米ドルが堅調、対円で3カ月半ぶり高値
2025/07/16 09:03
【ポイント】
・英CPIでBOEの利下げ観測が市場で高まるか
・米経済指標やベージュブックで市場のFRB金融政策見通しが変化するか
(欧米市場レビュー)
15日、欧米時間の外為市場では米ドルが堅調に推移。一時米ドル/円は148.973円、米ドル/カナダドルは1.37251カナダドルへと上昇し、ユーロ/米ドルは1.15914ドル、英ポンド/米ドルは1.33779ドルへと下落。米ドル/円は、4月3日以来3カ月半ぶりの高値をつけました。米国の6月CPI(消費者物価指数)発表後に同国の長期金利(10年物国債利回り)が上昇し、そのことが米ドルの支援材料となりました。
参院選の結果次第で日本の財政赤字が今後拡大するとの懸念(円安要因)も市場にはあり、米ドル/円についてはそれも上昇材料となったようです。
※米CPIについては、本日の『ファンダメ・ポイント』[米CPIは関税の影響がジリジリと・・]にて詳しく解説していますので、ご覧ください。
(本日の相場見通し)
英国の6月CPIが本日発表されます(日本時間15:00)。その結果に英ポンドが反応しそうです。
CPIの市場予想は、総合が前年比3.4%、変動の激しいエネルギー・食品・酒・たばこを除いたコアが同3.5%。上昇率は総合とコアのいずれも前月と同じとなり、BOE(英中銀)のインフレ目標である2%を引き続き上回るとみられています。
BOEは24年8月以降、2会合に1回のペースで4回合計1.00%の利下げを実施。前回6月19日の政策会合では政策金利を4.25%に据え置きました。
市場では、BOEは次回8月7日の会合で0.25%の追加利下げを行うとの見方が有力です。英国のCPIが市場予想を下回る結果になれば、8月の利下げ観測が補強されるとともに、9月以降にさらに利下げするとの観測も高まりそうです。その場合には英ポンドが軟調に推移して、英ポンド/米ドルは下値を試し、ユーロ/英ポンドは上値を試す展開になると考えられます。
※ユーロ/英ポンドのテクニカル分析は、本日の『テクニカル・ポイント』[ユーロ/英ポンド、上昇トレンド継続を示すチャート形状!]をご覧ください(お客様専用ページへのログインが必要です)。
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本日は、米国の6月PPI(生産者物価指数)や6月鉱工業生産が発表され、ベージュブック(米地区連銀経済報告)が公表されます。ベージュブックは、12の地区連銀がそれぞれの管轄地区の経済活動をまとめたものでFOMC(米連邦公開市場委員会)の討議資料となります。
PPIと鉱工業生産の市場予想は以下のとおり。( )は前月の実績です。
<PPI>
・総合:前月比0.2%、前年比2.5%
・コア:前月比0.2%、前年比2.7%
<鉱工業生産>
・前月比0.1%
FRB(米連邦準備制度理事会)は24年9月から12月まで3会合連続で利下げを実施。今年1月以降は、トランプ政権による関税が米経済やインフレに及ぼす影響を見極めるとして、前回6月のFOMCまで4会合連続で政策金利を据え置きました。
市場では、9月に0.25%の利下げが行われるとの見方が引き続き優勢なものの、その確率は低下しているようです。CMEのFedWatchツールによると、米国時間15日時点で市場が織り込むFRBの利下げ確率は、次回7月29-30日のFOMCで約3%、次々回9月16-17日のFOMCまでで約55%です。
PPIや鉱工業生産が市場予想を上回る結果になる、あるいはベージュブックの内容次第では、FRBの追加利下げ観測が市場で後退する可能性があります。その場合には米ドルのプラス材料となり、米ドル/円や米ドル/カナダドルは堅調に推移し、ユーロ/米ドルや英ポンド/米ドルは軟調に推移しそう。米ドル/円の上値メドとして、200日移動平均線(本日時点で149.663円)が挙げられます。
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