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エリオット波動・宮田レポート(短期アップデート) ※11月1日更新

2024/11/01 10:59

宮田レポート.pdf

[日経平均]
【当面の想定レンジ】 34,000~39,900円

[NYダウ] 
【当面の想定レンジ】 39,800~42,600ドル

[ナスダック]
【当面の想定レンジ】 16,900~18,600

[米ドル/円]
【当面の想定レンジ】 137.000~154.180円

[ドルインデックス(ドル指数)]
【当面の想定レンジ】 99.578~104.799



[日経平均]


【週足 エリオット波動分析】
42,426円(7/11高値)以来の第(4)波(インターミディエイト級)中A波は、31,156円(8/5安値)を以て終わったとみられます。それは20年3月以来の4年サイクル底に相当します。

中長期タームの見通しは強気を維持。来年の日経平均は、第(5)波の上昇によって42,426円を上抜き最高値を更新する可能性が高い、とみています。日経平均予想EPSが初めて一時2500円台に増えるなど、好調な企業業績は続いており、4万5000円も十分射程内にあります。

なお第(5)波の上昇は、最短で2025年2月、最長の場合2026年12月まで続くとみられます。特に2025年末頃までを、第(5)波による上昇期間として注目しています。

【日足 エリオット波動分析】
足元、日経平均予想EPSは2500円付近にあります(10月15日は2514円と最高水準を更新しています)。EPS2500円・PER18倍から得られる4万5000円という水準は、25年の日経平均ターゲット候補として要注目です。

もっとも、31,156円(8/5安値)からのリバウンド[第(4)波中B波]は、40,257円(10/15高値)を以て終了したとみられます。10月15日のローソク足『流星』と、翌16日のギャップダウンによって生じた『アイランド・リバーサル』により、日経平均のトレンド下方転換が強く暗示されていました。

時価総額上位銘柄で構成されるTOPIXコア30(海外投資家好みのブルーチップ株)は、8月以降の戻り高値を9月3日に付けており、日経平均より1カ月以上も先に頭打ちした格好です。このようなコア30と日経平均の『未確認』は、主力株への売り圧力の強さ、相場全般の潜在的弱さを示唆しています。

日経平均は40,257円を起点にC波の下落局面が進行中とみられます。
目先買い戻しが一巡してから日経平均は下値模索を再開し、11月にも35,247円(9/9安値)を下回り、8月の「一番底」に次ぐ「二番底」を付けるでしょう


【時間足 エリオット波動分析】
当面の日経平均の見通しは以下の二通りです。

[メインシナリオ] 35,247円を下回り、「二番底」を形成
7月高値以来の第(4)波は[トライアングル(A-B-C-D-E)]を形成中です。
31,156円(8/5安値)からのB波(ⓐ-ⓑ-ⓒ)によるリバウンドは40,257円(10/15高値)で終わり、そこからはC波(ⓐ-ⓑ-ⓒ)による下げが進行中です。

9月下旬以降、 [ヘッド・アンド・ショルダーズ]が出現しつつあり、この天井パターンは37,712円(10/24安値)を下抜くことで完成します。そうなれば、C波による下落基調が一段と強まることが想定されます。

最終的にC波は35,247円(9/9安値)を下回り、8月安値に次ぐ「二番底」を付けるでしょう。

なお「二番底」の水準については、フィボナッチ比率からは以下の水準に注目できます。

[34,632円]…B波の上昇に対し61.8%押し水準
[33,304円~33,103円]…同76.4%~78.6%押し水準

[サブシナリオ] 第(5)波入り~年内にも高値更新へ
31,156円(8/5安値)以来、第(5)波による強気相場が進行中です。

35,247円(9/9安値)以来の上昇は第(5)波-第3波に相当します。さらに、37,712円(10/24安値)以来の上昇は第(5)波-第3波-マルⅲ波(サード・オブ・サード)に当たり、それは強い上昇となるでしょう。日経平均は、年内にも42,426円を上回る可能性があります。

[予想PER別の日経平均水準]



[NYダウ] 


【日足 エリオット波動分析】 
22年10月安値(28,660ドル)以来の上昇(B)波は、43,325ドル(10/18高値)を以て終了した可能性があります。(B)波のパターンはダブル・ジグザグ(W-X-Y)です。

