今週は相互関税やトランプ減税で紆余曲折も⁉
2025/06/30 06:36
【ポイント】
・相互関税上乗せ分の一時停止期限の9日を前に進展はあるか
・共和党が4日までの成立を目指す減税法案の採決がありそう
・ECBフォーラム、日銀短観や高田審議委員の会見にも注目!
(欧米市場レビュー)
27日の欧米時間の外為市場で、カナダドルが下落。米ドル/カナダドルは一時1.37547カナダドルに上昇しました。トランプ大統領はSNSで、カナダとの貿易協議を全て打ち切ると表明。カナダがデジタルサービス税の導入に動いたためとしており、カナダに対して1週間以内に新たな関税率を設定すると警告しました。
米ドル/円は小幅に上昇し、一時144.898円をつけました。米ドル実効レートも上昇し、週初からの下落基調が一服しました。米国の5月PCE(個人消費支出)コアデフレーターが前年比2.7%と市場予想(2.6%)を上回ったことや、6月ミシガン大学消費者信頼感指数が60.7と市場予想(60.5)より良かったことが材料視されたようです。
OIS(翌日物金利スワップ)に基づけば、27日時点で市場が織り込む7月FOMCでの利下げ確率は2割弱に低下。低下基調にあった長期金利(10年物国債利回り)が反発したことが米ドルのサポート材料となりました。
メキシコペソや南アフリカランドも比較的堅調。メキシコペソは、前日のBOM(メキシコ中銀)の利下げが「タカ派的」と解釈されたことがジワリと効いたようです。BOMは0.50%利下げを決定しましたが、追加利下げを示唆するフォワードガイダンスを修正、データ次第との姿勢に変化しました。
南アフリカでは、ラマポーザ大統領が貿易産業副大臣を解任したことで連立パートナーDA(民主同盟)との関係悪化が懸念されていました。しかし、大統領が副大臣の後任をDAに依頼したことで連立維持との思惑から南アランドが買い戻されました。
(今週の相場材料)
今週もトランプ関税が重要な相場材料となりそうです。ベッセント財務長官は27日、相互関税に関して複数の国との交渉が進展していることから、7月9日に到来する相互関税上乗せ分の一時停止期限の延長を示唆しました。一方で、トランプ大統領は延長の可能性を直接否定はしなかったものの、「今後1週間半、あるいはそれ以前に、(決定した関税率について)各国に書簡を送るつもりだ」と記者会見で述べました。一時停止の期限が到来する9日までにまだまだ紆余曲折があるかもしれません。
本日30日から7月2日まで、シントラ(ポルトガル)で恒例のECB中央銀行フォーラムが開催されます。今年のテーマは、「変化への適応:マクロ経済のシフトと政策対応」。1日のパネル討論には、パウエルFRB議長、植田日銀総裁、ラガルドECB総裁、ベイリー英BOE総裁が参加します。目先の金融政策に関するヒントが出されるかは不明ですが、主要4中銀のトップが一堂に会する珍しい機会なので、どんな話になるのか興味深いところでしょう。
7月4日(金)は米国の独立記念日。通常、毎月第1金曜日に発表される雇用統計の6月分は前日3日に発表されます。3日には他にも、新規失業保険申請件数、S&PグローバルPMI、製造業受注、ISM非製造業景況指数など、米経済指標が多く発表されます。株取引は短縮され(日本時間4日02:00まで)、外為市場でも参加者が減少するとみられるなかで、相場変動が大きくなる可能性に注意する必要があります。場合によっては週明け7日の東京市場まで反応が持ち越されるかもしれません。
共和党は、トランプ減税を実現するための予算調整法案(OBBBA)を4日までに成立させることを目指しています。6月28日には党内反対派を翻意させるための新たな上院案が発表されました。トランプ大統領は自ら、あるいはバンス副大統領を議会に派遣するなどして、反対派に圧力をかけているものの、法案の行方は依然として不透明です。相互関税のみならず、大型減税法案に関しても紆余曲折があるかもしれません。上院が修正法案を可決すれば、次は下院に差し戻されます。そちらの動向も不透明です(下院原案は215対214で可決)。
日本では、1日に日銀短観6月調査が発表されます。トランプ関税の影響もあって前回3月調査から悪化が予想されていますが、果たしてどうか。3日には高田審議委員が三重県金融経済懇談会で話す機会があります。タカ派と目される高田委員が利上げに慎重な姿勢をみせれば、市場は反応しそうです。
・相互関税上乗せ分の一時停止期限の9日を前に進展はあるか
・共和党が4日までの成立を目指す減税法案の採決がありそう
・ECBフォーラム、日銀短観や高田審議委員の会見にも注目!
