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米小売売上高、製造業景況指数、高まるソフトランディング期待!?

2025/01/17 08:24

【ポイント】
・今週の米経済指標は総じて景気堅調とインフレ圧力の減殺を示唆
・小売売上高はコア部分が堅調でGDP予測を押し上げ
・製造業景況指数はマチマチながら全体に昨秋から改善傾向?
・「トランプ・ファクター」が不透明ながらFOMCは慎重な利下げを継続か

今週発表された米経済指標は、ベージュブック(地区連銀経済報告)CPIなど、景気が底堅さを維持するなかで、インフレ圧力が徐々に減殺している状況を示唆しました。16日に発表された12月小売売上高は前月比幅広い分野で増加し、昨年末のクリスマス商戦の堅調を示しました(後述)。

1月のフィラデルフィア連銀製造業景況感指数は44.3と、前月のマイナス(-5.0)から大幅なプラスとなりました。前日発表のNY連銀指数はマイナス(-12.6)でしたが、6カ月先については比較的明るい見通しとなっていました。全米レベルのISM製造業景況指数は50割れが続くものの、昨年10月をボトムに2カ月連続で上昇しました。

米製造業景況感

16日時点のOIS(翌日物金利スワップ)に基づけば、市場が織り込む1月FOMCでの利下げ確率はほぼゼロ、3月までで約3割、5月までで5割強、6月まででほぼ10割となっています。20日に始動するトランプ政権の政策に伴う強い不透明感はありますが、現時点でFOMCが慎重ながらも利下げを続けるとの見方は変更する必要はなさそうです(タイミングの問題は残ります・・)。

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12月小売売上高は前月比0.4%と、前月(0.7%から0.8%に上方修正)や市場予想(0.6%)を下回りました。ただし、GDPのPCE(個人消費支出)算出に利用されるコントロールグループ(自動車・ガソリン・外食・建材を除くコア小売売上高)は前月比0.7%と堅調でした。感謝祭(11月28日)後のサイバーマンデーが12月2日だったことで小売売上高が強めとなったのかもしれません。

16日時点のアトランタ連銀GDPNow(短期予測モデル)によれば、昨年10-12月期のGDPは前期比年率3.0%と予測されています。小売売上高を受けてPCEの予測値は3.3%から3.7%に上方修正されており、それだけでGDP0.2%分の押し上げ効果(=寄与度の変化)がありました。30日のGDP発表まで重要な経済指標は残り少なくなっており、GDPNowの予測値の精度は相応に高いと考えられます。

米GDPNow
西田明弘

執筆者プロフィール

西田明弘(ニシダアキヒロ)

チーフエコノミスト

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