ECB理事会に注目! ユーロが反応しそう
2024/09/12 09:20
【ポイント】
・ECB(欧州中銀)の利下げ幅はどうなるか
・ECB総裁は追加利下げのタイミングについてヒントを示すか
(欧米市場レビュー)
11日、欧米時間の外為市場では、円が反落。一時、米ドル/円は142円台半ば、ユーロ/円は156円台後半、豪ドル/円は95円ちょうど近辺、NZドル/円は87円台前半へと上昇しました。米国の主要な株価指数が持ち直すなか、リスクオフ(リスク回避)の動きが後退したことが、円の重石となりました。
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市場ではメキシコで司法制度改革案が成立すれば司法の独立性が脅かされると懸念されており、その懸念がメキシコペソに対する下押し圧力となってきました。
メキシコの議会上院は11日、司法制度改革案を賛成86・反対41で可決しました。与党連合は上院において司法制度改革案の可決(憲法の改正)に必要な3分の2(86議席)に1議席足りませんでしたが、野党議員の1人が賛成しました(1人は欠席)。下院は4日に可決済みであり、あとは32の州議会のうち17以上で承認されれば憲法改正(司法制度改革案の施行)が可能になります。
(本日の相場見通し)
本日は、ECB(欧州中銀)理事会が開かれます。理事会の結果は日本時間21時15分に発表され、ラガルドECB総裁が21時45分から会見します。
理事会では利下げすることが決定されそうです。市場では、3つの政策金利のうちECBが最も重視している下限の中銀預金金利(現行3.75%)は0.25%引き下げられると予想されています。残りの主要リファイナンス金利(同4.25%)と限界貸出金利(同4.50%)については、いずれも0.60%引き下げられると市場は予想しています。ECBは金融政策の正常化を進める中で、後者と中銀預金金利との差を縮小する意向を示しています。主要リファイナンス金利と限界貸出金利の引き下げ幅の方が大きくなるとの市場予想は、そのためと考えられます。
ラガルドECB総裁の会見にも注目。会見では、追加利下げのタイミングについてのヒントが提供されるか否かが焦点になりそうです。次回10月17日の理事会では政策金利は据え置かれるとの見方が市場では有力です。ラガルド総裁の会見がその見方を強める内容になれば、ユーロが堅調に推移する可能性があります。
※ユーロ/英ポンドのテクニカル分析は、本日の『テクニカル・ポイント』[ユーロ/英ポンド、ECB理事会&ラガルド総裁会見が相場動意となるか]をご覧ください(お客様専用ページへのログインが必要です)。
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本日、米国の新規失業保険申請件数(先週分)やPPI(生産者物価指数。8月分)が発表されます。
市場予想は以下の通り。( )は前回の実績値です。
・新規失業保険申請件数:23.0万件(22.7万件)
・PPI(総合):前年比1.8%(2.2%)
・PPI(コア):前年比2.5%(2.4%)
新規失業保険申請件数やPPIが市場予想と比べて弱い結果になれば、米ドルが軟調に推移する可能性があります。その場合には、米ドル/円や米ドル/カナダドルは下値を試し、一方で英ポンド/米ドルや豪ドル/米ドルは上値を試す展開になりそうです。
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日銀の田村審議委員が岡山県金融経済懇談会に出席します。田村審議委員は日本時間10時から始まる懇談会であいさつし、14時30分から会見する予定です。
昨日11日は、中川審議委員が「実質金利は現在きわめて低い水準にある」、「先行き日銀の経済・物価の見通しが実現していくとすれば、金融緩和の度合いを調整(追加利上げ)していくことになる」などと述べたことで円高に振れる場面がありました。
中川審議委員と同様に中川審議委員がタカ派的な発言をすれば、円の支援材料になる可能性があります。
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