(欧米市場レビュー)
27日の欧米時間の外為市場で、カナダドルが下落。米ドル/カナダドルは一時1.37547カナダドルに上昇しました。トランプ大統領はSNSで、カナダとの貿易協議を全て打ち切ると表明。カナダがデジタルサービス税の導入に動いたためとしており、カナダに対して1週間以内に新たな関税率を設定すると警告しました。
米ドル/円は小幅に上昇し、一時144.898円をつけました。米ドル実効レートも上昇し、週初からの下落基調が一服しました。米国の5月PCE(個人消費支出)コアデフレーターが前年比2.7%と市場予想(2.6%)を上回ったことや、6月ミシガン大学消費者信頼感指数が60.7と市場予想(60.5)より良かったことが材料視されたようです。
OIS(翌日物金利スワップ)に基づけば、27日時点で市場が織り込む7月FOMCでの利下げ確率は2割弱に低下。低下基調にあった長期金利(10年物国債利回り)が反発したことが米ドルのサポート材料となりました。
メキシコペソや南アフリカランドも比較的堅調。メキシコペソは、前日のBOM(メキシコ中銀)の利下げが「タカ派的」と解釈されたことがジワリと効いたようです。BOMは0.50%利下げを決定しましたが、追加利下げを示唆するフォワードガイダンスを修正、データ次第との姿勢に変化しました。
南アフリカでは、ラマポーザ大統領が貿易産業副大臣を解任したことで連立パートナーDA(民主同盟)との関係悪化が懸念されていました。しかし、大統領が副大臣の後任をDAに依頼したことで連立維持との思惑から南アランドが買い戻されました。
(今週の相場材料)
今週もトランプ関税が重要な相場材料となりそうです。ベッセント財務長官は27日、相互関税に関して複数の国との交渉が進展していることから、7月9日に到来する相互関税上乗せ分の一時停止期限の延長を示唆しました。一方で、トランプ大統領は延長の可能性を直接否定はしなかったものの、「今後1週間半、あるいはそれ以前に、(決定した関税率について)各国に書簡を送るつもりだ」と記者会見で述べました。一時停止の期限が到来する9日までにまだまだ紆余曲折があるかもしれません。
本日30日から7月2日まで、シントラ(ポルトガル)で恒例のECB中央銀行フォーラムが開催されます。今年のテーマは、「変化への適応:マクロ経済のシフトと政策対応」。1日のパネル討論には、パウエルFRB議長、植田日銀総裁、ラガルドECB総裁、ベイリー英BOE総裁が参加します。目先の金融政策に関するヒントが出されるかは不明ですが、主要4中銀のトップが一堂に会する珍しい機会なので、どんな話になるのか興味深いところでしょう。
7月4日(金)は米国の独立記念日。通常、毎月第1金曜日に発表される雇用統計の6月分は前日3日に発表されます。3日には他にも、新規失業保険申請件数、S&PグローバルPMI、製造業受注、ISM非製造業景況指数など、米経済指標が多く発表されます。株取引は短縮され(日本時間4日02:00まで)、外為市場でも参加者が減少するとみられるなかで、相場変動が大きくなる可能性に注意する必要があります。場合によっては週明け7日の東京市場まで反応が持ち越されるかもしれません。
共和党は、トランプ減税を実現するための予算調整法案(OBBBA)を4日までに成立させることを目指しています。6月28日には党内反対派を翻意させるための新たな上院案が発表されました。トランプ大統領は自ら、あるいはバンス副大統領を議会に派遣するなどして、反対派に圧力をかけているものの、法案の行方は依然として不透明です。相互関税のみならず、大型減税法案に関しても紆余曲折があるかもしれません。上院が修正法案を可決すれば、次は下院に差し戻されます。そちらの動向も不透明です(下院原案は215対214で可決)。
日本では、1日に日銀短観6月調査が発表されます。トランプ関税の影響もあって前回3月調査から悪化が予想されていますが、果たしてどうか。3日には高田審議委員が三重県金融経済懇談会で話す機会があります。タカ派と目される高田委員が利上げに慎重な姿勢をみせれば、市場は反応しそうです。
- 当レポートは、情報提供を目的としたものであり、特定の商品の推奨あるいは特定の取引の勧誘を目的としたものではありません。
- 当レポートに記載する相場見通しや売買戦略は、ファンダメンタルズ分析やテクニカル分析などを用いた執筆者個人の判断に基づくものであり、予告なく変更になる場合があります。また、相場の行方を保証するものではありません。お取引はご自身で判断いただきますようお願いいたします。
- 当レポートのデータ情報等は信頼できると思われる各種情報源から入手したものですが、当社はその正確性・安全性等を保証するものではありません。
- 相場の状況により、当社のレートとレポート内のレートが異なる場合があります。