米長期金利が上昇! 財政赤字への懸念を表明!?
2025/05/22 08:08
【ポイント】
・米20年物国債入札後に長期金利が大幅上昇
・株安、債券安、米ドル安のトリプル安が示現
・市場は議会審議中の減税案への懸念を表明か
米長期金利(10年物国債利回り)が21日、2月中旬以来となる4.60%を一時示現しました。直接のキッカケは午後(日本時間22日02:00)に行われた20年物国債入札が不調だったこと。

※19日や20日の欧州時間に米長期金利の上昇が目立ったのは、欧州投資家による米国債への信認低下を表しているのかもしれません。
20年物国債入札は20年に定例化されたもので、通常はあまり材料視されません。しかし、議会がトランプ減税の実現に向けて前進していることもあって、財政赤字の拡大が懸念されたのでしょう。NYダウは前日比800ドル超下落、米ドル/円が一時143円台前半まで下落するなど、債券安とあいまってトリプル安が示現しました。
イールドカーブの形状変化
イールドカーブ(利回り曲線)の形状変化も、財政赤字への懸念を示しています。イールドカーブは5月15日に比べて期間の長い金利ほど上昇幅が大きくなっており、いわゆるベアスティープ化(※)しました。
※金利水準が上昇して、かつ右肩上がりの傾きが急になること

ベアスティープ化は、トランプ関税によるインフレ予想の上昇なども影響している可能性はありますが、ここ数日に限れば財政赤字への懸念が背景にあると言えそうです。
議会は予算調整法案を審議
議会では、下院がトランプ減税を実現するための予算調整法案(※)の審議を進めています。共和党内でも財政赤字拡大を懸念する保守派が法案に反対しており、トランプ大統領が保守派の懐柔(威圧?)に乗り出しているようです。ただ、大幅な歳出削減を約束すれば、今度は穏健派が反対に回る可能性もあり、今のところ下院本会議での採決のメドは立っていません。
仮に妥協が成立するなどして予算調整法案が下院を通過しても、その後上院での審議や下院案との一本化などがあります。当面は「減税」「財政赤字」「政府債務」などが市場で意識される機会が増えそうです。
財政赤字の拡大に警鐘を鳴らす「債券自警団」が動き始めたのかもしれません。
■20日付け「債券自警団、米財政赤字に警鐘を鳴らすか」をご覧ください。
・米20年物国債入札後に長期金利が大幅上昇
・株安、債券安、米ドル安のトリプル安が示現
・市場は議会審議中の減税案への懸念を表明か
米長期金利(10年物国債利回り)が21日、2月中旬以来となる4.60%を一時示現しました。直接のキッカケは午後(日本時間22日02:00)に行われた20年物国債入札が不調だったこと。

※19日や20日の欧州時間に米長期金利の上昇が目立ったのは、欧州投資家による米国債への信認低下を表しているのかもしれません。
20年物国債入札は20年に定例化されたもので、通常はあまり材料視されません。しかし、議会がトランプ減税の実現に向けて前進していることもあって、財政赤字の拡大が懸念されたのでしょう。NYダウは前日比800ドル超下落、米ドル/円が一時143円台前半まで下落するなど、債券安とあいまってトリプル安が示現しました。
イールドカーブの形状変化
イールドカーブ(利回り曲線)の形状変化も、財政赤字への懸念を示しています。イールドカーブは5月15日に比べて期間の長い金利ほど上昇幅が大きくなっており、いわゆるベアスティープ化(※)しました。
※金利水準が上昇して、かつ右肩上がりの傾きが急になること

ベアスティープ化は、トランプ関税によるインフレ予想の上昇なども影響している可能性はありますが、ここ数日に限れば財政赤字への懸念が背景にあると言えそうです。
議会は予算調整法案を審議
議会では、下院がトランプ減税を実現するための予算調整法案(※)の審議を進めています。共和党内でも財政赤字拡大を懸念する保守派が法案に反対しており、トランプ大統領が保守派の懐柔(威圧?)に乗り出しているようです。ただ、大幅な歳出削減を約束すれば、今度は穏健派が反対に回る可能性もあり、今のところ下院本会議での採決のメドは立っていません。
仮に妥協が成立するなどして予算調整法案が下院を通過しても、その後上院での審議や下院案との一本化などがあります。当面は「減税」「財政赤字」「政府債務」などが市場で意識される機会が増えそうです。
財政赤字の拡大に警鐘を鳴らす「債券自警団」が動き始めたのかもしれません。
■20日付け「債券自警団、米財政赤字に警鐘を鳴らすか」をご覧ください。
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