NYダウは(C)波の下落に入ったとみられます。(C)波による下げの規模は、22年1月~10月にみられた調整(A)波(22.4%下げ)に匹敵するか、上回る大きさと想定されます

試みに10月高値から20%安下げる水準を計算すると34,660ドルです。今後3万5000ドルを割り込むことになっても違和感はありません

なおNYダウは23年11月からの1年間、200日MA(※)を一度も下回っていません。しかし今回の調整において200日MAは、一時的なサポートにとどまることでしょう。

※200日MA…39,787ドル(10/31)



【時間足 エリオット波動分析】 
38,499ドル(8/5安値)から43,325ドル(10/18高値)までの上昇には、明確に五つの波(i~v)が確認されます。10月31日は日足がマドを空けて下落しましたが、このとき時間足においても、8月以来の下部トレンドチャネルを割り込みました。

短期的にもNYダウは、[40,912ドル-40,342ドル](8月からの上昇に対する50%-61.8%押し)へ下押ししておかしくありません

[40,448ドル]…10月高値からの下落幅が、7月から8月にかけての下落幅(2877ドル)と等しくなる水準。これを明確に下回ると、その先より大きな調整へ発展する可能性が高まります。


[ナスダック]

【週足 エリオット波動分析】
22年12月安値(10,207)以来、(B)波による上昇が進行中です。この(B)波は[トリプル・ジグザグ(W-X-Y-X-Z)]を形成し、25年まで続くでしょう。

18,671(7/11高値)より、X波による調整が進行中とみられます。X波は[トライアングル]か、[フラット]を形成中と思われます。8月安値からのX波中ⓑ波のリバウンドは10月高値(18,785)で終わった可能性があります。

足元、ⓒ波による下落が始まったとみられますが、23年10月安値(12,543)と24年8月安値(15,708)を通る、上昇サポートライン※は維持されると思われます。

※11月第2週(11/4~11/8)のサポートライン水準…[16,717]

反面、サポートラインを終値で明確に下抜くと、18,671(7/11高値)から既に(C)波による下落トレンドに入っている、という見方が台頭し、ナスダックは中期的に[12,547]を目指す可能性があります。


【時間足 エリオット波動分析】
7月高値からのX波は[フラット]か、あるいは[トライアングル](ⓐ-ⓑ-ⓒ-ⓓ-ⓔ)を形成中と思われます。

15,708(8/5安値)からは、三波構成によるⓑ波のリバウンドに位置付けられます。

10月30日にナスダック総合指数は一時18,785まで上昇、最高値をさらに更新しました。その一方でナスダック100は7月高値を上回ることができず、総合指数の高値更新はナスダック100によって確認されませんでした。

10月31日の大幅安により、これら二つの指数の両方が、10月23日の安値(総合指数で18,146、ナスダック100では19,934)を下抜きました。この動きにより、両者の「未確認」という弱気パターンが確定し、調整局面入りとみることができます



[米ドル/円]


【月足・エリオット波動分析】 
151.899円(22/10/21)からはⓍ波の「円高局面」が進行中です。このⓍ波により米ドル/円(ドル/円)は、2028年4月頃までレンジ相場を形成していくでしょう。161.938円(7/3)は、15年6月・125.860円から9年目に付けた「8年サイクル高値」とみられます。

22年10月以来のⓍ波が描くパターンとして大きくは、➀[ランニング・トライアングル]、➁[エクスパンディッド・フラット]、これら二通りの可能性があります。なお➀のもうひとつのパターンとして[ランニング・フラット]もあげられましょう。

➀の場合、現行C波はA波安値(127.158円)を下回りません。C波は三波で構成され、2011年からの上昇チャネルのセンターライン(↑➀)が強いサポートになるでしょう。
11月中、➀の水準は135.145円に位置します。

➁の場合は、現行C波(五波構成)はチャネル下限(↑➁)を目指すような、より大きなドル安・円高が見込まれます。11月を通じ、➁の水準は115.520円となっています。

【週足 エリオット波動分析】 
161.938円(7/3)からは、C波によるドル安・円高です。ちなみにC波の長さはA波と同等か、フィボナッチ比率関係を反映します。

