「トランプ減税」のコスト
2025/05/27 07:58
【ポイント】
・無党派の民間組織は10年間で3~5兆ドルと試算
・トランプ政権は経済成長と関税収入で賄えると主張
・共和党がギミックを使えば債券市場はネガティブに反応!?
米議会の下院は22日、トランプ減税を実現するための予算調整法案(※)を僅差(215対214)で可決。舞台は上院での審議に移りました。
※公式名称は、トランプ大統領の言葉をつけた「ひとつの美しい法案」法(One Big Beautiful Bill Act, OBBBA)。タイトルにそのまま「法案(Bill)」が入っています(入力ミスではありません!)
■23日付け「ひとつの大きな美しい法案が米下院を通過、今後どうなる??」をご覧ください。
下院同様に上院でも、共和党内で財政赤字の拡大を懸念して大幅な歳出削減を求める財政保守派や、メディケイド(低所得者・身障者向け医療保険)の削減などに反対する穏健派がバトルを繰り広げそうです。
「トランプ減税」のコスト
予算調整法案のコストは、無党派で民間のCRFB(責任ある連邦財政委員会)が10年間で3.1兆ドルと見積もっています。ただし、下院案にある減税の時限措置が恒久化されるならばコストは5.1兆ドルに膨れるとのことです。
CRFBによれば、現在GDP比100%程度の政府債務は、現行法のままで34年に同117%に拡大。それが下院案の通り成立すれば同125%に拡大し、減税措置が全て恒久化されるなら129%に拡大するとのことです。

CRFBは5月22日付けの声明で、「米国債が格下げされ、また国債入札が不調に終わってから1週間も経たないうちに下院がこの法案を可決したことは正気の沙汰とは思えない」と強く批判しました。
トランプ政権は、減税や規制緩和によって経済成長が高まって自然増収となることや関税収入の増加が減税のコストを相殺すると主張しています。また、共和党は減税のコスト計算において、17年トランプ減税(TCJA)が25年末に失効する「現行法ベース」ではなく、26年以降も継続されることを前提とする「現行政策ベース」を用いようとしている(=17年トランプ減税の延長/恒久化はコストゼロ)との報道もあります。これは明らかなギミック(誤魔化し)でしょう。
共和党がギミックを用いて強引に減税法案を成立させるならば、債券市場からネガティブな反応がありそうです。
・無党派の民間組織は10年間で3~5兆ドルと試算
・トランプ政権は経済成長と関税収入で賄えると主張
・共和党がギミックを使えば債券市場はネガティブに反応!?
米議会の下院は22日、トランプ減税を実現するための予算調整法案(※)を僅差(215対214)で可決。舞台は上院での審議に移りました。
※公式名称は、トランプ大統領の言葉をつけた「ひとつの美しい法案」法(One Big Beautiful Bill Act, OBBBA)。タイトルにそのまま「法案(Bill)」が入っています(入力ミスではありません!)
■23日付け「ひとつの大きな美しい法案が米下院を通過、今後どうなる??」をご覧ください。
下院同様に上院でも、共和党内で財政赤字の拡大を懸念して大幅な歳出削減を求める財政保守派や、メディケイド(低所得者・身障者向け医療保険)の削減などに反対する穏健派がバトルを繰り広げそうです。
「トランプ減税」のコスト
予算調整法案のコストは、無党派で民間のCRFB(責任ある連邦財政委員会)が10年間で3.1兆ドルと見積もっています。ただし、下院案にある減税の時限措置が恒久化されるならばコストは5.1兆ドルに膨れるとのことです。
CRFBによれば、現在GDP比100%程度の政府債務は、現行法のままで34年に同117%に拡大。それが下院案の通り成立すれば同125%に拡大し、減税措置が全て恒久化されるなら129%に拡大するとのことです。

CRFBは5月22日付けの声明で、「米国債が格下げされ、また国債入札が不調に終わってから1週間も経たないうちに下院がこの法案を可決したことは正気の沙汰とは思えない」と強く批判しました。
トランプ政権は、減税や規制緩和によって経済成長が高まって自然増収となることや関税収入の増加が減税のコストを相殺すると主張しています。また、共和党は減税のコスト計算において、17年トランプ減税(TCJA)が25年末に失効する「現行法ベース」ではなく、26年以降も継続されることを前提とする「現行政策ベース」を用いようとしている(=17年トランプ減税の延長/恒久化はコストゼロ)との報道もあります。これは明らかなギミック(誤魔化し)でしょう。
共和党がギミックを用いて強引に減税法案を成立させるならば、債券市場からネガティブな反応がありそうです。
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