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米PPI:関税の影響はタイムラグを伴ってCPIへ?

2025/08/15 08:29

【ポイント】
・7月PPI(生産者物価指数)は最終需要・同コアともに大きく上振れ
・関税の影響がどの程度あり、それが持続するのかの判断は難しい
・FOMCは利下げの是非を慎重に判断か

米国の7月PPI(生産者物価指数)は、市場予想や前月実績を大きく上回りました。7月CPI(消費者物価指数)が比較的落ち着いていたことやトランプ政権からの圧力により、市場には「9月の利下げは確実で、0.50%幅もあり得る」との見方もありましたが、利下げ観測はやや後退しました。長期金利(10年物国債利回り)は反発し、米ドルのサポート材料となりました。

7月雇用統計によって米景気に対する懸念が強まるなか、今後の経済指標で米景気や物価の実態、とりわけ関税の影響を見極める必要がありそうです。まずは、本日15日の7月小売売上高8月ミシガン大学消費者信頼感指数同NY連銀製造業景況指数に注目です。

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米国の7月PPI(生産者物価指数)は、最終需要が前年比3.3%と、市場予想(2.5%)や前月実績(2.3%から2.4%に改定)を上回りました。食料とエネルギーを除く最終需要コアは同3.7%と、こちらも市場予想(3.0%)や前月実績(2.6%)を大きく上回りました。

米PPI

PPI最終需要・同コアとも今年に入って伸びが鈍化していましたが、7月は上振れした形です。まだ、ひと月のデータなので、どの程度関税の影響があって、かつ今後も上振れが続くのかは判断が難しいでしょう。

もっとも、時差相関を用いると(※)、PPI最終需要コアからCPI商品コアへは3~6カ月のタイムラグ、PCE(個人消費支出)コアへは6~9カ月のタイムラグがあるとみることも可能です。あくまで景気と物価の兼ね合いですが、FOMCは利下げの是非を慎重に判断することになりそうです。

※PPI最終需要コアとCPI商品コア、PPI最終需要コアとPCEコアを1カ月ずつずらしながら相関係数(ここでは24カ月間)を求めて何カ月差がある場合に相関係数が大きいかを調べたもの。

米PPIとCPI

PPIとPCE
西田明弘

執筆者プロフィール

西田明弘(ニシダアキヒロ)

チーフエコノミスト

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