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米ドルが堅調、米ドル/円は6カ月ぶり高値、英ポンド/米ドルは9カ月ぶり安値

2025/01/09 09:16

【ポイント】
FOMC関係者の講演でFRBの追加利下げ観測が一段と後退するか
CPIでメキシコ中銀の大幅利下げ観測が強まるか

(欧米市場レビュー)

8日、欧米時間の外為市場では、米ドルが堅調に推移。一時、米ドル/円は158.541円、米ドル/カナダドルは1.44049カナダドルへと上昇し、ユーロ/米ドルは1.02716ドル、英ポンド/米ドルは1.23181ドル、豪ドル/米ドルは0.61858米ドルへと下落。米ドル/円は24年7月17日以来およそ6カ月ぶりの高値をつけ、英ポンド/米ドルは24年4月以来およそ9カ月ぶりの安値を記録しました。

米国の長期金利(10年物国債利回り)が上昇したことや、米CNNが「トランプ次期政権は、新たな関税の導入に法的根拠を与えるため国家経済緊急事態の宣言を検討している」と報じたことが、米ドル高材料となりました。トランプ次期大統領が掲げる新たな関税が導入されれば、輸入物価の上昇を通じてインフレ圧力が強まるとの見方が市場にはあります。CNNの報道により、新たな関税導入の可能性が高まったと市場は受け止めたのかもしれません。

米国の12月ADP雇用統計は前月比12.2万人増と市場予想の14.0万人増よりも弱い結果だった一方、先週分の新規失業保険申請件数は20.1万件と市場予想の21.8万件と比べて強い結果でした。強弱マチマチの結果だったことでこれらの経済指標に対する市場の反応は限定的でした。

スウェーデンの12月CPI(消費者物価指数)が発表されました。結果は総合CPIが前年比0.8%、住宅ローン金利変動の影響を除外したCPIFは同1.5%と、いずれも市場予想(1.0%と1.7%)以上に前月の1.6%と1.8%から上昇率が鈍化。スウェーデン中銀のインフレ目標の2%を引き続き下回りました。

CPIの結果を受けてスウェーデンクローナが売られ、ノルウェークローネ/スウェーデンクローナは一時0.98465スウェーデンクローナへと上昇しました。

その後、原油価格(北海ブレント先物や米WTI原油先物)が軟調に推移するなか、ノルウェークローネ/スウェーデンクローナは上げ幅を縮小。0.97668スウェーデンクローナへと下落する場面がありました。

(本日の相場見通し)

FRB(米連邦準備制度理事会)のウォラー理事は8日の講演で、「(米国の)インフレ率は中期的に(目標の)2%に向けて引き続き進展し、追加利下げが適切になるだろう」、「25年に追加利下げを行うことを支持するが、追加利下げのペースは労働市場の軟化を防ぎつつインフレ面でどれだけ進展が見られるか次第」などと述べました。

本日は、ボウマンFRB理事ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁コリンズ・ボストン連銀総裁バーキン・リッチモンド連銀総裁シュミッド・カンザスシティー連銀総裁が講演する予定です。これらのFOMC(米連邦公開市場委員会)参加者の発言が材料になる可能性があります。

ボウマン理事らの講演では、FRBの今後の利下げペースについてのヒントが示されるかどうかに注目です。FRBの追加利下げ観測が市場で一段と後退する場合、米ドル/円や米ドル/カナダドルには上昇圧力が、ユーロ/米ドルや英ポンド/米ドルには下落圧力が加わる可能性があります。ユーロ/米ドルは、2日安値の1.02196ドルが目先の下値メドです。

なお、カーター元米大統領の服喪の日で米株式市場は休場、米債券市場は短縮取引となります。

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メキシコの12月CPI(消費者物価指数)が本日発表されます(日本時間21:00)。この結果にメキシコペソが反応するかもしれません。

BOM(メキシコ中銀)は前回24年12月19日の政策会合で0.25%の利下げを行うことを決定。政策金利を10.25%から10.00%へと引き下げました。その時の声明では、「ディスインフレの進展を踏まえ、抑制的な金融政策スタンスを維持しつつも、今後の会合ではより大幅な下方調整が検討される可能性もある」と表明。これまでの0.25%を超える幅の利下げもあり得ることが示唆されました。

CPIの市場予想は、総合指数が前年比4.28%、食品・エネルギー・農畜産物などを除いたコア指数が同3.62%。市場予想を下回る結果になれば、BOMは次回2月6日の会合で0.50%の利下げを行うとの観測が市場で強まりそうです。0.50%の利下げ観測が強まる場合、メキシコペソは上値が重い展開になる可能性があります。

八代和也

執筆者プロフィール

八代和也(ヤシロカズヤ)

シニアアナリスト

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