日銀副総裁の発言や米PPIが材料になりそう
2025/01/14 08:47
【ポイント】
・氷見野副総裁は23-24日の日銀会合についてのヒントを示すか
・米PPIの結果を受けてFRBの利下げ観測が一段と後退するか
(欧米市場レビュー)
13日、欧米時間の外為市場では、円が堅調に推移。一時、米ドル/円は156.917円、ユーロ/円は159.984円、英ポンド/円は190.073円、豪ドル/円は96.346円へと下落し、ユーロ/円と豪ドル/円は24年12月19日以来、英ポンド/円は同12月4日以来の安値をつけました。欧州の主要な株価指数やNYダウ先物が軟調に推移するなか、リスクオフ(リスク回避)の動きが強まったことが、円の支援材料となりました。
その後、米国株が堅調に推移すると円は反落。米ドル/円やユーロ/円などは下げ幅を縮小しました。
ノルウェークローネ/スウェーデンクローナは一時0.98425スウェーデンクローナへと上昇しました。原油価格の上昇がノルウェークローネ/スウェーデンクローナの上昇要因になったと考えられます。米WTI原油先物の2月物は一時1バレル=79.27ドルへと上昇し、中心限月として24年8月中旬以来およそ5カ月ぶりの高値を記録。米国と英国が10日にロシア産原油への制裁を強化したことが、引き続き原油価格を押し上げました。
(本日の相場見通し)
本日は、日銀の氷見野副総裁が神奈川県金融経済懇談会に出席します。氷見野副総裁は日本時間午前10時30分からの懇談会であいさつし、14時から会見する予定です。
日銀は23-24日に金融政策決定会合を開きます。氷見野副総裁のあいさつや会見では、23-24日の会合についてのヒントが示されるかどうかに注目です。
植田日銀総裁は1月6日に「経済・物価情勢の改善が続いていくのであれば、政策金利を引き上げて金融緩和の度合いを調整する方針」と述べ、利上げのタイミングについては「今後の経済・金融・物価情勢次第で、さまざまなリスク要因を注視する必要がある」と語りました。
一部メディアは10日に、複数の関係者の話として「1月の日銀会合では、25年度と26年度の生鮮食品とエネルギーを除いた消費者物価指数(コアコアCPI)見通しが上方修正される公算が大きい」と報じました。日銀は前回24年10月の展望レポートでコアコアCPI について25年度は1.9%、26年度は2.1%との見通しを示しました(政策委員見通しの中央値)。
氷見野副総裁のあいさつや会見によって23-24日の会合での利上げ観測が市場で強まる場合、米ドル/円やクロス円(ユーロ/円や豪ドル/円など)が軟調に推移しそうです。
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米国の24年12月PPI(生産者物価指数)が本日発表されます(日本時間22:30)。この結果に市場が反応する可能性があります。
PPIの市場予想は以下の通り。( )は前回の実績です。
<総合>
・前月比:0.3%(0.4%)
・前年比:3.4%(3.0%)
<コア>
・前月比:0.3%(0.2%)
・前年比:3.8%(3.4%)
FRB(米連邦準備制度理事会)は前回24年12月の(米連邦公開市場委員会)まで3会合連続で利下げを実施しました。米経済指標の結果がこのところ堅調なことから、市場ではFRBの利下げのペースは今後鈍化すると予想されています。CMEのFedWatchツールによると、市場が織り込む利下げ確率は、次回28-29日のFOMCで約2%、3月18-19日のFOMCまでで2割程度、5月6-7日のFOMCまでで3割程度、6月17-18日のFOMCまで5割程度、7月29-30日のFOMCまでで6割程度です(日本時間14日08:08時点)。
本日発表されるPPIが市場予想を上回る結果になれば、FRBの利下げ観測が一段と後退する可能性があります。利下げ観測が後退する場合、米ドルが堅調に推移して米ドル/カナダドルは上値を試し、一方でユーロ/米ドルや英ポンド/米ドルは下値を試す展開になりそうです。
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