米小売売上高、英GDP、ラガルド総裁、米商業不動産
2024/02/16 08:01
【ポイント】
・米小売売上高は大幅減少ながら・・・
・英GDPは2期連続マイナス
・ラガルド総裁は利下げ期待をけん制
・米商業不動産問題は続く!?
主要中銀の金融政策に影響するような材料が散見されたので、以下に概観しておきましょう。
米小売売上高は大幅減少ながら・・・
1月の小売売上高は前月比0.8%減と、昨年3月(0.9%減)以来の大幅なマイナスでした。米景気を支えてきた個人消費に陰りが出てきたのかもしれません。ただし、比較的好調だったクリスマス商戦の反動や厳しい天候要因などもあって、もう少し様子を見守る必要があるでしょう。
その他、2月のNY連銀製造業景況指数はマイナス2.4と、前月(マイナス43.7)から大幅に改善。同フィラデルフィア連銀指数は5.2と前月(マイナス10.6)から改善し、昨年8月以来のプラスとなりました。先週の新規失業保険件数は21.2万件で3週間ぶりの低水準でした。
アトランタ連銀のGDPNow(短期予測モデル)によると、15日時点で1-3月期のGDPは前期比年率2.9%と予測されています。8日時点の予測(3.4%)からやや弱まりましたが、昨年10-12月期(3.3%)と比べても遜色ないと言えそうです。
英GDPは2期連続マイナス
10-12月期のGDPは前期比マイナス0.3%と、前期(マイナス0.1%)に続いて減少しました。2期連続でのマイナスは簡便的にリセッション(景気後退)と判断されます。1月CPIが弱めだったこともあり、BOE(英中銀)に対する利下げ圧力が強まりそうです。ただし、BOEが懸念する賃金の伸びは引き続き高く、BOEがどう判断するか注目でしょう。15日時点のOIS(翌日物金利スワップ)に基づけば、市場が織り込む利下げ確率は3月MPC(金融政策委員会)で3%、5月までで26%、6月までで66%です。
ラガルド総裁は利下げ期待をけん制
ラガルドECB総裁は欧州議会の公聴会で、インフレの鈍化は続いているものの、2%の物価目標への回帰を確信するためには更なる証左が必要だと述べました。性急な利下げによってインフレが再燃するリスクを懸念。とりわけ、賃金動向を注視しているとしました。
15日時点のOISによれば、4月の理事会での利下げ確率を市場は54%織り込んでいます。要は4月の利下げは五分五分だということでしょう。ECB内部では6月ないしそれ以降の利下げを想定するメンバーも多いようです。
米商業不動産問題は続く!?
KBW地方銀行株指数は15日に3.6%上昇、いったん底打ちしたようにみえます。ただし、Bloombergの報道によれば、昨年に20数行の地銀で商業不動産融資が急増しており、規制当局による監視強化が必要になる可能性があるとのことです。それらの地銀は、問題となったニューヨーク・コミュニティ・バンコープ(NYCB)のように引当金の積み増しを迫られる(≒業績が悪化する)かもしれません。
同様に商業不動産融資に特化するドイツPBB銀行の格付けが大手格付け会社S&Pによって1段階引き下げられ、投資適格級の最低となりました。同行のAT1債は額面の約30%まで下落しています。なお、同行は商業不動産融資の15%が米国向けとのことです。
・米小売売上高は大幅減少ながら・・・
・英GDPは2期連続マイナス
・ラガルド総裁は利下げ期待をけん制
・米商業不動産問題は続く!?
主要中銀の金融政策に影響するような材料が散見されたので、以下に概観しておきましょう。
米小売売上高は大幅減少ながら・・・
1月の小売売上高は前月比0.8%減と、昨年3月(0.9%減)以来の大幅なマイナスでした。米景気を支えてきた個人消費に陰りが出てきたのかもしれません。ただし、比較的好調だったクリスマス商戦の反動や厳しい天候要因などもあって、もう少し様子を見守る必要があるでしょう。
その他、2月のNY連銀製造業景況指数はマイナス2.4と、前月(マイナス43.7)から大幅に改善。同フィラデルフィア連銀指数は5.2と前月(マイナス10.6)から改善し、昨年8月以来のプラスとなりました。先週の新規失業保険件数は21.2万件で3週間ぶりの低水準でした。
アトランタ連銀のGDPNow(短期予測モデル)によると、15日時点で1-3月期のGDPは前期比年率2.9%と予測されています。8日時点の予測(3.4%)からやや弱まりましたが、昨年10-12月期(3.3%)と比べても遜色ないと言えそうです。
英GDPは2期連続マイナス
10-12月期のGDPは前期比マイナス0.3%と、前期(マイナス0.1%)に続いて減少しました。2期連続でのマイナスは簡便的にリセッション(景気後退)と判断されます。1月CPIが弱めだったこともあり、BOE(英中銀)に対する利下げ圧力が強まりそうです。ただし、BOEが懸念する賃金の伸びは引き続き高く、BOEがどう判断するか注目でしょう。15日時点のOIS(翌日物金利スワップ)に基づけば、市場が織り込む利下げ確率は3月MPC(金融政策委員会)で3%、5月までで26%、6月までで66%です。
ラガルド総裁は利下げ期待をけん制
ラガルドECB総裁は欧州議会の公聴会で、インフレの鈍化は続いているものの、2%の物価目標への回帰を確信するためには更なる証左が必要だと述べました。性急な利下げによってインフレが再燃するリスクを懸念。とりわけ、賃金動向を注視しているとしました。
15日時点のOISによれば、4月の理事会での利下げ確率を市場は54%織り込んでいます。要は4月の利下げは五分五分だということでしょう。ECB内部では6月ないしそれ以降の利下げを想定するメンバーも多いようです。
米商業不動産問題は続く!?
KBW地方銀行株指数は15日に3.6%上昇、いったん底打ちしたようにみえます。ただし、Bloombergの報道によれば、昨年に20数行の地銀で商業不動産融資が急増しており、規制当局による監視強化が必要になる可能性があるとのことです。それらの地銀は、問題となったニューヨーク・コミュニティ・バンコープ(NYCB)のように引当金の積み増しを迫られる(≒業績が悪化する)かもしれません。
同様に商業不動産融資に特化するドイツPBB銀行の格付けが大手格付け会社S&Pによって1段階引き下げられ、投資適格級の最低となりました。同行のAT1債は額面の約30%まで下落しています。なお、同行は商業不動産融資の15%が米国向けとのことです。
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