米国とカナダの雇用統計に注目! CPIにノルウェークローネが反応!?
2025/01/10 09:17
【ポイント】
・米雇用統計でFRBの追加利下げ観測が一段と後退するか
・カナダ雇用統計で市場のBOC金融政策見通しがどう変化するか
・CPIでノルウェー中銀の3月利下げ観測が補強されるか
・英国債利回りがさらに上昇するか
(欧米市場レビュー)
9日、欧米時間の外為市場では、英ポンドが軟調に推移。一時、英ポンド/米ドルは1.22311ドル、英ポンド/円は193.475円へと下落し、ユーロ/英ポンドは0.84018ポンドへと上昇。英ポンド/米ドルは23年11月以来およそ1年2カ月ぶりの安値をつけました。英国の10年物国債利回りが08年以来およそ17年ぶり、30年物国債利回りは98年以来およそ27年ぶりの高い水準をつけました。世界的な金利(国債利回り)の上昇に加えて英国の財政赤字が拡大するとの懸念が、英金利の上昇要因となっています。「悪い金利上昇」と市場でみなされて英ポンド安圧力が強まっているようです。
メキシコペソも軟調。メキシコペソ/円は一時7.670円へと下落しました。メキシコの12月CPI(消費者物価指数)が前年比4.21%と、市場予想(4.28%)以上に前月の4.55%から上昇率が鈍化し、21年2月以来3年10カ月ぶりの低い伸びだったことが、メキシコペソの重石となりました。
(本日の相場見通し)
英ポンドについては、英国の国債利回りの動向に引き続き注目です。10年物国債利回り(長期金利)などが一段と上昇する場合、財政への懸念から英ポンド安圧力がさらに強まる可能性があります。
※ユーロ/英ポンドのテクニカル分析は、本日の『テクニカル・ポイント』[ユーロ/英ポンド、昨年11月4日以来の高値を示現!もう一段の上値追いとなるか]をご覧ください(お客様専用ページへのログインが必要です)。
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本日は、米国の12月雇用統計が発表されます(日本時間22:30)。この結果に市場が反応しそうです。
雇用統計の市場予想は非農業部門雇用者数が前月比16.0万人増、失業率が4.2%です。失業率は前月と同じとなり、非農業部門雇用者数は前月の22.7万人から増加のペースが鈍化するとみられています。
FRB(米連邦準備制度理事会)は利下げペースを今後鈍化させると市場は予想しており、このことが足もとの米ドル高の主な要因となっています。CMEのFedWatchツールによると、市場が織り込む利下げの確率は、次回1月28-29日のFOMC(米連邦公開市場委員会)で7%程度、次々回3月18-19日のFOMCまでで4割弱、さらにその次の5月6-7日のFOMCまでで5割強です。
雇用統計が市場予想と比べて強い結果になれば、FRBの利下げ観測が市場で一段と後退するとともに、米ドル高が進みそう。米ドル/円は上昇し、一方でユーロ/米ドルや豪ドル/米ドルは下落すると考えられます。ユーロ/米ドルは、2日安値の1.02196ドル割れを試すかもしれません。
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米国と同時刻にカナダの12月雇用統計が発表されます。
カナダの雇用統計の市場予想は失業率が6.9%、雇用者数が前月比2.50万人増です。失業率は前月の6.8%から悪化し、雇用の増加ペースは前月比5.05万人から鈍化するとみられています。
BOC(カナダ中銀)は次回1月29日の政策会合で0.25%の利下げを行うとの観測が市場にはあります。市場の金融政策見通しを反映するOIS(翌日物金利スワップ)によると、市場が織り込む次回会合の確率は、0.25%の利下げが約7割、政策金利の据え置きが約3割です。
カナダの雇用統計が市場予想と比べて弱い結果になれば、BOCの利下げ観測が強まるとともにカナダドル安材料になりそうです。
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ノルウェーの12月CPI(消費者物価指数)が本日発表されます(日本時間16:00)。この結果にノルウェークローネが反応する可能性があります。
CPIの市場予想は総合指数が前年比2.5%、エネルギーや税を除いたコア指数が同2.8%と、いずれもノルウェー中銀のインフレ目標の2%を引き続き上回るとみられています。
ノルウェー中銀は23年12月に利上げを実施した後、前回24年12月まで8会合連続で政策金利を4.50%に据え置きました。ただ、前回会合時の声明では「現在の見通しに基づけば、(25年1月は据え置いてその次の)25年3月に利下げする可能性が大きい」とされました。
CPIが市場予想を下回る結果になれば、市場では3月の利下げ観測が補強されるとともに、ノルウェークローネ/スウェーデンクローナの上値を抑える要因になりそうです。
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