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やりたい放題のトランプ大統領、政府支出に切り込む

2025/01/29 06:51

【ポイント】
・トランプ政権は政府の補助金やローン等の支出を停止
・成立した予算を大統領が停止するのは憲法違反との反発あり
・これから本格化する予算交渉(トランプ減税含む)にも影響しそう

トランプ大統領が就任して約1週間が経過しました。就任初日の大統領令発令に始まり、トランプ大統領は選挙公約の実現に向けて矢継ぎ早に手を打ってきました(その意味では手探りだった1期目と異なり周到に準備を進めていた感あり)。

・国境警備のための軍派遣、軍用機を使った不法移民の強制送還
・コロンビアには関税の脅しによって不法移民の受け入れを強要
・連邦政府の改革として、政府職員の解雇や配置転換
・軍のDEI(多様性・公平性・包括性)を撤廃
・上に関連して沿岸警備隊司令官を解任
・議事堂襲撃犯ら等1,500人を恩赦
・国籍の出生地主義廃止を指示

トランプ政権は28日、政府の補助金やローン等の支出を一斉に停止しました。予算を司るOMB(行政管理予算局)は大統領令の方針に沿った支出かどうかを点検するためであり、「没収」ではないと説明しています。

一方で、既に議会が可決してバイデン大統領が署名して成立した予算を、トランプ大統領が停止するのは憲法違反だとして訴訟の動きもあるようです。

現在執行されているのは、25年度(24年10月-25年9月)の継続(つなぎ)予算であり、1カ月半後の3月14日には期限切れとなります。それまでに新たな継続予算か、年度末までの正式予算が成立しなければ、政府機関は一部閉鎖されます。いわゆるシャットダウンです。

トランプ政府と議会共和党は、25年度予算に関連してトランプ減税の延長を含む減税案やデットシーリング(債務上限)引上げを、民主党の協力なしでも成立可能な予算調整法案に盛り込んで成立させようとしています。

これから本格化する議会共和党と同民主党との、あるいは議会とトランプ大統領との予算交渉に対して、支出停止というトランプ政権の強硬策がどのような影響をもたらすのか、事態の展開を見守る必要がありそうです。
西田明弘

執筆者プロフィール

西田明弘(ニシダアキヒロ)

チーフエコノミスト

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