ユーロやメキシコペソは上値が重い展開に!?
2025/07/14 09:07
【ポイント】
・トランプ大統領はEUとメキシコに対して30%の関税を課すと表明
・高率の関税を課される国や地域が新たに明らかになるか
・米長期金利が一段と上昇するか
(欧米市場レビュー)
11日、欧米時間の外為市場では英ポンドが軟調に推移。一時英ポンド/円は198.187円、英ポンド/米ドルは1.34785ドルへと下落し、ユーロ/英ポンドは0.86619ポンドへと上昇しました。英国の5月GDP(国内総生産)や5月鉱工業生産が市場予想と比べて弱い結果だったことが、英ポンドへの下押し圧力となりました。
英経済指標の結果は以下のとおり。( )は市場予想です。
・GDP(前月比):マイナス0.1%(プラス0.1%)
・鉱工業生産(前月比):マイナス0.9%(0.0%)
・鉱工業生産(前年比):マイナス0.3%(プラス0.1%)
米ドルは堅調。一時米ドル/円は147.473円へと上昇し、ユーロ/米ドルは1.16641ドル、豪ドル/米ドルは0.65534米ドル、NZドル/米ドルは0.59980米ドルへと下落しました。米国の長期金利(10年物国債利回り)が上昇したことが、米ドルの支援材料となりました。
米ドル/カナダドルは、おおむね1.36カナダドル台後半でのもみ合いでした。トランプ米大統領が東京時間に「カナダからの輸入品に35%の関税を8月1日から課す」との書簡をSNSに公表したことや米長期金利の上昇が米ドル/カナダドルを下支えする一方で、カナダの雇用統計が市場予想と比べて強い結果だったことが米ドル/カナダドルの上値を抑えました。
カナダの雇用統計の結果は以下のとおり。( )は市場予想です。
・失業率:6.9%(7.1%)
・雇用者数(前月比):8.31万人増(0.0万人)
(本日の相場見通し)
トランプ大統領は12日、自身のSNSでEU(欧州連合)とメキシコへの書簡を公表し、EUとメキシコからの輸入品に30%の関税を8月1日から課すと表明しました。
トランプ政権はメキシコに対し、フェンタニル(合成麻薬)の米国への流入などを理由に、すでにUSMCA(米国・メキシコ・カナダ協定)準拠品を除いて25%の関税をすでに課しています。トランプ大統領がSNSで公表した書簡では、USMCA準拠品が引き続き関税の適用対象外になるのかどうか言及されていません。
EUの行政執行機関である欧州委員会のフォンデアライエン委員長は12日、「8月1日までの合意に向けて引き続き取り組む用意があると同時に、EUの利益を守るために必要であれば、対抗措置を含めてあらゆる措置を講じる」と表明しました。
メキシコのシェインバウム大統領は12日の演説で「11日に米国と協議を開始した」とし、「8月1日に関税が発動されるまでに、米国と合意に達すると思う」と述べました。
トランプ大統領がEUとメキシコに30%の関税を課すと表明したことを受け、本日東京時間の外為市場ではユーロやメキシコペソが弱含んでいます。ユーロやメキシコは引き続き上値が重い展開になるかもしれません。
トランプ政権による関税をめぐるニュースには引き続き要注意。トランプ大統領のSNSなどで高率の関税が課される国・地域が新たに明らかになれば、その対象となる国・地域の通貨には下押し圧力が加わりそうです。
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米国の長期金利は11日の取引で上昇し、4.41%で取引を終了(10日終値は4.35%でした)。トランプ政権が関税を引き上げれば米国のインフレ圧力が強まるとの観測が、米長期金利の上昇要因になったようです。
米長期金利が一段と上昇する場合、米ドルが堅調に推移しそう。米ドル/円や米ドル/カナダドルは上値を試し、ユーロ/米ドルや英ポンド/米ドルは下値を試す可能性があります。
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