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米大統領選挙の仕組み

2024/10/29 08:09

投票日まで1週間。改めて米大統領選挙の仕組みを確認しておきましょう(次回は新大統領就任までのタイムラインをご紹介する予定です)。

■10月25日配信のM2TV(YouTube)グローバルView「米大統領選挙:結果判明はいつ? マーケットの反応は?」もご覧ください。

得票率ではなく選挙人の過半数獲得で当選
大統領選で当選するには、各州に割り当てられた選挙人538人(※1)の過半数となる270人以上を獲得する必要があります。各州はごく一部を除いて得票率の一番高い候補が全ての選挙人を獲得する、「winner-take-all(総取り)方式」を採用しています。したがって、劣勢の州を大差で負け、優勢の州を僅差で勝てば、全国の得票率で負けても選挙人数で勝つ(=当選する)ことはあり得ます。

(※1)各州に割り当てられる選挙人数は、当該州選出の連邦議員数(上院議員2+下院議員人口比例配分)と同じ。連邦議員のいない首都ワシントンDC(コロンビア特別区)には3人が割り当てられます。よって、選挙人数は・・

            <上院議員100人+下院議員435人+DC分3人=538人>

選挙人が最多の州は、カリフォルニア(54)、次いでテキサス(40)、フロリダ(30)、ニューヨーク(28)・・逆に最少(上院議員2人、下院議員1人の州)は3人で、アラスカ、ワイオミングなど数州とワシントンDCです。

州別選挙人数


選挙人数と得票率の逆転
前々回2016年の選挙で、トランプ氏の得票率は46.1%。これに対してクリントン氏の得票率は48.2%。得票数ではクリントン氏が300万票近く上回りました。それでも、獲得した選挙人数はトランプ氏が306、クリントン氏が232でした(※2)。

(※2)12月14日の選挙人による投票では、支持表明した候補とは別の候補に投票した選挙人が数名出たため、獲得票はトランプ氏304、クリントン氏227でした。

過半数の選挙人を獲得した候補がいないケース
獲得選挙人数が同数(各269)の場合、あるいはどの候補も過半数を獲得できなかった場合(※3)、下院が大統領を、上院が副大統領を選出します。議会が1月6日に選挙人投票を集計し、過半数獲得者がいなければ即座に投票が行われます。各州に1票が割り当てられ(カリフォルニアもアラスカも1票)、26票を獲得した候補が選出されます。1月20日までに大統領が選出されなかった場合、(選出された)副大統領が大統領代行を務めます。副大統領も選出されなかった場合、大統領承継順位(※4)に従って大統領が決まります。

(※3)92年の選挙では得票率が「ビル・クリントン氏43.0%、ジョージ・ブッシュ(シニア)氏37.4%、ロス・ペロー氏18.9%」でしたが、獲得選挙人は、「クリントン氏370、ブッシュ氏168、ペロー氏0」。ペロー氏は20%近い得票率だったものの、選挙人を1人も獲得できず、結果的にクリントン氏が過半数を獲得しました。

(※4)大統領⇒副大統領⇒下院議長⇒上院議長代行(上院議長は副大統領が兼務)⇒公務長官⇒財務長官⇒国防長官⇒・・・・⇒国土安全保障長官。(以上、各省の創設順。ただし、過去に下院議長以下が大統領に昇格したことはありません)
西田明弘

執筆者プロフィール

西田明弘(ニシダアキヒロ)

チーフエコノミスト

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