米中貿易摩擦やFRB議長を巡るニュースで米ドルが反発
2025/04/23 08:50
【ポイント】
・米中貿易摩擦は緩和されるとの認識を米財務長官は示す
・「FRB議長を解任するつもりはない」とトランプ大統領は発言
(欧米市場レビュー)
22日、欧米時間の外為市場では米ドルが反発。一時米ドル/円は141.619円、米ドル/カナダドルは1.38570カナダドルへと上昇し、ユーロ/米ドルは1.14166ドル、英ポンド/米ドルは1.33275ドルへと下落しました。
米国のベッセント財務長官が投資家との非公開会合で「米中の双方が高率の関税を課す現状は持続可能ではなく、中国との貿易摩擦は緩和される」と述べたことで、米ドル売りポジションを巻き戻す動きが強りました。
(本日の相場見通し)
トランプ米大統領は日本時間本日午前6時過ぎ、「FRB(米連邦準備制度理事会)は金利を下げるべきだ」としつつも、「パウエル議長を解任するつもりはない」と述べました。また、「中国への関税は145%にはならないだろう」とも語りました。
トランプ大統領は先週後半以降、パウエル議長を繰り返し批判しており、21日には「遅すぎる男が今すぐ金利を引き下げなければ、経済は減速する可能性がある」とSNSに投稿。また、NEC(米国家経済会議)のハセット委員長は18日に「パウエル議長を解任できるかどうか政権内で検討されている」と述べました。FRBの独立性が脅かされるとの懸念からこのところ米ドルに対して下押し圧力が加わっていました。
トランプ大統領の冒頭の発言によって本日オセアニア時間に米ドルはさらに反発。一時米ドル/円は143円台へと上昇し、ユーロ/米ドルは1.13000ドル近辺、英ポンド/米ドルは1.32ドル台前半へと下落しました。
トランプ政権による関税やパウエル議長についてのニュースに引き続き要注意です。新たなニュースにより、米中などの貿易摩擦やFRBの独立性をめぐる懸念が一段と後退すれば、米ドルが堅調に推移する可能性があります。
※米ドル/円のテクニカル分析は、本日の『テクニカル・ポイント』[米ドル/円、トランプ米大統領発言で反発!目先の注目ポイントは?]をご覧ください(お客様専用ページへのログインが必要です)。
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米国の4月S&PグローバルPMI(購買担当者景気指数)速報値が本日発表されます(日本時間22:45)。PMIが市場予想からかい離する結果になれば、材料になる可能性があります。
PMIの市場予想は以下の通り。( )は3月改定値の実績です。
・製造業:49.0(50.2)
・サービス業:52.5(54.4)
いずれも3月改定値から低下し、製造業のPMIは業況判断の分かれ目である50を下回ると予想されています。市場予想を下回る結果になれば、米景気の先行きへの懸念が強まるとともに、米ドルのマイナス材料になるかもしれません。
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