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米ドル/円が154円台へ上昇し、34年ぶり高値

2024/04/16 09:04

【ポイント】
・米国の長期金利(10年物国債利回り)は一段と上昇するか
・米ドル/円の上昇への本邦当局の対応
・カナダCPIでBOCの利下げ観測が強まるか

(欧米市場レビュー)

15日の欧米時間の外為市場では、米ドルが堅調に推移しました。米ドル/円は一時154.399円へと上昇し、90年6月以来およそ34年ぶりの「円安」を記録。米ドル/カナダドルは1.37887カナダドルへと上昇し、ユーロ/米ドルは1.06189ドル、英ポンド/米ドルは1.24364ドル、豪ドル/米ドルは0.64369米ドルへと下落しました。米国の3月小売売上高が市場予想を上回る結果だったことや、米国の長期金利(10年物国債利回り)の上昇が、米ドル高材料となりました。小売売上高の結果は前月比0.7%、自動車を除いた小売売上高は同1.1%。市場予想はそれぞれ0.3%と0.4%でした。

(本日の相場見通し)

米国の長期金利(10年物国債利回り)は15日に一時4.66%へと上昇し、23年11月中旬以来およそ5カ月ぶりの高い水準をつけました。

足もとの米長期金利の上昇の主な要因として、雇用統計やCPI(消費者物価指数)などの堅調な米経済指標の結果を受け、FRB(米連邦準備制度理事会)の利下げ観測が後退したことが挙げられます。

本日は、米国の鉱工業生産や住宅着工件数、建設許可件数(いずれも3月分)が発表されます。市場予想は、鉱工業生産が前月比0.4%、住宅着工許可件数が年率148.4万件、建設許可件数が年率151.0万件です。市場予想を上回る結果になれば、米長期金利が一段と上昇する可能性があります。その場合には米ドルが堅調に推移して、米ドル/円や米ドル/カナダドルには上昇圧力が、ユーロ/米ドルや英ポンド/米ドル、豪ドル/米ドルには下落圧力が加わりそうです。

鈴木財務相は本日16日午前9時頃、足もとの円安(米ドル/円の上昇)について「今の動きをしっかりと注視していく」、「必要に応じて対応していく」と述べ、改めて市場をけん制しました。米ドル/については、本邦当局の対応(為替介入に踏み切るかどうか)に引き続き注目です。

本日の『ファンダメ・ポイント』は、[為替介入はいつあってもおかしくない・・・が、なくてもおかしくない⁉]です。

※米ドル/円のテクニカル分析は、本日の『テクニカル・ポイント』[米ドル/円、155円トライとなるか!ただし、足もとでは速度超過?]をご覧ください(マイページへのログインが必要です)。

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カナダの3月CPI(消費者物価指数)が本日発表されます(日本時間21:30)。物価の動向はBOC(カナダ中銀)の金融政策に大きな影響を与えるため、CPIの結果にカナダドルが反応しそうです。

CPIの市場予想は、以下の通り。( )は前回の実績です。BOCはコアインフレ指標として、トリム平均値と加重中央値を注視しています。それらの結果にも注目です。

・総合:前年比2.9%(2.8%)
・トリム平均値:前年比3.2%(3.2%)
・加重中央値:前年比3.0%(3.1%)

BOCは前回4月10日の政策会合で政策金利を5.00%に据え置きました。マックレム総裁は会合後の会見で、「インフレ率が(目標の)2%に確実に向かっていると確信できれば、利下げを行うのが適切だ」と述べ、記者から6月の会合で利下げする可能性について質問されると「可能性はある」と答えました。

市場は、BOCが次回6月5日の会合で利下げを行うかどうかは五分五分とみているようです。本日発表のカナダのCPIが市場予想を下回る結果になれば、次回会合での利下げ観測が強まるとともに、カナダドル安圧力が加わりそうです。

カナダのCPI(前年比)

八代和也

執筆者プロフィール

八代和也(ヤシロカズヤ)

シニアアナリスト

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