マネースクエア マーケット情報

【株価指数】高市トレードは復活するか⁉

2025/10/20 07:03

【ポイント】
・高市首相誕生でも「高市トレード」は限定的?
・米シャットダウン継続中。経済指標なくても利下げは確実!?
・7-9月期の米企業決算が目白押し
・米信用不安が広がる可能性にも要注意

(先週のレビュー)

主要株価指数は乱高下しました。

日経平均は、次期首相に誰がなるかに関する思惑が相場材料になりました。10日の公明党の連立離脱表明を受けて高市首相の誕生が危ぶまれると、高市トレード(株高・円安)が巻き戻されて日経平均は大きく下げて週をスタート。しかし、自民党と日本維新の会が連立を目指して政策協議を行うと、市場では高市首相誕生への期待が株価を押し上げました。ただし、米国で信用不安が高まると17日には値を下げました。FTSE100も同様に17日に大きく値を下げました(後述のようにその後に米株は反発)。

米国では、米中貿易交渉に関する思惑が相場材料になりました。10日にトランプ大統領が対中100%関税を打ち出したことで、NYダウは大きく下落。先週は、トランプ大統領やベッセント財務長官の発言などを受けて、楽観論と悲観論が錯そうしました。

16日には地銀2行での不正融資疑惑から信用不安が台頭。自動車関連企業の破たんなどにも注目が集まりました。VIX指数(別名「恐怖指数」)が上昇、17日には米相互関税絡みで株価が大きく下げた今年4月以来となる30近くに一時達しました。しかし、トランプ大統領が米中交渉に楽観的な見方を示したことや一部の地銀の決算が良好だったことでVIX指数は低下し、NYダウS&P500ナスダック100はいずれも反発して週を終えました。

■10/17付け「米国発信用不安に要注意!?」をご覧ください。


(今週の相場材料)

日本では、21日の臨時国会召集首班指名選挙が注目されます。自民党と日本維新の会が政策協議で合意する方向と報道されており、高市首相誕生の可能性が高まっています。もっとも、市場の関心は、「高市首相が誕生するか否か」から「(高市首相誕生によって)どんな政策が打ち出され、それらの実現性はどうか」へと移るとみられます。自民党総裁選で高市氏がサプライズで勝利した時に比べて「高市トレード」は限定的となるかもしれません。

新政権の誕生が日銀の金融政策に与える影響も気になるところです。日銀の金融政策決定会合は10月29-30日。20日には利上げ推進派の高田審議委員の講演、24日には9月全国CPIの発表があります。追加利上げは12月との見方が多いようですが、それがどう変化するか。

米国では、10月1日に始まったシャットダウン(政府機能の一部停止)が継続中。シャットダウン解消(=予算成立)のメドは立っておらず、22日からの4週目に突入しそうです。シャットダウンが長期化することで、経済活動にも影響が出てきそうです。

シャットダウンによって政府の経済統計は発表が延期されたまま(年金支給に不可欠なCPIは9月分が24日に発表される予定)。経済状況の把握が難しいなか、金融政策を決定するFOMCは10月28-29日に開催されます。FOMC関係者が金融政策について語らないブラックアウト期間が18日に始まっており、CPIを除いて新たな材料は出にくい状況です。市場は年内2回のFOMCで各0.25%の利下げを100%織り込んでいます。

VIX指数は17日に平常時のレンジ上限ともいえる20近辺まで低下しましたが、楽観は禁物でしょう。今年4月以降、主要株価は上値を追う展開が続き、投資家のリスク志向が強まってきただけに、信用不安を強める小さな材料で反動が出るかもしれません。

7-9月期米企業決算の発表も多く、主なものは、21日ゼネラル・モーターズ(GM)、テキサス・インスツルメンツネットフリックス、22日テスラIBM、23日インテルなど。実績のみならず、業績見通しが市場の予想(期待?)を上回ることができるか。
西田明弘

執筆者プロフィール

西田明弘(ニシダアキヒロ)

チーフエコノミスト

  • 当レポートは、情報提供を目的としたものであり、特定の商品の推奨あるいは特定の取引の勧誘を目的としたものではありません。
  • 当レポートに記載する相場見通しや売買戦略は、ファンダメンタルズ分析やテクニカル分析などを用いた執筆者個人の判断に基づくものであり、予告なく変更になる場合があります。また、相場の行方を保証するものではありません。お取引はご自身で判断いただきますようお願いいたします。
  • 当レポートのデータ情報等は信頼できると思われる各種情報源から入手したものですが、当社はその正確性・安全性等を保証するものではありません。
  • 相場の状況により、当社のレートとレポート内のレートが異なる場合があります。
topへ