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日米財務相会談後に米ドル/円がいったん反発、その後下落

2025/05/22 09:11

【ポイント】
・日米財務相は「米ドル/円はファンダメンタルズを反映している」と認識
・日米財務相会談では為替の水準について議論されず
・米経済指標で米景気をめぐる懸念が強まるか

(欧米市場レビュー)

21日、欧米時間の外為市場では米ドルが軟調に推移。一時米ドル/円は143.275円、米ドル/カナダドルは1.38126カナダドルへと下落し、ユーロ/米ドルは1.13571ドル、英ポンド/米ドルは1.34678ドルへと上昇。英ポンド/米ドルは22年2月以来3年3カ月ぶりの高値をつけました。米国の財政状況が市場で懸念されるなか、米財務省が実施した20年物国債の入札が不調だったことが、米ドルの重石となりました。

本日の『ファンダメ・ポイント』は、[米長期金利が上昇! 財政赤字への懸念を表明!?]です。

英ポンド/米ドルについては、英国の4月CPI(消費者物価指数)が市場予想を上回ったことも上昇要因になったと考えられます。

CPIの結果は以下の通り。( )は市場予想です。
・総合(前年比):3.5%(3.3%)
・コア(同):3.8%(3.6%)

(本日の相場見通し)

加藤財務相とベッセント米財務長官は21日、カナダ西部のバンフで会談しました。

米財務省は会談終了後に声明を発表(日本時間22日午前7時頃)。会談では「為替レートは市場で決定されるべきであり、現時点で米ドル/円のレートはファンダメンタルズを反映しているとの共通認識を再確認した」とし、「為替の水準については議論されなかった」と明らかにしました。

米ドル安・円高の是正を米国から求められるとの観測も市場にはあったため、米財務省の発表を受けて米ドル/が急伸し、一時144.349円へと上昇。米ドル/円にけん引されてユーロ/円や豪ドル/円などのクロス円も上昇しました。

その後、米ドル/円やクロス円は上げ幅を縮小。米ドル/円やクロス円はおおむね米財務省の声明発表前の水準へと戻りました。

日米財務相会談で協議された内容が今後さらに出てきて、それが目新しい内容ならば、市場が反応するかもしれません。

G7財務相・中央銀行総裁会議がバンフで本日まで開かれます。G7財務相会合での議論に関するニュースにも注目です。

***

本日は、米国の5月S&PグローバルPMI(購買担当者景気指数)速報値先週分の新規失業保険申請件数4月中古住宅販売件数が発表されます。これらが材料になる可能性があります。

市場予想は以下の通り。( )は前回の実績です。
・製造業PMI:49.9(50.2)
・サービス部門PMI:51.0(50.8)
・新規失業保険申請件数:23.0万件(22.9万件)
・中古住宅販売件数(年率換算):410万件(402万件)

これらが市場予想を下回る結果になれば、米景気の先行きへの懸念が市場で強まるかもしれません。その場合には米ドルのマイナス材料となり、米ドル/円や米ドル/カナダドルは軟調に推移し、英ポンド/米ドルは堅調に推移しそう。米ドル/カナダドルの下値メドとして、6日安値の1.37456カナダドルが挙げられます。

***

ユーロ圏やドイツの5月PMI速報値が本日発表されます。

市場予想は以下の通り。( )は前回の実績です。
<ユーロ圏>
・製造業:49.2(49.0)
・サービス部門:50.5(50.1)

<ドイツ>
・製造業:48.8(48.4)
・サービス部門:49.5(49.0)

いずれも前回(4月改定値)から上昇(改善する)と市場ではみられています。

市場では、ECB(欧州中銀)は次回6月5日の理事会で0.25%の利下げを行うとの見方が有力。その後12月末までにさらに0.25%利下げするとの観測があります。

ユーロ圏やドイツのPMIが市場予想を上回る結果になれば、ECBの追加利下げ観測が後退する可能性があります。追加利下げ観測が後退する場合、ユーロが堅調に推移しそうです。

八代和也

執筆者プロフィール

八代和也(ヤシロカズヤ)

シニアアナリスト

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