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ECBも早期利下げ観測をけん制

2024/02/23 08:53

【ポイント】
・ECB理事会の議事要旨によれば、利下げの議論は時期尚早
・最初の利下げは今夏ごろ?
・利下げのためには賃金上昇率の鈍化が必要

ECB理事会の議事要旨(1/24-25開催)によれば、当局者は早過ぎる利下げは遅過ぎるよりもリスクが大きいと考えていたようです。当局者の多くが利下げに関する議論は時期尚早とみていました。「(利下げによって)経済活動が予想以上に力強く回復したり、賃金の伸びが加速してインフレ圧力が再び高まったりすれば、市場はECBへの信頼を低下させるだろう」との議論もありました。

ECB当局者の大半は利下げに慎重なようで、最初の利下げは今年夏になると考えていたようです。

議事要旨によれば、「ディスインフレのプロセスは依然としてぜい弱であり、早く手を緩めるとこれまでの進展の一部を打ち消してしまう可能性がある」、「継続性と慎重さ、忍耐が依然として必要だ」などとの考えが示されました。

その他に興味深いのは・・・

「市場は、インフレ率が昨年12月時点のECBスタッフの予想を下回ると考えているようだ」
「市場が現在織り込む利下げ見通しは、インフレ低下への反応だろう。利下げが将来的に成長率やインフレ率をどの程度押し上げることになるか慎重に評価する必要がある」と指摘されました。

「足もとでエネルギー価格が低下しており、3月に公表される新しいスタッフ予測では、今年のインフレ率見通しが下方修正される可能性が高い」との見方が示されました。

「労働市場がひっ迫していることから、賃金の上昇が今年見込まれている通りに実際に鈍化する証拠を待つのが賢明であり、賃金動向の好転を確認するハードデータが必要だ」との議論もありました。

「短期的には成長が予想より弱まる可能性が高いと多くのメンバーが認めた。しかし、これまでインフレ低下に伴う経済活動のコストは比較的軽い」と指摘されました。
西田明弘

執筆者プロフィール

西田明弘(ニシダアキヒロ)

チーフエコノミスト

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