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ISM製造業景況指数に注目! 市場が反応しそう

2025/11/03 09:05

【ポイント】
・米経済指標の結果やFRB理事などの発言で市場のFRB利下げ観測がどう変化するか
・財新製造業PMIを受けて中国景気への懸念が強まるかどうか

(欧米市場レビュー)

10月31日、欧米時間の外為市場では米ドルが堅調に推移。一時米ドル/カナダドルは1.40298カナダドル、米ドル/シンガポールドルは1.30193シンガポールドルへと上昇し、ユーロ/米ドルは1.15207ドル、英ポンド/米ドルは1.30908ドルへと下落。ユーロ/米ドルは8月1日以来の安値をつけました。ローガン・ダラス連銀総裁とハマック・クリーブランド連銀総裁のタカ派的な発言が米ドルの支援材料となりました。

FRB(米連邦準備制度理事会)は10月28-29日のFOMC(米連邦公開市場委員会)で0.25%の利下げを行うことを決定しました。そのことについてローガン・ダラス連銀総裁は「利下げする必要性は感じなかった」とし、ハマック・クリーブランド連銀総裁は「政策金利を据え置く方が望ましかった」と述べました。

ローガン総裁は「インフレ率が急速に鈍化するか、労働市場が急激に冷え込むとの明確な証拠がない限り、12月に追加利下げを行うことは難しいだろう」とも発言。ハマック総裁は「現在の政策金利の水準は、かろうじて(景気)抑制的、あるいは中立近辺にある」との認識を示し、「インフレを抑制するためには、(政策金利は)ある程度抑制的な水準を維持する必要がある」と語りました。ローガン総裁とハマック総裁は今年のFOMCで投票権を持ちませんが、来年のFOMCではともに投票権があります。

(本日の相場見通し)

本日は、米国の10月ISM製造業景況指数が発表されます(日本時間24:00)。ISM製造業景況指数の市場予想は49.4と、業況判断の分れ目である50は引き続き下回るものの、9月の49.0から上昇するとみられています。同指数の構成項目である雇用指数の結果にも注目です。9月の雇用指数は45.3でした(10月分の市場予想なし)。

クックFRB理事デイリー・サンフランシスコ連銀総裁が本日講演する予定です。

10月29日のパウエルFRB議長の会見を受け、市場では次回12月9-10日のFOMCでの追加利下げ観測が後退しました。CMEのFedWatchツールによると、10月31日時点で市場が織り込む12月の利下げ確率は63%。同28日時点では約90%でした。

※パウエル議長の会見については、10月30日の『ファンダメ・ポイント』[米FOMCはタカ派的利下げ、長期金利&米ドル上昇!]をご覧ください。

本日のISM製造業景況指数が強い結果になる、あるいはクック理事やデイリー総裁がタカ派的な発言をすれば、FRBによる追加利下げ観測が一段と後退して米ドルにとってのプラス材料になりそう。その場合には米ドル/円や米ドル/カナダドル、米ドル/シンガポールドルは堅調に推移し、ユーロ/米ドルや英ポンド/米ドルは軟調に推移すると考えられます。米ドル/シンガポールドルは、200日移動平均線(本日時点で1.30377シンガポールドル)を超えられるか注目されます。

***

10月31日に中国国家統計局が発表した同国の10月製造業PMI(購買担当者景気指数)は49.0と、市場予想(49.6)以上に9月の49.8から低下しました。国家統計局の製造業PMIが業況判断の分れ目である50を下回ったのは7カ月連続です。

10月財新製造業PMIが本日発表されます(日本時間10:45)。財新製造業PMIの市場予想は50.7と、50は引き続き上回るものの9月の51.2から低下するとみられています。

財新製造業PMIも市場予想を下回る結果になれば、中国景気の先行きへの懸念が市場で強まる可能性があります。その場合、豪州やNZドルは中国を最大の輸出先とすることから、豪ドルNZドルにとってのマイナス材料になりそうです。

八代和也

執筆者プロフィール

八代和也(ヤシロカズヤ)

シニアアナリスト

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