英小売売上高に英ポンドが反応しそう
2025/05/23 09:00
【ポイント】
・米財政赤字拡大への懸念が市場で一段と強まるか
・英小売売上高で市場のBOE金融政策見通しが変化するか
・日米関税交渉はどうなるか
(欧米市場レビュー)
22日、欧米時間の外為市場ではユーロが軟調に推移。一時ユーロ/円は161.696円、ユーロ/米ドルは1.12555ドル、ユーロ/英ポンドは0.83968ポンドへと下落しました。ユーロ圏やドイツ、フランスの5月サービス部門PMI(購買担当者景気指数)速報値がいずれも市場予想を下回ったことが、ユーロの重石となりました。
サービス部門PMIの結果は以下の通り。( )は市場予想です。
・ユーロ圏:48.9(50.5)
・ドイツ:47.2(49.5)
・フランス:47.4(47.5)
米ドルは堅調。一時米ドル/円は144.300円近辺、米ドル/カナダドルは1.38843カナダドルへと上昇し、英ポンド/米ドルは1.33920ドル、豪ドル/米ドルは0.64060米ドルへと下落しました。米国の5月S&PグローバルPMI速報値が市場予想を上回ったことが、米ドルの支援材料となりました。
米PMIの結果は以下の通り。( )は市場予想です。
・製造業:52.3(49.9)
・サービス部門:52.3(51.0)
※PMIは50が業況判断の分かれ目です。
(本日の相場見通し)
米国の議会下院は22日、トランプ大統領が推進する減税を実現するための予算調整法案を可決しました。法案は上院に送付されました。
米国の財政赤字が拡大することを市場は懸念しています。下院が予選調整法案を可決してトランプ減税の実現に向けて前進したことで、財政状況をめぐる懸念は一段と強まる可能性があります。その場合、米ドルに対して下押し圧力が加わりそうです。
※本日の『ファンダメ・ポイント』は、[「ひとつの大きな美しい法案」が米下院を通過、今後どうなる??]です。
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英国の4月小売売上高が本日発表されます(日本時間15:00)。この結果に英ポンドが反応する可能性があります。
小売売上高の市場予想は前月比0.3%・前年比4.5%、自動車燃料を除いた小売売上高の市場予想は前月比0.1%・前年比4.4%です。
BOE(英中銀)は5月8日の会合で0.25%利下げすることを決定しました(利下げは24年8月以降で4回目)。
次回6月19日の会合については、市場では政策金利は据え置かれるとの見方が大勢。そして、次々回8月7日の会合で追加利下げが行われるとの観測が市場にはあります。小売売上高が市場予想を上回る結果になれば、8月の追加利下げ観測が後退するとともに、英ポンド堅調にしそう。ユーロ/英ポンドは3月28日安値の0.83143ポンドに向かって下落する可能性があります。
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3回目の日米関税交渉が米東部時間23日(日本時間24日未明)に開かれる予定です。日本側は赤沢経済再生担当相、米国側はグリアUSTR(米通商代表部)代表とラトニック商務長官が交渉に出席し、ベッセント財務長官は欠席するようです。日米関税交渉の結果次第では材料になる可能性があります。
※米ドル/円のテクニカル分析は、本日の『テクニカル・ポイント』[米ドル/円、日米関税協議結果が相場動意となるか]をご覧ください(お客様専用ページへのログインが必要です)。
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