ユーロの特徴や変動の傾向
ユーロの特徴
米ドルに次いで世界で2番目に取引量の多い通貨
ユーロは、1993年11月に発足したEU(欧州連合)のもとで実施された通貨統合に従って、1999年1月から取引が開始された単一通貨です。
現金通貨としてのユーロは2002年1月誕生と歴史が浅いのですが、取引量は米ドルに次いで世界第2位と、国際通貨としての地位を確立しています。
2022年9月現在、ユーロは「ユーロ圏」と呼ばれるEU加盟の19カ国と、非EU加盟国6カ国の合計25カ国で使用されています。
ユーロ導入は、ユーロ圏内での商取引で両替に費やす時間と手数料が節約できるほか、為替変動リスクを避けられる点が利点に挙げられます。
一方、ユーロ参加国の財政政策は各国の主権が相応に維持されており、財政基盤の強い国・弱い国が混在する形となっています。2010年の「欧州ソブリン危機」のように、一部の財政基盤の弱い国の問題がクローズアップされると、共通通貨であるユーロが下落し、その他の国がデメリットを受けるリスクがあることや、その解決のために財政基盤の強い国が、財政基盤の弱い国を助ける(財政支援などを行う)必要が生じることが欠点として挙げられます。
こうしたユーロ圏諸国の「お家事情」の違いがユーロを管理するECB(欧州中央銀行)の意思決定にも影響を与え、機動的な金融政策の運営が難しいともいわれます。
米ドルとユーロの通貨ペアであるユーロ/ドルは世界で最も取引量の多い通貨ペアであり、「ユーロ買いなら、米ドル売り」、または「ユーロ売りなら、米ドル買い」と表裏の関係にあります。よって「ユーロ買い材料は米ドル売り材料」であり、「ユーロ売り材料は米ドル買い材料」となります。例えばギリシャ財政危機は「ユーロ売り材料」であり、その反面、「米ドル買い材料」となります。
ユーロ圏は、ロシア、アラブ諸国とも地理的・経済的に深い関係があり、それらの国々で紛争・テロなどが起きたり、経済危機懸念が高まると、ユーロが売られやすくなるという地政学リスクも持っています。
ユーロの為替動向
ユーロ/円の月足チャート
ユーロの変動要因
主な上昇要因
国際情勢 | 軍事衝突など地政学リスクや世界的な金融不安の後退 |
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政治 | 要人の金融緩和後退発言…「量的緩和(QE)プランに複数の理事が反対」など |
金融政策 | 金融緩和(観測)の後退 |
経済指標 | PMI、CPIなど経済指標が市場予想を上回る良い数字の場合 |
その他 | ユーロ圏諸国の財政収支・経常収支の好転、市場金利の上昇 |
主な下落要因
国際情勢 | 軍事衝突など地政学リスクの高まりや世界的な金融不安の台頭 |
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政治 | 要人の金融緩和容認発言…「必要であれば追加的措置を講じることで全会一致」など |
金融政策 | 金融緩和(観測)の高まり |
経済指標 | 経済指標が市場予想を下回る悪い数字の場合 |
その他 | ユーロ圏諸国の財政収支・経常収支の悪化、市場金利の低下 |
※上昇要因・下落要因は現在の環境による一般的な目安であり、市場の注目度や見方により真逆の値動きになることがあります。
EUの概要
国・地域名 | 欧州連合(European Union)/ユーロ圏(Euro Area) |
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各機関のある都市 | 欧州議会:フランス・ストラスブールおよびベルギー・ブリュッセル
欧州委員会:ベルギー・ブリュッセル 欧州司法裁判所:ルクセンブルク 欧州中央銀行(ECB):ドイツ・フランクフルト |
位置 | 北緯50度07分、西経8度41分(ドイツ・フランクフルト) |
面積 | 423万km²(EU加盟27カ国、Wikipedia) |
人口 | EU 4億4,695万人/ユーロ圏 3億4,257万人(2021年 世界銀行) |
EU加盟国27カ国 | フランス、ドイツ、イタリア、ベルギー、オランダ、ルクセンブルク、デンマーク、アイルランド、ギリシャ、スペイン、ポルトガル、オーストリア、スウェーデン、フィンランド、キプロス、チェコ、エストニア、ハンガリー、ラトビア、リトアニア、マルタ、ポーランド、スロバキア、スロベニア、ブルガリア、ルーマニア、クロアチア(2022年9月現在、太字はユーロ圏加盟国19カ国) |
EU主要国の主な祝祭日
加盟各国により異なります。
(データ出所:JETRO、欧州委員会、IMF、Bloomberg)
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