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【株価指数】世界的に長期金利が上昇、株価の重石に!?

2024/06/03 07:22

【ポイント】
・カナダ中銀やECBは利下げサイクルの口火を切るか
・米FRBや日銀の金融政策見通しに変化はあるか
・日米長期金利の動向にも要注意
・日米の雇用・賃金関連の統計が相場材料になりそう

先週(5/27- )のレビュー

先週、各国の長期金利(10年物国債利回り)が大幅に上昇して株価の下落要因となりました。ただ、週の終盤に長期金利が低下に転じると、主要な株価は小幅に反発して週を終えました。

27日は米国と英国が休場。前週末に発表された米ミシガン大学消費者信頼感のインフレ期待が速報値から低下したことで、日経平均は上昇。ただ、日銀の追加利上げへの警戒から日本の長期金利は12年ぶり高値を更新しました(長期金利は30日に一時1.101%)。

28日には、米長期金利が大幅上昇。コンファレンスボード消費者信頼感の改善やミネアポリス連銀総裁の利上げの可能性への言及、さらには2年物および5年物国債の入札の不調が材料となりました。29日の7年物国債の入札も低調で、長期金利は一段上昇。NYダウやFTSE100は5月中旬からの下落基調を継続しました。

もっとも、30日の米GDPや31日の同PCEデフレーターが弱めとなり、米長期金利は低下して、主要な株価は31日に反発して週を終えました。ただ、エヌビディアの好決算(5/22)などを受けて28日に終値ベースで高値を更新したナスダック100は週末に弱含みました。

今週(6/3- )の相場材料

株価は、各中央銀行の金融政策を巡って方向感の定まりにくい展開となりそうです。5日にBOC(カナダ中銀)、6日にECB(欧州中銀)の会合があります。いずれも利下げを決定する可能性が高いとみられ、主要な中央銀行の利下げサイクルの口火を切ることになるかもしれません。

来週12日に米FRBのFOMC、14日に日銀の金融政策決定会合があります。それらに向けて市場がどのような見通しを形作るか。今週、米国では3日のISM製造業景況指数や5日の同非製造業指数、7日の雇用統計などが相場材料となりそう。日本では、5日の毎月勤労統計。インフレ分を調整した実質賃金は前年比マイナスが続いており、春の賃上げを受けて状況に変化はみられるでしょうか。日銀が金融政策の正常化に向けて前のめりになりつつあるだけに要注目でしょう。

日米長期金利の動向も株価に影響を与えるかもしれません。いずれも、先週末にいったん反落しました。ただ、米長期金利については、先週の国債入札が示唆した需給の悪化が継続するかどうか。米FRBは6月からQT(量的引き締め)を縮小するため(※)、それが需給の改善につながるかもしれません。
※再投資の停止を国債が毎月600億ドル⇒250億ドル、MBS(住宅ローン担保証券)が350億ドルで変わらず。

一方、日本の長期金利は3月に廃止したYCC(イールドカーブ・コントロール)で「上限のめど」としていた1.0%を超えて上昇しているだけに、日銀がそれをどこまで容認するのか。市場が日銀の意図を試すように国債の売りを仕掛けるのか。要注目です。
西田明弘

執筆者プロフィール

西田明弘(ニシダアキヒロ)

チーフエコノミスト

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