・「非効率なゾーン」のために

自分のトラリピを確認してみたら「非効率なゾーン」があった! という場合、すぐにでも解消したいですよね。ここではその方法を見ていきましょう。

先にお伝えしているとおり、「非効率なゾーン」はトラップ値幅よりも利益値幅のほうが小さくなっていることで生じるもの。この状態は「トラップ値幅≦利益値幅」になるようにトラリピを調整すれば解消されます。考え方は2通りあるので、先ほどの例をもとに解説します。


A.利益値幅を変更する
まず、利益値幅を変更するパターンから。
利益値幅の変更のみであれば、トラリピを取消・再設定する必要はありません。トラリピ詳細画面の「利益値幅」「利益金額」の部分に表示されている「変更」ボタンを押し、数値を入力するだけです。
「利益値幅」「利益金額」のどちらも変更できますが、どちらの値を変更しても意味は同じ。ここでは「利益値幅」を変更する例を紹介します。

利益値幅修正

確認方法のところでお伝えしたとおり、「変更」ボタンを押すと「トラップ値幅」を確認できます。

利益値幅変更②

上の例では、この画面で利益値幅に「0.400」を入力して変更実行すれば「トラップ値幅=利益値幅」となり、操作完了です。

【ポイントその1】
利益値幅の変更は、ここでお伝えしたとおりとても簡単に行うことができます。たとえ「非効率なゾーン」がなくても、相場のボラティリティに合わせて利益値幅を変更することでトラリピをより効率よく運用できるでしょう。ただ、変更によって「非効率なゾーン」を作ってしまっては元も子もありません
変更する際は気を付けてくださいね。



B. トラップ値幅を変更する
次はトラップ値幅を変更するパターンです。

トラップ値幅を変える場合には、
・レンジを変える
・トラップ本数を変える
という2つの方法があります(もちろん両方変更もありえます)。便宜上「変更」としていますが、実際はトラリピを再設定する必要があります。トラリピの再設定ボタンはトラリピ詳細画面の下部にあります。

トラリピ再設定

レンジあるいはトラップ本数を変更すると、トラップ値幅もそれに応じて変化します。利益値幅の値を見ながら調整してみてください。自分で計算する必要はありませんが、トラップ値幅の計算式は次のとおり。

【トラップ値幅の計算式】
トラップ値幅=レンジ幅÷(トラップ本数-1)

トラップ値幅は上記のような式で算出しているので、レンジの幅とトラップ本数の組み合わせによってはどうしても割り切れず、利益値幅と合わないこともあるでしょう。そのような場合は「非効率なゾーン」ができないよう、利益値幅の方をトラップ値幅より少しだけ大きくすることをおすすめします。

また、トラップ値幅を指定して設定することもできます。この場合はレンジが自動で調整されるので、自分の仕掛けたい範囲からずれないように注意しましょう。

トラップ値幅を指定する

【ポイントその2】
トラリピを再設定する場合は、持っているポジションの処理を決める必要があります。トラリピを取り消す時点で同時に決済するか、それともそのまま持ち続けるか、です。そのときのポジション評価損益や相場状況などを考慮して決めるようにしてください。

【ポイントその3】
レンジを変える(=狭くする)とレンジアウトの可能性が高くなります。またトラップ本数を増やすと、証拠金が増えることになるため、きちんとしたリスク管理が必要です。


***

これで「非効率なゾーン」を解消することができました!
面倒だと思うかもしれませんが、このひと手間でトラリピの「非効率」を解消できるのです。

ちなみに、トラリピを注文したことのある方はご存じだと思いますが、トラリピ注文画面にはあらかじめ一定の値が入力された状態になっています。そのまま注文すれば「トラップ値幅=利益値幅」となるように設定されているのです。
注文するときの参考にしてみてください。

「非効率なゾーン」のない、効率的なトラリピ運用で利益を積み上げていきましょう!


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