【株価指数】トランプ関税とトランプ減税への警戒が株価の重石に⁉
2025/05/26 08:14
【ポイント】
・財政赤字への懸念から長期金利が上昇して株安材料に
・日本では日米交渉による円安是正への警戒も株価の重石に
・「トランプ関税」と「トランプ減税」が引き続き相場材料になりそう
(先週のレビュー)
主要株価指数は総じて軟調でした。
前週末のムーディーズによる米国債格下げの影響は限定的でした。むしろ、週明けの米国株は材料出尽くし感から反発しました。NYダウ、S&P500、ナスダック100はいずれも19日に4月上旬の大幅な下げからの戻り高値を更新。しかし、その後にトランプ減税を実現するための法案が議会で審議されると、財政赤字拡大の懸念から長期金利(10年物国債利回り)が上昇し、米国株の弱気材料となりました。23日にトランプ大統領が対EU(欧州連合)関税発動や米国外で製造された携帯電話への課税の意向を表明したことも株式市場で嫌気されました(後述)。
FTSE100は今年3月につけた最高値に接近していましたが、対EU関税などを材料に反落しました。
日本では、20年物国債入札の不調から長期金利が上昇、30年債や40年債の利回りは過去最高となりました。また、G7財務相・中央銀行総裁会議に合わせて開催された日米財務相会談への警戒から円高に振れたことも日経平均の下落材料となりました。
(今週の相場材料)
今週も引き続き、「トランプ関税」と「トランプ減税」が相場材料となりそうです。
トランプ大統領は、英国や中国との関税交渉で合意に達するなど、柔軟な姿勢を見せつつありました。しかし、23日には自身のSNSで、6月1日にEU(欧州連合)に対して50%の関税を課す意向を表明しました(のちに発動期日を6月1日から7月9日に先送り)。
トランプ政権は4月5日に一律10%の相互関税を発動。9日に発動する予定だった、国ごとの相互関税上乗せ分は90日間停止としました。7月9日までに関税交渉がまとまらなければ、上乗せ分が発動される仕組みのはずです。しかし、その前に対EU関税のようにトランプ大統領が突発的に関税に言及するケースは今後も出てくるかもしれません。その場合は、金融市場がネガティブに反応するでしょう。4月のようにトリプル安(株安・債券安・米ドル安)となる可能性もあるでしょう。
一方、議会では17年トランプ減税(TCJA)の延長などを柱とした予算調整法案(※)の審議が行われています。22日に下院で僅差(215対214)で可決されており、今後は上院で審議されます。下院同様に上院でも財政赤字の拡大を懸念して大幅な歳出削減を求める財政保守派や、メディケイド(低所得層・身障者向け医療保険)の削減に反対する穏健派がおり、下院案に大幅な修正が加えられるかもしれません。その場合は下院に戻されて改めて採決される必要ができます。
※トランプ大統領の言葉を借りて「一つの大きな美しい法案」と名付けられました。
共和党はデットシーリング(債務上限)の限界が到来する8月までに予算調整法案を成立させたい意向です。それまでにも財政赤字の拡大を示唆する報道等が出てくれば、長期金利が上昇して株安の材料となるかもしれません。
今週は、米国の5月コンファレンス・ボード消費者信頼感指数、4月PCE(個人消費支出)デフレーター、FOMC議事録(5/6-7開催分)などが発表されます。また、27-28日には日銀金融研究所の国際コンファランス「金融政策の新たな課題」が開催されます。植田総裁ら日銀関係者だけでなく、世界の中銀からゲストが招かれており、彼らの発言が何らかの相場材料になるかもしれません。
28日にRBNZ(ニュージーランド中銀)、29日にSARB(南アフリカ中銀)の政策会合があり、いずれも0.25%の利下げが予想されています。また、29日にはエヌビディアの決算発表があります。
・財政赤字への懸念から長期金利が上昇して株安材料に
・日本では日米交渉による円安是正への警戒も株価の重石に
・「トランプ関税」と「トランプ減税」が引き続き相場材料になりそう
(先週のレビュー)
主要株価指数は総じて軟調でした。
前週末のムーディーズによる米国債格下げの影響は限定的でした。むしろ、週明けの米国株は材料出尽くし感から反発しました。NYダウ、S&P500、ナスダック100はいずれも19日に4月上旬の大幅な下げからの戻り高値を更新。しかし、その後にトランプ減税を実現するための法案が議会で審議されると、財政赤字拡大の懸念から長期金利(10年物国債利回り)が上昇し、米国株の弱気材料となりました。23日にトランプ大統領が対EU(欧州連合)関税発動や米国外で製造された携帯電話への課税の意向を表明したことも株式市場で嫌気されました(後述)。
FTSE100は今年3月につけた最高値に接近していましたが、対EU関税などを材料に反落しました。
日本では、20年物国債入札の不調から長期金利が上昇、30年債や40年債の利回りは過去最高となりました。また、G7財務相・中央銀行総裁会議に合わせて開催された日米財務相会談への警戒から円高に振れたことも日経平均の下落材料となりました。
(今週の相場材料)
今週も引き続き、「トランプ関税」と「トランプ減税」が相場材料となりそうです。
トランプ大統領は、英国や中国との関税交渉で合意に達するなど、柔軟な姿勢を見せつつありました。しかし、23日には自身のSNSで、6月1日にEU(欧州連合)に対して50%の関税を課す意向を表明しました(のちに発動期日を6月1日から7月9日に先送り)。
トランプ政権は4月5日に一律10%の相互関税を発動。9日に発動する予定だった、国ごとの相互関税上乗せ分は90日間停止としました。7月9日までに関税交渉がまとまらなければ、上乗せ分が発動される仕組みのはずです。しかし、その前に対EU関税のようにトランプ大統領が突発的に関税に言及するケースは今後も出てくるかもしれません。その場合は、金融市場がネガティブに反応するでしょう。4月のようにトリプル安(株安・債券安・米ドル安)となる可能性もあるでしょう。
一方、議会では17年トランプ減税(TCJA)の延長などを柱とした予算調整法案(※)の審議が行われています。22日に下院で僅差(215対214)で可決されており、今後は上院で審議されます。下院同様に上院でも財政赤字の拡大を懸念して大幅な歳出削減を求める財政保守派や、メディケイド(低所得層・身障者向け医療保険)の削減に反対する穏健派がおり、下院案に大幅な修正が加えられるかもしれません。その場合は下院に戻されて改めて採決される必要ができます。
※トランプ大統領の言葉を借りて「一つの大きな美しい法案」と名付けられました。
共和党はデットシーリング(債務上限)の限界が到来する8月までに予算調整法案を成立させたい意向です。それまでにも財政赤字の拡大を示唆する報道等が出てくれば、長期金利が上昇して株安の材料となるかもしれません。
今週は、米国の5月コンファレンス・ボード消費者信頼感指数、4月PCE(個人消費支出)デフレーター、FOMC議事録(5/6-7開催分)などが発表されます。また、27-28日には日銀金融研究所の国際コンファランス「金融政策の新たな課題」が開催されます。植田総裁ら日銀関係者だけでなく、世界の中銀からゲストが招かれており、彼らの発言が何らかの相場材料になるかもしれません。
28日にRBNZ(ニュージーランド中銀)、29日にSARB(南アフリカ中銀)の政策会合があり、いずれも0.25%の利下げが予想されています。また、29日にはエヌビディアの決算発表があります。
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