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米ドルが引き続き軟調、メキシコ中銀は0.50%の利下げ決定!

2025/06/27 09:21

【ポイント】
PCEデフレーターでFRBの利下げ観測が一段と高まるか
・メキシコ中銀は今後も利下げ!? 利下げ幅縮小も?

(欧米市場レビュー)

26日、欧米時間の外為市場では米ドルが軟調に推移。一時米ドル/円は143.744円、米ドル/カナダドルは1.36171カナダドルへと下落し、ユーロ/米ドルは1.17396ドル、英ポンド/米ドルは1.37695ドル、豪ドル/米ドルは0.65591米ドルへと上昇。ユーロ/米ドルは21年9月以来、英ポンド/米ドルは21年10月以来、豪ドル/米ドルは24年11月以来の高値をつけました。

米紙WSJ(ウォール・ストリート・ジャーナル)は25日(日本時間26日朝)、「トランプ米大統領は、パウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長の後任指名を前倒しして、9月か10月までに選定・発表することを検討している」と報じました。トランプ大統領はFRBに利下げするよう求めており、さらなる利下げに慎重な姿勢を示すパウエル議長を公然と批判しています。利下げに前向きな人物がパウエル議長の後任に選ばれるとの懸念が、米ドルに対する下押し圧力となりました。

BOM(メキシコ中銀)は0.50%の利下げを行うことを決定。政策金利を8.50%から8.00%へと引き下げたものの、メキシコペソに大きな反応はみられませんでした。

(本日の相場見通し)

6月の東京都区部CPI(消費者物価指数)が日本時間午前8時30分に発表されました。生鮮食品を除くコアの結果は前年比3.1%と、市場予想(3.3%)以上に前月の3.6%から伸びが鈍化しました。東京都区部CPIは全国CPIの先行指標とされます(6月の全国CPIは7/18に発表)。

東京都区部CPIの結果が市場で意識されれば、が弱含む可能性があります。

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本日は、米国の5月PCE(個人消費支出)デフレーターが発表されます(日本時間21:30)。その結果に市場が反応しそうです。

PCEデフレーターの市場予想は以下のとおり。( )は前月の実績です。
<総合>
・前月比:0.1%(0.1%)
・前年比:2.3%(2.1%)
<コア>
・前月比:0.1%(0.1%)
・前年比:2.6%(2.5%)

市場では、FRBの利下げ観測が高まっています。CMEのFedWatchツールによると、市場が織り込む利下げ確率は、米国時間26日時点で次回7月29-30日のFOMC(米連邦公開市場委員会)で約2割、次々回9月16-17日のFOMCまでで9割強。18日時点の利下げ確率はそれぞれ約13%と約64%でした。

PCEデフレーターが市場予想を下回る結果になれば、FRBの利下げ観測が一段と高まるとともに、米ドルが軟調に推移しそう。その場合、米ドル/円や米ドル/カナダドルは下落し、ユーロ/米ドルや英ポンド/米ドルは下落すると考えられます。米ドル/カナダドルは、6月16日安値の1.35388カナダドルが下値メドです。

本日の『ファンダメ・ポイント』は、[米FOMC、7月利下げの可能性は?]です。

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BOM(メキシコ中銀)は26日に政策会合を開き、0.50%の利下げを行うことを決定。政策金利を8.50%から8.00%へと引き下げました。利下げは8会合連続で、24年3月以降で9回目。0.50%幅の利下げは4会合連続です。

前回5月の会合では5人の政策メンバー全員が0.50%利下げすることに賛成しました。しかし今回は4対1で決定され、ヒース副総裁は政策金利の据え置きを支持しました。また、BOMの声明では先行きの金融政策に関する文言が修正され、“同程度の規模”がなくなりました。今後利下げが行われるとしても、その幅は縮小されるかもしれません。

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BOMは声明で今回の利下げについて、「為替レート(メキシコペソ)の動向、経済活動の低迷、世界的な通商政策の変更による影響の可能性を考慮した」と説明しました。

声明は「メキシコ経済は4月に緩やかに拡大した」との認識を示す一方で、「不確実性と貿易摩擦が大きな下振れリスクをもたらしている」と指摘しました。

BOMは、26年1-3月期にかけての総合CPI(消費者物価指数)上昇率見通しを5月時点から上方修正(*下の表の青枠部分)したものの、26年7-9月期に目標である3%に収束するとの見通しは維持しました(*同赤枠部分)。ただし、「米政権による経済政策の変更が見通しに不確実性を加えている」としました。

メキシコ中銀のCPI上昇率見通し

声明では、先行きの金融政策に関する文言が修正されました。2月・3月・5月に0.50%の利下げを行った際は「今後も金融政策スタンスの調整を継続し、
同程度の規模での調整を検討する可能性がある」でした。それが今回は「政策金利のさらなる調整を検討する」となり、0.50%の追加利下げを行う可能性には言及されませんでした。

BOMの次回会合は8月7日に開かれます。

八代和也

執筆者プロフィール

八代和也(ヤシロカズヤ)

シニアアナリスト

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