米ドル/円と日米長期金利の新たな関係
2024/11/12 08:01
【ポイント】
・9月以降、米ドル/円と日米長期金利差の相関が高まる
・米長期金利は「トランプ政権」の財政政策が材料に?
・日本の長期金利は日銀の利上げのタイミング次第か?
米ドル/円と日米長期金利(10年物国債利回り)差の高い相関は以前から指摘してきました。5-6月には一時逆相関になりましたが、7月以降は正の相関を取り戻しており、9月以降はとりわけ高い相関になっているようです。
9月2日-10月31日における日米長期金利差を用いた米ドル/円の推計式は以下の通り。
(米ドル/円)=79.87+22.17*(日米長期金利差)
推計期間:24年9月2日-10月31日 決定係数R2=0.95
11月8日時点の米長期金利は4.3043%(11日は休場)、同11日時点の日本の長期金利は1.004%で、金利差は3.3003%。これを上記推計式に投入すれば、米ドル/円の推計値は153.02円と算出できます。

仮に、日米長期金利差が3.15%まで縮小すれば(米長期金利の低下や日本の長期金利の上昇、あるいはその両方)、米ドル/円の推計値は149.69円と150円を割り込みます。また、日米長期金利差が3.62%まで拡大すれば(米長期金利の上昇や日本の長期金利の低下、あるいはその両方)、米ドル/円の推計値は160.11円となります。
米長期金利は9月中旬に底打ちして上昇。両大統領候補の政策が財政赤字を拡大させるとの懸念が背景でした。とりわけ、「トランプ勝利」を受けて米長期金利は6日に一時4.48%まで上昇。その後はやや低下しています。米長期金利は景気や物価、金融政策見通しの変化によって変動します。「トランプ政権」の財政政策、とりわけ減税案が議会で前に進み始めるのは25年2月ごろの予算教書の発表を受けてからでしょう。ただ、その前にも思惑から長期金利が上昇する場面はみられるかもしれません。
一方、日本の長期金利は9月下旬からジリジリと上昇しており、7日以降は8月初め以来となる1%超を示現しています。日銀の利上げは25年1月が有力視されていますが、11日時点のOIS(翌日物金利スワップ)に基づけば、次回12月の会合でも利上げが4割程度織り込まれています。日銀は長期金利の上昇に神経質になるとみられ、長期金利が大きく上昇する場面では何らかのけん制を行うかもしれません(円安に対するけん制もありうるでしょうが・・)。
・9月以降、米ドル/円と日米長期金利差の相関が高まる
・米長期金利は「トランプ政権」の財政政策が材料に?
・日本の長期金利は日銀の利上げのタイミング次第か?
米ドル/円と日米長期金利(10年物国債利回り)差の高い相関は以前から指摘してきました。5-6月には一時逆相関になりましたが、7月以降は正の相関を取り戻しており、9月以降はとりわけ高い相関になっているようです。
9月2日-10月31日における日米長期金利差を用いた米ドル/円の推計式は以下の通り。
(米ドル/円)=79.87+22.17*(日米長期金利差)
推計期間:24年9月2日-10月31日 決定係数R2=0.95
11月8日時点の米長期金利は4.3043%(11日は休場)、同11日時点の日本の長期金利は1.004%で、金利差は3.3003%。これを上記推計式に投入すれば、米ドル/円の推計値は153.02円と算出できます。

仮に、日米長期金利差が3.15%まで縮小すれば(米長期金利の低下や日本の長期金利の上昇、あるいはその両方)、米ドル/円の推計値は149.69円と150円を割り込みます。また、日米長期金利差が3.62%まで拡大すれば(米長期金利の上昇や日本の長期金利の低下、あるいはその両方)、米ドル/円の推計値は160.11円となります。
米長期金利は9月中旬に底打ちして上昇。両大統領候補の政策が財政赤字を拡大させるとの懸念が背景でした。とりわけ、「トランプ勝利」を受けて米長期金利は6日に一時4.48%まで上昇。その後はやや低下しています。米長期金利は景気や物価、金融政策見通しの変化によって変動します。「トランプ政権」の財政政策、とりわけ減税案が議会で前に進み始めるのは25年2月ごろの予算教書の発表を受けてからでしょう。ただ、その前にも思惑から長期金利が上昇する場面はみられるかもしれません。
一方、日本の長期金利は9月下旬からジリジリと上昇しており、7日以降は8月初め以来となる1%超を示現しています。日銀の利上げは25年1月が有力視されていますが、11日時点のOIS(翌日物金利スワップ)に基づけば、次回12月の会合でも利上げが4割程度織り込まれています。日銀は長期金利の上昇に神経質になるとみられ、長期金利が大きく上昇する場面では何らかのけん制を行うかもしれません(円安に対するけん制もありうるでしょうが・・)。

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