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植田日銀総裁の会見を受けて円が全面安

2024/09/23 08:50

【ポイント】
・植田日銀総裁は追加利上げを急がない姿勢を示す
FOMC参加者の発言で市場のFRB金融政策見通しが変化するか
・ユーロ圏やドイツPMIにユーロが反応する可能性も

(欧米市場レビュー)

20日、欧米時間の外為市場では、が全面安の展開。一時、米ドル/円は144.445円、ユーロ/円は161.099円、英ポンド/円は191.944円、豪ドル/円は98.239円、NZドル/円は89.899円へと上昇しました。植田日銀総裁が金融政策決定会合後の会見で、追加利上げを急がない姿勢を示したことが、円安圧力となりました。

植田総裁は会見で、「(日銀の)経済・物価の見通しが実現していけば、政策金利を引き上げて金融緩和の度合いを調整していくことになる」と述べました。その一方で、「政策判断にあたり、時間的な余裕はある」、「ただちに見通しの確度が高まり、すぐに利上げということにはならない」などと語りました。

(本日の相場見通し)

FRB(米連邦準備制度理事会)は次回11月6-7日のFOMC(米連邦公開市場委員会)で追加利下げを行うと市場は予想しています。利下げ幅については市場の見方が分かれており、CMEのFedWatchツールによると、20日時点で市場が織り込む利下げの確率は、0.25%幅が49.6%、0.50%幅が50.4%です。

FRBのウォラー理事は20日に「今後2回のFOMCでそれぞれ0.25%の利下げを行うことが想定できる」としつつも、「労働市場が悪化する、あるいはインフレのデータが急速に軟化する場合には、0.50%利下げする可能性もある」と述べました。

本日、ボスティック・アトランタ連銀総裁グーズルビー・シカゴ連銀総裁カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁の発言機会があります。ボスティック総裁らFOMC参加者がFRBの利下げペースについて新たなヒントを提供すれば、市場が反応しそう。11月FOMCでの0.50%の利下げ観測が強まる場合には米ドルが軟調に推移して、米ドル/円や米ドル/カナダドルは下落し、一方で英ポンド/米ドルや豪ドル/米ドルは上昇しそうです。

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ユーロ圏やドイツの9月PMI(購買担当者景気指数)速報値が本日発表されます。これらの結果にユーロが反応する可能性があります。

PMI速報値の市場予想は以下の通り。( )は8月改定値です。
<ユーロ圏>日本時間17時発表
・総合:50.5(51.0)
・製造業:45.6(45.8)
・サービス部門:52.1(52.9)

<ドイツ>同16時30分発表
・総合:48.2(48.4)
・製造業:42.3(42.4)
・サービス部門:51.0(51.2)

ユーロ圏とドイツのいずれも、総じて8月改定値から数値が低下すると予想されています。全般的に市場予想を下回る結果になれば、ユーロが軟調に推移して、ユーロ/米ドルやユーロ/円、ユーロ/英ポンドは下値を試す展開になるかもしれません。ユーロ/英ポンドの目先の下値メドとして、0.83352ポンド(22年8月安値)が挙げられます。

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本日は日本が祝日のため、外為市場では参加者が減少して流動性が低下します。突発的なニュースや仕掛け的な動きなどが出てきた場合には値動きが増幅する可能性があり、注意は必要です。

八代和也

執筆者プロフィール

八代和也(ヤシロカズヤ)

シニアアナリスト

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