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TCMBは2.50%の利下げを決定

2025/09/12 09:12

【ポイント】
・ミシガン大学消費者信頼感指数で市場のFRB利下げ観測が一段と高まるか
TCMB(トルコ中銀)は今後さらに利下げも!?

(欧米市場レビュー)

11日、欧米時間の外為市場では米ドルが軟調に推移。一時米ドル/円は146.980円、米ドル/カナダドルは1.38254カナダドルへと下落し、ユーロ/米ドルは1.17412ドル、英ポンド/米ドルは1.35774ドルへと上昇しました。米国の8月CPI(消費者物価指数)はほぼ市場予想どおりでした。ただ、CPIと同時刻に発表された同国の先週分の新規失業保険申請件数が26.3万件と市場予想の23.5万件よりも弱い結果となり、市場ではそれが強く意識されたようです。

米CPIの結果は以下のとおり。( )は市場予想です。
<総合>
・前月比:0.4%(0.3%)
・前年比:2.9%(2.9%)

<コア>
・前月比:0.3%(0.3%)
・前年比:3.1%(3.1%)

ECB
(欧州中銀)は金融政策の現状維持を決定。3つの政策金利のうち、ECBが最も重視している下限の中銀預金金利は2.00%、残りの2つ、主要リファイナンス金利は2.15%、限界貸出金利は2.40%にそれぞれ据え置きました。政策金利の据え置きは2会合連続です。

※米CPIやECB理事会について詳しくは、本日の『ファンダメ・ポイント』[ECBは打ち止め⁉ 米CPIは市場予想通りだが・・]をご覧ください。

TCMB(トルコ中銀)は2.50%の利下げを行うことを決定。主要政策金利の1週間物レポ金利を43.00%から40.50%に引き下げました(*詳細は後述)。利下げ幅は市場予想の2.00%よりも大きかったものの、トルコリラに大きな動きは見られませんでした。

(本日の相場見通し)

本日は、米国の9月ミシガン大学消費者信頼感指数・速報値が発表されます(23:00)。

ミシガン大学消費者信頼感指数の市場予想は58.0と、8月確報値の58.2から低下するとみられています。1年先と5年先のインフレ期待の結果にも注目です。8月確報値は1年先が4.8%、5年先が3.5%でした(9月分の市場予想なし)。

市場では、FRB(米連邦準備制度理事会)は年内残り3回(※)のFOMC(米連邦公開市場委員会)全てでそれぞれ0.25%の利下げを行うとの観測があります。

(※)9月16-17日、10月28-29日、12月9-10日

ミシガン大学消費者信頼感指数が弱い結果になれば、その観測が高まるとともに米ドルに対して下押し圧力が加わる可能性があります。その場合、米ドル/円や米ドル/カナダドルは軟調に推移し、ユーロ/米ドルや英ポンド/米ドルは堅調に推移しそうです。米ドル/の下値メドとして、8月14日安値の146.200が挙げられます。

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TCMB(トルコ中銀)は11日に政策会合を開き、2.50%の利下げを行うことを決定。主要政策金利の1週間物レポ金利を43.00%から40.50%へと引き下げました。利下げは2会合連続で、利下げ幅は前回7月の3.00%から縮小されました。

TCMBは声明で、「8月にはインフレの基調的なトレンドが鈍化した」とし、「第2四半期のGDP(国内総生産)成長率は予想を上回ったものの、国内の最終需要は依然として弱い」と指摘。「最近のデータは、需要状況がディスインフレの水準にあることを示している」としました。

声明はまた、「実際のインフレ率やインフレ期待、基調的なインフレ動向を考慮し、中期目標(※)に沿って予想されるディスインフレの道筋に必要な引き締め度合いを確保するように政策金利を決定する」と表明。前回7月会合と同じく「インフレ見通しに重点を置きつつ、(政策金利の)変更幅を会合ごとに慎重に見直す」としました。今後さらに利下げが行われる可能性がありそうです。

ただし、声明では「インフレ期待や(企業の)価格設定行動、世界情勢が引き続きディスインフレのプロセスへのリスクになっている」との認識が示され、「インフレ見通しが中期目標から大きくかい離した場合、金融政策スタンスを引き締める」ともされました。

TCMBの次回会合は10月23日に開かれます。

(※)TCMBは8月14日、インフレ率についての中期目標を発表。インフレ率(CPI上昇率)を25年末までに24%、26年末までに16%、27年末までに9%へと低下させることを目指すとしました。トルコのCPI上昇率は24年5月の前年比75.45%をピークに鈍化傾向にあり、25年8月は32.95%でした。

八代和也

執筆者プロフィール

八代和也(ヤシロカズヤ)

シニアアナリスト

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