【株価指数】トランプ大統領の「朝令暮改」で安心感が生じるも・・・
2025/04/28 07:47
【ポイント】
・パウエルFRB議長解任の意図はなく、対中国強硬姿勢もやや軟化
・トランプ大統領は市場の反応次第では機敏に方針変更も
・米経済指標や日銀会合、米議会の動きに要注目
(先週のレビュー)
主要株価指数は週初こそ軟調だったものの、すぐに反発して続伸しました。トランプ政権が関税などに関して強硬姿勢を緩めたことが主な背景。21日がイースターマンデーで休場だった英国ではFTSE100が前週の流れのまま上昇を続けました。
前週からトランプ大統領が利下げに慎重なパウエルFRB議長を強く批判。政権内で議長解任が検討されたとの報道もあって、金融市場が大きく動揺。21日の主要株価指数(休場だったFTSE100を除く)は下落。NYダウは前週17日の終値から一時1,300ドル超下げました(終値は971ドル安)。
22日にはトランプ大統領がパウエル議長を解任する意図はないと明言。日本時間早朝に報じられたため、まず日経平均が上昇。さらに、ベッセント財務長官が関税交渉での進展を示唆したこともあって、NYダウ、S&P500、ナスダック100がいずれも反発しました。FTSE100は続伸。
その後も、米国が対中国関税を当初の145%から50~65%に引き下げることを検討との報道や、中国が米国からの輸入の一部を高率関税の対象から除外することを検討との報道などがあり、主要株価指数は上昇。日米財務相会談で為替目標への言及がなかったことも米ドル/円の上昇(円安)を促し、日経平均のプラス材料となったようです。
(今週の相場材料)
トランプ政権が関税などに関する強硬姿勢を軟化させたこともあって、先週の金融市場はやや落ち着きを取り戻しました。ネガティブな市場の反応を受けてトランプ大統領が軌道修正を機敏に行ったことは、今後も市場の安心感につながりそうです。もっとも、トランプ大統領が「予測不能」であることに変わりなく、曜日や時間帯、イベントのあるなしに関わらず、常に注意は怠れません。日本ではゴールデンウィークが始まるため、材料によっては東京市場での動きが大きくなりうるでしょう。
今週は、米雇用統計など経済指標の発表が多く、日銀の金融政策決定会合があり、米国では政治に動きが出るかもしれません。また、いくつかの企業決算が発表されます。
30日に米GDP(国内総生産)やPCE(個人消費支出)。1-3月期GDPは、市場予想が前期比年率0.4%。予想通りか、あるいはマイナスとなれば、リセッション(景気後退)やスタグフレーション(低成長下での高インフレ)の懸念が強まりそうです。3月PCEデフレーターも要注目です。PCEコアは2%台後半での伸びが続いており、関税の影響(上振れ要因)が出始めるかもしれません。
29日に3月JOLTS(労働動態調査)、30日に4月ADP雇用統計、2日に(労働省の)4月雇用統計など、米国の労働市場に関する統計が発表されます。3月雇用統計はNFP(非農業部門雇用者数)が前月比22.8万人増と、市場予想(14.0万人増)を大きく上回りました。4月はその反動に加えてDOGE(政府効率化省)が進めた連邦職員削減の影響もみられるかもしれません。
1日には4月ISM製造業景況指数が発表されます。ここでも関税の影響がみられるかもしれません。
市場では、5月6-7日の米FOMC(公開市場委員会)では政策金利が据え置かれるとの見方が支配的です。弱い景気と高いインフレ率の組み合わせは、FRB(連邦準備制度理事会)にとって頭痛の種になりそうです。トランプ大統領による利下げ圧力が強まる可能性もあります。市場で中央銀行の独立性が疑問視されれば、株価、債券価格、通貨(米ドル)に下押し圧力が加わりそうです。
30日-1日に日銀の金融政策決定会合。1日正午前後に結果が判明し、同午後3時半から植田総裁の記者会見があります。トランプ大統領に絡んだ不透明感が強いため、金融政策の現状維持が決定されそうです。ただ、日本のインフレ率が強含んでいることもあって、利上げ(継続)の方針が表明される可能性があります。通常、植田総裁の記者会見中に欧州取引が始まりますが、1日はメーデーのため、即座の市場の反応は限られるかもしれません。
28日には米議会の下院がイースター休暇から戻ってきます。トランプ減税実現のための第1歩として設計図となる予算決議は上院、下院とも可決済み。減税を立法化させるための予算調整法案の審議が本格化します。下院は5月26日メモリアルデーまでの成立を目指しています。過半数の議席を持つ共和党内でも大幅な歳出削減に対して温度差があり、審議が難航する可能性はあります。
30日はトランプ大統領の就任100日目。これまでの実績を象徴するようなイベントがあるかもしれません。
企業の1-3月期決算発表も多くあります。米国では、メタ・プラットフォームズ、マイクロソフト、アマゾン、アップルなどIT大手の他、GM、コカ・コーラ、エクソン・モービルなど。日本では、東日本旅客鉄道(JR東)、三菱電機や東京エレクトロン、日立製作所、コマツ(小松製作所)、伊藤忠商事など商社、英国では、BP、バークレイズ、HSBCなど。
・パウエルFRB議長解任の意図はなく、対中国強硬姿勢もやや軟化
・トランプ大統領は市場の反応次第では機敏に方針変更も
・米経済指標や日銀会合、米議会の動きに要注目
(先週のレビュー)
