豪ドル/NZドルが堅調、1カ月ぶりの高値
2025/05/14 08:58
【ポイント】
・FRB副議長らの講演で先行きの金融政策についてのヒントが提供されるか
・RBA(豪中銀)の追加利下げ観測が後退
(欧米市場レビュー)
13日、欧米時間の外為市場では米ドルが軟調に推移。一時米ドル/円は147.361円、米ドル/カナダドルは1.39375カナダドルへと下落し、ユーロ/米ドルは1.11895ドル、英ポンド/米ドルは1.33109ドルへと下落しました。米国の4月CPI(消費者物価指数)が市場予想を下回ったことが、米ドルの重石となりました。
米CPIの結果は以下の通り。( )は市場予想です。
<総合>
・前月比:0.2%(0.3%)
・前年比:2.3%(2.4%)
<コア>
・前月比:0.2%(0.3%)
・前年比:2.8%(2.8%)
※米CPIについては、本日の『ファンダメ・ポイント』[米CPIへの関税の影響はまだ限定的。5月以降も要注意か]にて詳しく解説していますので、ご覧ください。
(本日の相場見通し)
ドイツの4月CPI改定値が本日発表されます(日本時間15:00)。
CPI改定値の市場予想は以下の通り。( )は速報値の実績です。
<EU基準>
・前月比:0.5%(0.5%)
・前年比:2.2%(2.2%)
<国内基準>
・前月比:0.4%(0.4%)
・前年比:2.1%(2.1%)
市場では、ECB(欧州中銀)は次回6月5日の理事会で0.25%の追加利下げを行うとの見方が優勢です。CPI改定値が市場予想を下回る結果になれば、ECBの追加利下げ観測が高まるとともに、ユーロのマイナス材料になる可能性があります。
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本日は、FRB(米連邦準備制度理事会)のジェファーソン副議長とウォラー理事が講演し、デイリー・サンフランシスコ連銀総裁が銀行協会のイベントに参加します。
FRBは6-7日にFOMC(米連邦公開市場委員会)を開き、3会合連続で政策金利を4.25~4.50%に据え置くことを決定しました。パウエルFRB議長はその時の会見で、トランプ政権による関税の影響が明確になるまで政策金利を据え置く意向を表明。「我々は、事態がどう進展するかを見守るのが妥当なポジションにいる。金利調整(利下げ)を急ぐ必要があるとは感じていない。忍耐強く待つことが適切だと感じている」などと述べました。
※FOMCの結果やパウエル議長の会見について詳しくは、8日の『ファンダメ・ポイント』[米FOMCはタカ派的据え置き 利下げは7月以降!?]をご覧ください。
ジェファーソン副議長の講演などでFRBの金融政策の先行きについて新たなヒントが示されれば、材料になりそう。FRBの追加利下げ観測が後退する場合、米ドルが堅調に推移すると考えられます。
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豪ドル/NZドルは4月22日の1.06516NZドルを直近の底に反発しており、昨日5月13日には一時1.09000NZドルへと上昇して4月9日以来およそ1カ月ぶりの高値をつけました。
豪ドル/NZドル反発の主な要因として、RBA(豪中銀)の追加利下げ観測の後退が挙げられます。市場の金融政策見通しを反映するOIS(翌日物金利スワップ)によると、4月21日時点で市場ではRBAは12月末までに合計1.25%の追加利下げを行うとの見方が優勢でした。それが5月13日時点では合計0.75%が優勢になりました。
追加利下げ観測が後退したのは、米中の貿易摩擦が緩和に向かうとの期待が市場で高まったことが挙げられます(両国は5月10-11日に閣僚級協議で互いに課している関税を115%引き下げることで合意しました)。
RBAは19-20日に政策会合を開きます。その結果が豪ドル/NZドルの動向に影響を与えそう。豪ドル/NZドルの上値メドとして、200日移動平均線(14日時点で1.09745NZドル)が挙げられます。
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