米下院が予算決議を可決、トランプ減税に道を開く!?

【ポイント】
・下院が僅差で予算決議を可決
・上院との一本化の後に予算調整法案の審議へ
・共和党内の財政保守派や穏健派とどう折り合いをつけるか

26日、米下院は予算決議を可決しました。票決は217対215の僅差で、全民主党議員に加えて1人の共和党議員が反対票を投じました。

予算決議は予算の大枠を決める設計図で、法的拘束力はありません。ただし、これを基に税制改革や歳出削減を盛り込む予算調整法案が審議されます。予算調整法案は上院でのフィリバスター（採決妨害）が適用されないため、民主党の協力なしでも成立が可能。

下院が可決した予算決議は、17年トランプ減税の延長など4.5兆ドルの減税や、メディケイド（低所得者向け医療保険）など2兆ドル以上の歳出削減、デットシーリング（債務上限）の4兆ドル引き上げなどを含みます。トランプ大統領の言う「1本の美しい（予算調整）法案」の実現に向けて道を開くものです。

もっとも、上院が21日未明に可決した予算決議は、国境警備の強化費用や国防費の増額などを含む総額3,250億ドル程度の限定的なものでした。


今後の展開は・・・
次のハードルは予算決議の一本化。上院が下院の包括的な予算決議をどこまで受け入れるか。上院が下院の予算決議を受け入れる、あるいはそれに近い形で両院が一本化できれば、その次はそれを基に上院と下院がそれぞれに予算調整法案を審議することになります。



上述の通り、予算調整法案はフィリバスターが使えないので、両院とも単純過半数で可決可能です。ただ、下院の議席は、共和党218、民主党215（空席2）であり、民主党全員が反対すると仮定すれば、共和党から2人以上の反対者が出れば可決できません。また、上院の議席は、53対47で共和党議員が4人以上反対すれば可決できません（票決が50対50のタイの場合、上院議長でもある副大統領がタイブレーカーを投票するので可決されます）。

もっとも、共和党内でも足並みは揃っていません。財政保守派は大幅な歳出削減を求めており、穏健派はメディケイドなどの義務的支出の削減を懸念しています。予算調整法案の審議がどう展開するか、とりわけ共和党内でどのような交渉が行われるのか、要注目でしょう。