円が軟調、豪ドル/円とNZドル/円は9年ぶり高値
2024/02/23 08:55
【ポイント】
・主要国の株価が一段と上昇するか
・株価が上昇すれば、リスクオンが強まって円安圧力が加わりそう
・ECB理事会メンバーは先行きの金融政策についての手がかりを提供するか
・市場ではメキシコ中銀の早期利下げ観測が強まりそう
(欧米市場レビュー)
22日の欧米時間の外為市場では、円が軟調に推移しました。一時、米ドル/円は150.649円、ユーロ/円は163.443円、豪ドル/円は98.968円、NZドル/円は93.299円へと上昇。豪ドル/円は14年12月以来9年2カ月ぶり、NZドル/円は15年1月以来9年1カ月ぶりの高値をつけました。米国の大手半導体メーカーのエヌビディアの好決算を好感して主要国の株価が総じて上昇するなか、リスクオン(リスク選好)の動きが強まり、円安圧力となりました。
米ドル/円については、前週分の米国の新規失業保険真数件数が20.1万件と、市場予想の21.8万件よりも良好な結果だったことも、上昇要因となりました。
***
TCMB(トルコ中銀)は政策会合を開き、政策金利を45.00%に据え置くことを決定。23年6月から8会合連続で実施した利上げを停止しました。
TCMBは声明で、「月次のインフレ率の基調が大幅かつ持続的に鈍化し、またインフレ期待が予測範囲に収束するまで、政策金利は現行水準(45.00%)に維持する」と表明。政策金利を当面据え置くとの方針を改めて示しました。
ただし、「インフレ見通しの顕著かつ持続的な悪化が予想される場合には、金融政策スタンスを引き締める(=利上げを行う)」ともしました。
(本日の相場見通し)
本日は、米国の主要な経済指標の発表はなく、主要国の株価動向が引き続き材料になりそうです。
日経平均やダウ、S&P500は22日に史上最高値をつけました。米国など主要国の株価が堅調に推移すれば、リスクオンの動きが一段と強まる可能性があります。その場合、円が軟調に推移して、米ドル/円や豪ドル/円、NZドル/円は上値を試す展開になりそう。上値メドとして、豪ドル/円は心理的節目である100.000円、NZドル/円は14年12月高値の93.990円が挙げられます。
ドイツの2月IFO企業景況感指数やECB(欧州中銀)理事会メンバーの発言も材料になる可能性があります。本日は、シュナーベルECB専務理事やナーゲル・ドイツ連銀総裁、デコス・スペイン中銀総裁が講演する予定です。IFO企業景況感指数が市場予想の85.5からかい離する結果になる、あるいはシュナーベル専務理事らの講演でECBの金融政策の先行きについて新たな手がかりが提供されれば、ユーロが反応するかもしれません。
※本日の『ファンダメ・ポイント』は、[ECBも早期利下げ観測をけん制]です。
***
メキシコの2月前半のCPI(消費者物価指数)が22日に発表されました。CPIの結果は、総合指数が前年比4.45%、変動の大きい食品やエネルギーを除いたコア指数が同4.63%と、市場予想(総合:4.70%、コア:4.67%)よりも前月前半の4.90%と4.78%から上昇率が鈍化しました。
BOM(メキシコ中銀)は、前回2月8日の政策会合まで7回連続で政策金利を11.25%に据え置きました。前回会合時の声明では、これまでの「政策金利はしばらくの間、現在の水準に維持する必要がある」を削除し、「次回以降の会合では、入手可能な情報次第で政策金利を調整する可能性を検討する」と表明しました。「調整」は利下げを示唆していると解釈できます。
2月前半のCPI上昇率が鈍化したことで、BOMは次回3月21日の会合で利下げを行う可能性があります。市場では、次回会合での利下げ観測が強まりそうです。
- 当レポートは、情報提供を目的としたものであり、特定の商品の推奨あるいは特定の取引の勧誘を目的としたものではありません。
- 当レポートに記載する相場見通しや売買戦略は、ファンダメンタルズ分析やテクニカル分析などを用いた執筆者個人の判断に基づくものであり、予告なく変更になる場合があります。また、相場の行方を保証するものではありません。お取引はご自身で判断いただきますようお願いいたします。
- 当レポートのデータ情報等は信頼できると思われる各種情報源から入手したものですが、当社はその正確性・安全性等を保証するものではありません。
- 相場の状況により、当社のレートとレポート内のレートが異なる場合があります。