広がりを見せる米シャットダウンの弊害
2025/10/10 08:27
【ポイント】
・米シャットダウンは解消のメドが立たないまま10日目に突入
・トランプ大統領は、解雇や給与停止、プログラム廃止などに言及
・シャットダウンが長期化すれば、経済活動にも大きな支障が出そう
・「高市トレード」や仏政治不安で米ドル高ながら、先行きには暗い影も?
9日、米上院は7度目の採決で、下院を通過した継続(つなぎ)予算案を否決しました(厳密には採決に必要な60議席以上の支持が集まりませんでした)。これにより、10月1日に始まったシャットダウン(政府機能の一部停止)は10日目に突入します。
トランプ大統領の(アメと)ムチ
トランプ大統領は、民主党が求めるオバマケア(医療制度改革)の補助金延長を検討する姿勢をみせつつも、民主党への脅しを強めています。当初、一時帰休中の連邦職員の一部を解雇する可能性に言及。ついで、一時帰休の連邦職員の給与の支払い停止を示唆(通常、一時帰休中の給与は予算成立後に後払いされます)。さらには、シャットダウンに乗じて民主党主導のプログラムの廃止をほのめかしています。いずれも、大統領権限を逸脱したり、法律に反したりする可能性もありますが、トランプ大統領は意に介せずというところでしょう。
一般市民の不便・経済指標の延期
事態打開のメドが立たないなかで、シャットダウンの弊害が広がりをみせつつあります。短期間であれば、国立公園・博物館や政府窓口を利用する一般市民が不便を感じるだけかもしれません。ただし、すでに雇用統計など重要な経済指標の発表が延期されており、今後も続くようだと、FRBの金融政策だけでなく、一般企業の経営判断にも悪影響が出るかもしれません。
個人消費の重石、クリスマス商戦は?
実際の家計所得の減少や消費者マインドの悪化から個人消費にも影響は出そうです。長期化すれば、クリスマス商戦にも水を差すかもしれません。
航空管制や保安検査、物流にも支障
一時帰休している連邦職員は約75万人、全体の4人に1人とされます。航空管制や保安検査、国土安全保障、税関検査など必要不可欠な業務に携わる職員は稼働しています。ただし、給与が後払いになるため、あるいはトランプ大統領の言動からそれすらも保証されていないため、有休や病欠の職員が増えつつあるようです。そのため、航空旅客や物流にも影響が出始めているようです。
議会は機能不全に?
共和党と民主党の対立が先鋭化しています。短期のつなぎ予算さえ合意できないようでは、26年度の本予算やその他の法案審議も難航する可能性が高そうです。そうした状況は26年11月の中間選挙にも影を落としそうです。また、米議会(とトランプ政権)が責任ある財政政策を運営できないのであれば、どこかで格付けの引き下げも現実味を帯びるかもしれません。
米ドルや米ドル建て資産への信任低下も
NYダウなど主要株価指数は直近まで高値を更新、長期金利(10年物国債利回り)は4%を少し上回る水準で比較的安定に推移しています。年初から下落基調だった米ドル実効レートは7月以降横ばいで推移し、足もとでは「高市トレード」による円安やフランスの政治不安によるユーロ安の影響で反発しています。もっとも、上述したシャットダウンの弊害が一段と大きくなるならば、いずれ米ドルや米ドル建て資産に対する市場の信任が低下することになるかもしれません。
・米シャットダウンは解消のメドが立たないまま10日目に突入
・トランプ大統領は、解雇や給与停止、プログラム廃止などに言及
・シャットダウンが長期化すれば、経済活動にも大きな支障が出そう
・「高市トレード」や仏政治不安で米ドル高ながら、先行きには暗い影も?
9日、米上院は7度目の採決で、下院を通過した継続(つなぎ)予算案を否決しました(厳密には採決に必要な60議席以上の支持が集まりませんでした)。これにより、10月1日に始まったシャットダウン(政府機能の一部停止)は10日目に突入します。
トランプ大統領の(アメと)ムチ
トランプ大統領は、民主党が求めるオバマケア(医療制度改革)の補助金延長を検討する姿勢をみせつつも、民主党への脅しを強めています。当初、一時帰休中の連邦職員の一部を解雇する可能性に言及。ついで、一時帰休の連邦職員の給与の支払い停止を示唆(通常、一時帰休中の給与は予算成立後に後払いされます)。さらには、シャットダウンに乗じて民主党主導のプログラムの廃止をほのめかしています。いずれも、大統領権限を逸脱したり、法律に反したりする可能性もありますが、トランプ大統領は意に介せずというところでしょう。
一般市民の不便・経済指標の延期
事態打開のメドが立たないなかで、シャットダウンの弊害が広がりをみせつつあります。短期間であれば、国立公園・博物館や政府窓口を利用する一般市民が不便を感じるだけかもしれません。ただし、すでに雇用統計など重要な経済指標の発表が延期されており、今後も続くようだと、FRBの金融政策だけでなく、一般企業の経営判断にも悪影響が出るかもしれません。
個人消費の重石、クリスマス商戦は?
実際の家計所得の減少や消費者マインドの悪化から個人消費にも影響は出そうです。長期化すれば、クリスマス商戦にも水を差すかもしれません。
航空管制や保安検査、物流にも支障
一時帰休している連邦職員は約75万人、全体の4人に1人とされます。航空管制や保安検査、国土安全保障、税関検査など必要不可欠な業務に携わる職員は稼働しています。ただし、給与が後払いになるため、あるいはトランプ大統領の言動からそれすらも保証されていないため、有休や病欠の職員が増えつつあるようです。そのため、航空旅客や物流にも影響が出始めているようです。
議会は機能不全に?
共和党と民主党の対立が先鋭化しています。短期のつなぎ予算さえ合意できないようでは、26年度の本予算やその他の法案審議も難航する可能性が高そうです。そうした状況は26年11月の中間選挙にも影を落としそうです。また、米議会(とトランプ政権)が責任ある財政政策を運営できないのであれば、どこかで格付けの引き下げも現実味を帯びるかもしれません。
米ドルや米ドル建て資産への信任低下も
NYダウなど主要株価指数は直近まで高値を更新、長期金利(10年物国債利回り)は4%を少し上回る水準で比較的安定に推移しています。年初から下落基調だった米ドル実効レートは7月以降横ばいで推移し、足もとでは「高市トレード」による円安やフランスの政治不安によるユーロ安の影響で反発しています。もっとも、上述したシャットダウンの弊害が一段と大きくなるならば、いずれ米ドルや米ドル建て資産に対する市場の信任が低下することになるかもしれません。
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