主要株価指数は週初こそ軟調だったものの、すぐに反発して続伸しました。トランプ政権が関税などに関して強硬姿勢を緩めたことが主な背景。21日がイースターマンデーで休場だった英国ではFTSE100が前週の流れのまま上昇を続けました。
前週からトランプ大統領が利下げに慎重なパウエルFRB議長を強く批判。政権内で議長解任が検討されたとの報道もあって、金融市場が大きく動揺。21日の主要株価指数(休場だったFTSE100を除く)は下落。NYダウは前週17日の終値から一時1,300ドル超下げました(終値は971ドル安)。
22日にはトランプ大統領がパウエル議長を解任する意図はないと明言。日本時間早朝に報じられたため、まず日経平均が上昇。さらに、ベッセント財務長官が関税交渉での進展を示唆したこともあって、NYダウ、S&P500、ナスダック100がいずれも反発しました。FTSE100は続伸。
その後も、米国が対中国関税を当初の145%から50~65%に引き下げることを検討との報道や、中国が米国からの輸入の一部を高率関税の対象から除外することを検討との報道などがあり、主要株価指数は上昇。日米財務相会談で為替目標への言及がなかったことも米ドル/円の上昇(円安)を促し、日経平均のプラス材料となったようです。
(今週の相場材料)
トランプ政権が関税などに関する強硬姿勢を軟化させたこともあって、先週の金融市場はやや落ち着きを取り戻しました。ネガティブな市場の反応を受けてトランプ大統領が軌道修正を機敏に行ったことは、今後も市場の安心感につながりそうです。もっとも、トランプ大統領が「予測不能」であることに変わりなく、曜日や時間帯、イベントのあるなしに関わらず、常に注意は怠れません。日本ではゴールデンウィークが始まるため、材料によっては東京市場での動きが大きくなりうるでしょう。
今週は、米雇用統計など経済指標の発表が多く、日銀の金融政策決定会合があり、米国では政治に動きが出るかもしれません。また、いくつかの企業決算が発表されます。
30日に米GDP(国内総生産)やPCE(個人消費支出)。1-3月期GDPは、市場予想が前期比年率0.4%。予想通りか、あるいはマイナスとなれば、リセッション(景気後退)やスタグフレーション(低成長下での高インフレ)の懸念が強まりそうです。3月PCEデフレーターも要注目です。PCEコアは2%台後半での伸びが続いており、関税の影響(上振れ要因)が出始めるかもしれません。
29日に3月JOLTS(労働動態調査)、30日に4月ADP雇用統計、2日に(労働省の)4月雇用統計など、米国の労働市場に関する統計が発表されます。3月雇用統計はNFP(非農業部門雇用者数)が前月比22.8万人増と、市場予想(14.0万人増)を大きく上回りました。4月はその反動に加えてDOGE(政府効率化省)が進めた連邦職員削減の影響もみられるかもしれません。
1日には4月ISM製造業景況指数が発表されます。ここでも関税の影響がみられるかもしれません。
市場では、5月6-7日の米FOMC(公開市場委員会)では政策金利が据え置かれるとの見方が支配的です。弱い景気と高いインフレ率の組み合わせは、FRB(連邦準備制度理事会)にとって頭痛の種になりそうです。トランプ大統領による利下げ圧力が強まる可能性もあります。市場で中央銀行の独立性が疑問視されれば、株価、債券価格、通貨(米ドル)に下押し圧力が加わりそうです。
30日-1日に日銀の金融政策決定会合。1日正午前後に結果が判明し、同午後3時半から植田総裁の記者会見があります。トランプ大統領に絡んだ不透明感が強いため、金融政策の現状維持が決定されそうです。ただ、日本のインフレ率が強含んでいることもあって、利上げ(継続)の方針が表明される可能性があります。通常、植田総裁の記者会見中に欧州取引が始まりますが、1日はメーデーのため、即座の市場の反応は限られるかもしれません。
28日には米議会の下院がイースター休暇から戻ってきます。トランプ減税実現のための第1歩として設計図となる予算決議は上院、下院とも可決済み。減税を立法化させるための予算調整法案の審議が本格化します。下院は5月26日メモリアルデーまでの成立を目指しています。過半数の議席を持つ共和党内でも大幅な歳出削減に対して温度差があり、審議が難航する可能性はあります。
30日はトランプ大統領の就任100日目。これまでの実績を象徴するようなイベントがあるかもしれません。
企業の1-3月期決算発表も多くあります。米国では、メタ・プラットフォームズ、マイクロソフト、アマゾン、アップルなどIT大手の他、GM、コカ・コーラ、エクソン・モービルなど。日本では、東日本旅客鉄道(JR東)、三菱電機や東京エレクトロン、日立製作所、コマツ(小松製作所)、伊藤忠商事など商社、英国では、BP、バークレイズ、HSBCなど。
- 当レポートは、情報提供を目的としたものであり、特定の商品の推奨あるいは特定の取引の勧誘を目的としたものではありません。
- 当レポートに記載する相場見通しや売買戦略は、ファンダメンタルズ分析やテクニカル分析などを用いた執筆者個人の判断に基づくものであり、予告なく変更になる場合があります。また、相場の行方を保証するものではありません。お取引はご自身で判断いただきますようお願いいたします。
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