メキシコペソ：メキシコ中銀会合に注目！

【ポイント】
・米経済指標でFRBの追加利下げ観測が高まるか
・メキシコ中銀の利下げ幅、先行きの金融政策についてどのようなヒントが示されるか

（欧米市場レビュー）

25日、欧米時間の外為市場では円が軟調に推移。英ポンド/円は一時198.443円へと上昇し、24年12月下旬以来およそ6カ月ぶりの高値を記録。米ドル/円は145.905円、ユーロ/円は169.334円、豪ドル/円は94.696円、NZドル/円は87.729円へと上昇する場面がありました。日銀の田村審議委員が福島県金融経済懇談会後の記者会見で、日米関税交渉が継続している間に利上げする可能性について問われ「それほど高いわけではない」と述べたことが、円の重石となりました。田村審議委員は9人の政策委員の中で最もタカ派とされているため、発言に市場が反応したと考えられます。

対円を除いて米ドルも軟調。一時ユーロ/米ドルは1.16599ドル、英ポンド/米ドルは1.36666ドルへと上昇し、それぞれ21年10月以来、22年1月以来の高値をつけました。米国の5月新築住宅販売件数が年率換算62.3万件と市場予想の69.4万件を下回ったことや、米国の長期金利（10年物国債利回り）が低下したことが、米ドルに対する下押し圧力となりました。

（本日の相場見通し）

本日は、米国の1-3月期GDP（国内総生産）確定値や5月耐久財受注、先週分の新規失業保険申請件数、5月住宅販売保留指数が発表されます。それらの結果に市場が反応しそうです。

各経済指標の市場予想は以下のとおりです。
・GDP確定値（前期比年率換算）：マイナス0.2％
・耐久財受注（前月比）：8.5％
・航空機を除く非国防資本財受注（前月比）：0.1％
・新規失業保険申請件数：24.5万件
・住宅販売保留指数（前月比）：0.1％

FRB（米連邦準備制度理事会）のボウマン副議長やウォラー理事の発言（※）、24日に発表された米国の6月消費者信頼感指数が93.0と市場予想の99.5を大きく下回ったことなどを受け、市場ではFRBの追加利下げ観測が高まっています。

CMEのFedWatchツールによると、米国時間25日時点で市場が織り込む利下げ確率は、次回7月29-30日のFOMC（米連邦公開市場委員会）で約25％、次々回9月16-17日のFOMCまでで約90％。18日時点の利下げ確率はそれぞれ約13％と約64％でした。

本日発表の米経済指標が市場予想と比べて弱い結果になれば、FRBの追加利下げ観測が一段と高まりそうです。その場合には米ドルが軟調に推移して、米ドル/円や米ドル/カナダドルには下落圧力が、ユーロ/米ドルや英ポンド/米ドルには上昇圧力が加わると考えられます。

（※）FRBのウォラー理事は20日に「FRBは早ければ次回FOMCで利下げを検討することが可能」との認識を示し、ボウマン副議長は23日に「インフレ圧力が抑制されたままであれば、早ければ次回FOMCで利下げを支持するだろう」と述べました。

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本日は、BOM（メキシコ中銀）の政策会合が開かれます。会合の結果は日本時間27日午前4時に発表され、総裁会見は予定されていません。

BOMは24年3月から8回（24年8月以降は7回連続）の利下げを実施しており、現在の政策金利は8.50％です。

メキシコでは、トランプ政権による関税の影響によって景気に下押し圧力が加わる一方で、インフレ率が再び上昇しています。メキシコの5月CPI（消費者物価指数）は総合指数が前年比4.42％、コア指数が同4.06％と、前月（いずれも3.93％でした）から上昇率が高まり、BOMのインフレ目標（3％）の許容レンジ（2～4％）を上回りました。

市場では、本日の会合で直近3会合と同じく0.50％の利下げが行われるとの見方が優勢です。ただ、一部で利下げ幅は0.25％になるとの観測もあります。

BOMの声明にも注目です。前回5月会合の声明では、以下のように追加利下げが示唆されました。

・「今後も金融政策スタンスの調整を継続し、同程度（0.50％）の規模での調整を検討する可能性がある」
・「インフレ環境は、（景気）抑制的な金融政策スタンスを維持しつつ、利下げサイクルの継続を可能にすると予想している」

本日の会合で0.50％の利下げが決定されたとしても、声明で今後の会合では利下げの見送りもあり得ることが示唆されれば、メキシコペソにとってそれほどマイナス材料にならないかもしれません。

※メキシコペソ/円のテクニカル分析は、本日の『テクニカル・ポイント』[メキシコペソ/円、美しい上昇トレンドを示すチャート形状！BOM会合が相場動意となるか]をご覧ください（お客様専用ページへのログインが必要です）。