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ECB理事会は6月利下げに向けて地ならし

2024/04/12 07:40

【ポイント】
・11日のECB理事会では数人が利下げを支持
・大多数は確信を深めるため6月までのデータをみたい意向
・米CPIを受けてFRBの利下げ見通しは後退
・金融政策見通しの差がユーロ/米ドル下落の背景

ECBは11日の理事会で、金融政策の現状維持を5会合連続で決定。

関係者によれば、5人程度のメンバーが即座の利下げを支持したとのこと。ラガルド総裁も会見で、「数人」が4月までのデータで物価の落ち着きに「十分に確信を持った」と認めました。ただ、最終的には、「6月」までに多くのデータをみて確信を深める方が良いとの大多数の意見に従ったとのこと。

6月の理事会ではスタッフの経済見通しが提供されるため、それによって2%物価目標達成への軌道を確認したうえで、利下げに踏み切る判断を下しそうです。

4月利下げ支持派は、7月の追加利下げを視野に入れているとの指摘もありました。ただし、関係者によれば最初の利下げ以降の金融政策に関しては深い議論はなかったとのことです。

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11日時点のOIS(翌日物金利スワップ)に基づけば、市場が織り込む利下げ確率は次回6月6日のECB理事会で9割弱。そして、年内に計3回の利下げがかなり高い確率で織り込まれています。

他方、同じくOISに基づけば、6月12日のFOMCでの利下げ確率は2割ちょっと。7月31日会合まででも6割弱です。年内に2回目の利下げが織り込まれている確率は7割弱です。

ECBとFRBの金融政策見通しの差を反映して、米国とドイツの短期金利(2年物国債利回り)の差「米>ドイツ」が拡大しており、それが足もとのユーロ/米ドル下落の背景にあります。短期金利差が一段と拡大するようであればユーロ/米ドルにさらなる下落圧力が加わるかもしれません。

ユーロドルと米独短期金利差
西田明弘

執筆者プロフィール

西田明弘(ニシダアキヒロ)

チーフエコノミスト

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