[137.197円]…A波の長さ(24.741円)=C波の長さ
[131.358円]…A波の長さ×1.236=C波の長さ(30.579円) (※)この時点でドル/円は月足サポート➀を明確に下回り、以下の水準を目指す可能性が高まります。

[127.745円]…A波の長さ×1.382=C波の長さ(34.192円)
[121.907円]…A波の長さ×1.618=C波の長さ(40.030円)

ちなみに23年後半からのパターンが、140円処をネックラインとする『ヘッド・アンド・ショルダーズ(三尊天井)』だとすると、天井パターンにおける右肩トップ示現後、ドル/円は下落に転じるでしょう。さらにはネックライン割れをきっかけに、ドル安・円高の流れが強まると想定されます。


【時間足 エリオット波動分析】 
141.630円(8/5)からはⓑ波によるリバウンドであり、そのパターンとして「エクスパンディッド・フラット」(a)-(b)-(c)を想定しています。139.565円(9/16)からはⓑ-(c)波に相当します。

ドル/円の直近高値(153.849円、10/28)は、以下チャート節目に近似となっており、ⓑ波は終わった可能性があります。

[153.391円]…161.938円(7/3)→139.565円(9/16)の61.8%戻り
[154.180円]…ⓐ波によるドル安・円高の61.8%戻り

そうであれば、今後ⓒ波のドル安・円高基調が強まり、それはまず[137.197円]を試すでしょう

投機筋の円売り戻しは一巡か、あるいは継続か
IMM通貨先物市場での非商業部門(投機筋&ヘッジファンド)による円買い持ちポジションは、10月22日時点で1.27万枚(10.6億ドル)と4週連続で縮小しました。

ここは(短期的な)需給面の注目ポイントに差し掛かっているようです

投機筋の円売り戻しの動きが一巡したのなら、ドル/円の下落基調が再開するのにさほど時間はかからないでしょう。

その反面、足元のドル/円水準は投機筋にとって重要な目安である26週MA(151.690円)を上回り始めており、それが新たなドル/円買いの呼び水になるようだと、ドル/円はもう一段の上値試しがありそうです。




[ドルインデックス(ドル指数)]

【週足 エリオット波動分析】 
22年9月高値(114.778)以来、ドルインデックス(ドル指数)はⒷ波による下落局面にあります。Ⓑ波は三波構成(A-B-C)です。

106.130(6/26)以来、C波によるドル安基調が進行中です。このC波は五波構成(マルi~マルv)となります。9月末からのドル反発はC波-マルii波に位置し、それは米長期金利高とリンクしています。ドル高・金利高はおそらく短期的にも終了し、マルⅲ波によるドル安が始まるでしょう。マルⅲは23年安値(99.578)を下抜くでしょう

なお足元は投機筋のドル買いが強まっています。10月22日時点で、IMM通貨先物の非商業部門による米ドルネットポジション(対主要8通貨)は、売り持ちから買い持ちに転じました。もう少しドル高が続くなら、23年7月安値(99.578)からのB波は「[フラット]を形成中とみられます。足元のドル高はB-ⓒ波に当たり、それを以てB波終了となります。

いずれにしても、全体としての流れがドル安、という基本観は変わりません。

Ⓑ波は最終的に、[90.930]、[89.209]を試す可能性があります。前者はA波とC波が等しく下がる水準、後者は21年1月に付けた、Ⓐ波のレッサー・ディグリー(4)波安値です。


エリオット波動とは
株式・為替動向を予想する心強いテクニカル手法
米国人ラルフ・ネルソン・エリオットが提唱した、今後の株式や為替など市場価格の動向を予想する手法です。相場は5つの上昇波と3つの下降波(合計8つの波)で一つの周期を作るパターンに従って展開するとされます。
このパターンは集団心理によるもので、数分から数十年といった様々な時間軸において観察されます。
フィボナッチ数列、黄金分割比率をチャート分析に初めて導入したのもエリオットです。

宮田直彦

執筆者プロフィール

宮田直彦(ミヤタナオヒコ)

チーフ・テクニカルアナリスト、マネースクエアアカデミア学長

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