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日銀副総裁の発言が材料になりそう

2024/08/28 09:00

【ポイント】
・氷見野副総裁の講演で日銀の金融政策について新たな手掛かりが提供されるか
・豪CPIで市場のRBA金融政策見通しが変化するか

(欧米市場レビュー)

27日、欧米時間の外為市場では、米ドルが軟調に推移。一時、米ドル/円は143.906円、米ドル/カナダドルは1.34383カナダドルへと下落し、ユーロ/米ドルは1.11862ドル、英ポンド/米ドルは1.32638ドルへと上昇。米ドル/カナダドルは3月8日以来の安値を記録し、英ポンド/米ドルは22年3月以来の安値をつけました。パウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長は23日の講演で「金融政策を調整する時が来た」と述べ、9月17-18日のFOMC(米連邦公開市場委員会)で利下げを行うことを強く示唆しました。FRBの利下げ観測が米ドル安圧力となりました。

メキシコペソも軟調。対米ドルや対円で8月5日以来の安値をつけました。メキシコの議会委員会が司法制度改革案を承認したことがメキシコペソ安圧力となりました。司法制度改革によって司法の独立性が脅かされると市場は懸念しています。改革案は9月に始まる議会で最終審議されるもようです。

(本日の相場見通し)

本日、日銀の氷見野副総裁が甲府市で開かれる金融経済懇談会に出席します。氷見野副総裁は10時30分からの懇談会であいさつし、14時から会見する予定です。

内田副総裁は7日の講演で「金融資本市場が不安定な状況で利上げをすることはない」、「当面、現在の水準で金融緩和をしっかりと続けていく必要がある」と述べました。植田総裁は23日の衆参両院の閉会中審査で「金融市場は引き続き不安定であり、高い緊張感をもって注視する」、「経済・物価見通しがおおむね実現していく姿になっていけば、金融緩和の度合いを調整していく(追加利上げを行う)という基本的な姿勢には変わりがない」などと述べました。

氷見野副総裁が日銀の金融政策の先行きについて新たな手掛かりを提供すれば、市場が反応しそうです。日銀の追加利上げ観測が後退する場合、が軟調に推移する可能性があります。

本日はまた、BOE(英中銀)金融政策委員会のマン委員が講演します。BOEは11月に追加利下げを行うとの観測が市場にはあります(次回9月19日の会合については政策金利の据え置きを予想)。追加利下げに慎重な姿勢が示されるなどマン委員の講演が市場の利下げ観測を後退させる内容になれば、英ポンドにとってプラスになりそうです。

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豪州の7月CPI(消費者物価指数)が本日発表されます(日本時間10:30)。CPIの市場予想は前年比3.4%と、上昇率は6月の3.8%から鈍化するとみられています。

市場では、RBA(豪中銀)は早ければ11月に利下げを行うとの観測があります。月次のCPIがカバーする品目は四半期のCPIの3分の2程度であり、そのことに留意する必要があります。それでも7月のCPIが市場予想を上回る結果になれば、RBAの利下げ観測が後退して豪ドルの支援材料になる可能性があります。

※豪ドル/NZドルのテクニカル分析は、本日の『テクニカル・ポイント』[豪ドル/NZドル、方向感模索の相場付き]ご覧ください(お客様専用ページへのログインが必要です)。

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米半導体大手のエヌビディアが5-7月期の決算を発表します(日本時間29日午前5時過ぎ)。エヌビディアの決算の結果が29日以降の主要国の株式市場に影響を与えるかもしれません。主要国の株価が大きく変動するようなら、それに外為市場が反応する可能性があります。

八代和也

執筆者プロフィール

八代和也(ヤシロカズヤ)

シニアアナリスト

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