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米ドルが反落、米ドル/円は154円台前半へ下落

2024/04/18 09:09

【ポイント】
・米経済指標でFRBの利下げ観測がさらに後退するか
・米ドル/円が上昇する場合の本邦当局の対応

(欧米市場レビュー)

17日の欧米時間の外為市場では、米ドルが反落。一時、米ドル/円は154.141円、米ドル/カナダドルは1.37594カナダドルへと下落し、ユーロ/米ドルは1.06743ドル、英ポンド/米ドルは1.24763ドルへと上昇しました。米国の長期金利(10年物国債利回り)が低下したことが、米ドルの重石となりました。

日米韓の財務相会合が行われ、会合後の共同声明では「最近の急速な円安およびウォン安に関する日韓の深刻な懸念を認識しつつ、既存の G20 のコミットメント(※)に沿って、外国為替市場の動向に関して引き続き緊密に協議する」と表明されました。米ドル/円については、それも重石(円の下支え材料)となりました。

(※)21年4月のG20(20カ国・地域)財務相・中央銀行総裁会議の声明では、「為替レートの過度な変動や無秩序な動きが、経済および金融の安定に悪影響を与え得ることを認識する」とされました。

メキシコペソは対米ドルと対円で共に反発。米ドルが全般的に軟調に推移したことやヒースBOM(メキシコ中銀)副総裁のタカ派的な発言が、メキシコペソを支援しました。

ヒース副総裁は「(メキシコの)インフレ率は過去5カ月間、明確な鈍化傾向はみられていない」と指摘。「インフレはわれわれの想定以上に長引くリスクがある」との見方を示しました。

BOMは前回3月21日の政策会合で0.25%の利下げを行いました。そのことについてヒース副総裁は「“単発の”利下げであり、事前的な実質金利を管理可能な範囲内に維持するための“微調整”だ」と強調。「時期尚早に明確な政策金利の正常化(利下げ)サイクルを開始しないことが重要だ」とし、「根強いインフレに直面する中では、(景気)抑制的な金融政策を必要な期間維持すべき」との認識を示しました。

※メキシコペソ/円のテクニカル分析は、本日の『テクニカル・ポイント』[メキシコペソ/円、打診買いが奏功するか]をご覧ください(マイページへのログインが必要です)。

(本日の相場見通し)

本日は、米国の4月フィラデルフィア連銀製造業景気指数や3月中古住宅販売件数、先週分の新規失業保険申請件数などが発表されます。それらの結果が材料になりそうです。

市場予想は以下の通り。( )は前回の実績です。
・フィラデルフィア連銀製造業景気指数:2.0(3.2)
・中古住宅販売件数(年率換算):420万件(438万件)
・新規失業保険申請件数:21.5万件(21.1万件)

足もとの米ドル高の要因として、FRB(米連邦準備制度理事会)の利下げ観測の後退が挙げられます。フィラデルフィア連銀製造業景気指数などを受けて利下げ観測が一段と後退する場合、米ドルが堅調に推移しそうです。米ドル/円や米ドル/カナダドルは上値を試し、一方でユーロ/米ドルや英ポンド/米ドルは下値を試す展開が想定されます。

鈴木財務相と神田財務官は17日(米東部時間)、足もとの円安(米ドル/円の上昇)を改めてけん制しました。鈴木財務相は「為替はファンダメンタルズを反映して安定的に推移するのが望ましい」、「(為替の)行き過ぎた動きには適切に対応する」と述べ、神田財務官は「(為替に関して)あらゆる手段を排除しない」と語りました。米ドル/が上昇する場合、本邦当局の対応(為替介入の有無)に引き続き注目です。

ボウマンFRB理事やウィリアムズNY連銀総裁、ボスティック・アトランタ連銀総裁の発言機会があります。ボウマン理事らがFRBの金融政策の先行きについて新たな材料を提供すれば、市場が反応しそうです。

八代和也

執筆者プロフィール

八代和也(ヤシロカズヤ)

シニアアナリスト

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