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英CPIは上振れも問題なし!? 米ベージュブックは弱め?

2024/04/18 07:49

【ポイント】
・英CPIは予想比上振れも、ベイリーBOE総裁はインフレ鈍化に自信
・米ベージュブックは景況改善を報告も、経済指標が示唆する力強さを欠く!?

英国の3月CPIは市場予想に比べてやや上振れました。それでも、ベイリーBOE(英中銀)総裁がインフレ鈍化に自信を示したことで、市場は8月の利下げを高い確率で予想しています。

米ベージュブック(地区連銀経済報告)は前回に比べて景況の改善を示しました。ただ、最近の雇用統計やGDPNow(※)が示唆するような景気の強さは感じられませんでした。
※アトランタ連銀の短期予測モデル、4月16日時点で1-3月期GDPを前期比年率2.9%と予測。

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英国の3月CPIは総合が前年比3.2%と、前月(3.4%)から伸びが鈍化。エネルギー・食料・酒・タバコを除くコアは同4.2%と、こちらも前月(4.5%)から伸びが鈍化しました。ただ、いずれも市場予想(3.1%、4.1%)を上回りました。

英CPI

ベイリー総裁は前日に続いてワシントンで発言。「家計の独特なエネルギー価格制度の影響4月のインフレ率は大きく鈍化すると予想している」と自信を示しました。その上で、「米国のインフレは需要が強いためにディマンドプル型の要素が大きいが、我々のインフレはサプライチェーンの障害が尾を引いている。ラガルドECB総裁も指摘しているように欧州のインフレ構造は米国とは少し異なる」と付け加えました。

17日時点のOIS(翌日物金利スワップ)に基づけば、市場は8月1日のMPC(金融政策委員会)での利下げを8割以上の確率で織り込んでいます。

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ベージュブック

ベージュブック(地区連銀経済報告)によれば、「経済活動はわずかに拡大」し、「10地区がわずか、あるいは緩やかな成長。残り2地区は横ばい」でした。前回は「8地区がわずか、あるいは緩やかな成長。3地区は横ばい、1地区はわずかに軟化」。

個人消費は、全体としてみればほとんど増えなかったが、地区や消費項目によってマチマチ。数地区では、消費者が価格に敏感なため、裁量的支出が弱いと報告されました。自動車販売が好調な地区もありましたが、残りは弱め。

製造業活動はわずかに低下、3地区だけが製造業の拡大を報告しました。銀行融資は横ばい。住宅建築はわずかに増加し、ほとんどの地区で住宅販売が増加しました。商業不動産はやや軟調。企業の先行き見通しは慎重ながらもやや楽観的でした。

雇用はわずかに増加。9地区で緩やかに増加する一方で、3地区では横ばいでした。ほとんどの地区で労働者の供給が増え、求職者の質も良くなったとのこと。賃金は8地区で緩やかに増加、残り4地区ではわずかに増加しました。複数の地区で、賃金の伸びが平常並みに戻ったとのこと。企業は、先行きに雇用が緩やかに増え、賃金の伸びは鈍化すると予想していました。

価格の伸びは前回報告と同様に全体としてみればわずか。船舶の紅海回避やボルチモアの橋梁崩落によって貨物輸送の遅れがみられるものの、いまのところ広範な価格上昇にはつながっていないようです。

原材料価格の動向はマチマチながら、6地区でエネルギー価格の緩やかな上昇が報告されました。企業による価格転嫁は目立って難しくなっており、利ザヤの縮小につながっているとのこと。総じてインフレ鈍化が予想されているものの、数地区の、主に製造業企業が目先に投入価格や販売価格の上昇リスクがあるとみていました。
西田明弘

執筆者プロフィール

西田明弘(ニシダアキヒロ)

チーフエコノミスト

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