雇用統計で米ドルが堅調、ユーロ/米ドルは2年2カ月ぶりの安値
2025/01/13 09:02
【ポイント】
・米長期金利が一段と上昇するか
・主要国の株価が軟調に推移すれば、リスクオフが一段と強まる可能性も
(欧米市場レビュー)
10日、欧米時間の外為市場では、米ドルが堅調に推移。一時、米ドル/カナダドルは1.44377カナダドルへと上昇し、ユーロ/米ドルは1.02093ドル、英ポンド/米ドルは1.21861ドル、豪ドル/米ドルは0.61329米ドルへと下落。ユーロ/米ドルは22年11月以来、英ポンド/米ドルは23年11月以来、豪ドル/米ドルは20年4月以来の安値を記録。米国の24年12月雇用統計で非農業部門雇用者数が前月比25.6万人増、失業率が4.1%と、いずれも市場予想(16.0万人増、4.2%)よりも強い結果だったことでFRB(米連邦準備制度理事会)の利下げ観測が大きく後退し、米ドル高圧力となりました。
※米雇用統計については、11日の『ファンダメ・ポイント』[12月米雇用統計は25.6万人増、25年中の利下げは1回だけ??]にて詳しく解説していますので、ご覧ください。
円も堅調。一時、ユーロ/円は161.184円、英ポンド/円は192.197円、豪ドル/円は96.753円へと下落しました。米国の主要株価指数が総じて軟調に推移するなか、リスクオフ(リスク回避)の動きが強まったことが、円の支援材料となりました。
ノルウェーの12月CPI(消費者物価指数)は総合指数が前年比2.2%、エネルギーや税を除いたコア指数が同2.7%と、市場予想(2.5%と2.8%)を下回りました。CPIの結果発表後、ノルウェークローネ/スウェーデンクローナは一時0.97334スウェーデンクローナへと下落しました。
その後、原油価格が堅調に推移するなか、ノルウェークローネ/スウェーデンクローナは下げ幅を縮小しました。米WTI原油先物の中心限月である2月物は前日比2.65ドル高(3.58%)の1バレル=76.57ドルで取引を終了。米国と英国がロシアの石油大手(ガスプロムネフチとスルグトネフテガス)を制裁対象に加えたことで原油の供給懸念が強まり、WTI原油先物は一時77.86ドルと中心限月として24年10月以来の高値をつけました(日本時間本日13日に時間外取引で78ドルを超えました)。
(本日の相場見通し)
10日の米債券市場では、米雇用統計の強い結果を受けて長期金利(10年物国債利回り)が上昇。一時4.79%と23年11月以来およそ1年2カ月ぶりの高い水準をつけました。
本日は米国の主要な経済指標の発表はなく、米長期金利の動向が材料になる可能性があります。米長期金利が一段と上昇すれば、米ドルが堅調に推移して、米ドル/円や米ドル/カナダドルは上値を試し、ユーロ/米ドルや英ポンド/米ドル、豪ドル/米ドルは下値を試す展開になりそう。ユーロ/米ドルは心理的節目の1.00000ドルに向かって下落する可能性があります。
長期金利の上昇は株価にとってマイナスになると考えられます。10日の米株式市場では主要な株価指数が総じて下落し、ダウは前日比696.75ドル安(-1.63%)、ナスダックは同317.25ポイント安(-1.63%)、S&P500は同91.21ポイント安(-1.54%)となりました。
米国など主要国の株価に本日大きな動きがみられれば、市場では株価動向も意識される可能性があります。主要国の株価が軟調に推移する場合、リスクオフの動きがさらに強まるとともに、ユーロ/円や豪ドル/円などのクロス円に対して下落圧力が加わるかもしれません。
※本日の『ファンダメ・ポイント』は[【株価指数】長期金利上昇により主要株価は軟調]です。
本日は、日本が祝日のため外為市場では参加者が減少して流動性が低下します。突発的なニュースや仕掛け的な動きが出てきた場合には、値動きが増幅する可能性があり、注意は必要です。
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